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IT運用管理で企業・組織の「情報漏洩対策」を支援するSky開発者の自負と責任

2015.09.28 Category:注目ビジネス・技術トレンド Tag: ,

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Sky

業務系システムの構築や組込みシステムの開発で知られるSky株式会社。

実はもう一つの顔がパッケージ製品の開発。市場特化型の業務用パッケージソフトでは国内有力ベンダーの1つでもある。開発の舞台裏に迫った──。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

顧客満足度4年連続ナンバーワンのソフトウェア

Skyの業務用パッケージソフト。例えば、教育現場の授業支援ソフトウェアでは老舗であり、企業向けの情報漏洩対策ソフトでも後発ながら高い市場シェアを誇る。他にも、医療機関向けのパッケージ商品があり、これらの製品を含めたパッケージ事業部門が同社の売上げの約3分の1を占めている。

なかでも、情報漏洩対策ソフトとして自治体や民間企業向けのクライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View」を開発・販売するSkyは、日経BP社による「日経コンピュータ顧客満足度調査 2015-2016」の統合運用管理ソフト(クライアント管理系)部門で、4年連続1位を獲得するなど、市場から高い評価を受けている。

IT資産管理・ソフトウェア資産管理(SAM)・デバイス管理・ログ管理・サーバー監査・セキュリティ管理・レポート・メンテナンスといった「情報漏洩対策」と「IT資産運用」の企業や組織がクライアントPCを利用する上で必要な機能を搭載し、IT機器の一元管理を可能にしている。

「2007年12月に最初のバージョンをリリースしました。その当時は、IT資産管理ソフト領域に国内、海外のメーカーを含めて約25社ほどの競合製品がひしめいており、当社は最後発でした」と、開発初期を振り返るのは、ICTソリューション事業部開発部・部長の稲本和大氏だ。

Sky株式会社 ICTソリューション事業部 開発部 開発課 部長 稲本和大氏
CADオペレーターを経て、Skyグループの人材育成会社でプログラミング技術を習得。1999年Sky入社。基盤検査装置や情報家電の組込みソフトウェア開発、教育現場向けパッケージソフトウェア開発などを経て、SKYSEA Client Viewの開発へ。2015年より現職。

競合製品は多いものの、当時のソフトウェアは「専門的な知識を要するものが多く、企業のIT管理者でも使いにくいものが多かった」(稲本氏)。

そこで「SKYSEA Client View」が目指したのは徹底した使いやすさだった。

「作業手順がなるだけ少なくなるように、操作性にはかなり気を遣っています。画面の見た目も、競合他社製品が狭い小さなボタンばかりで、何をどうしたらその機能が実現できるか一見してわかりづらかったのを、当社の製品は機能ボタンを大きくし、直感的に使えるように工夫しました」

この直感的なユーザーインターフェイスの作り込みでは先に開発されていた、授業支援ソフトウェア「SKYMENU Pro」での経験が活かされている。

「授業でコンピュータを指導する小中高校の教員の方々は、必ずしもITに特別に強い方々ばかりではないことを配慮し、教員の方々が簡単に使えるように操作体系には工夫を凝らしていました」(稲本氏)

「SKYSEA Client View」が他社製品に先駆けて実装したのは、USBメモリの制御だ。USBメモリを介した情報漏洩事故は未だ跡を絶たず、近年はUSBメモリの使用を社内セキュリティポリシーで禁止する企業もある。

「SKYSEA Client View」がUSBメモリのアクセス制限機能を搭載したのは、そうした問題が発生するよりもずっと前のことだ。

「USBメモリの個体識別番号を取得して、それをWindowsのアカウントと紐付けて管理・制御しています。USBメモリを使ってもいい人とそうではない人を識別し、アクセス権限を細かくコントロールするわけです。その制御を司るデバイスドライバを自社で独自に開発しました。今では当たり前の機能ですが、当時としては新しかった。ユーザーニーズをいわば先取りした機能でした」と、稲本氏は振り返る。

ユーザーの声を体現した「全台数管理」の思想

クライアントの運用管理ソフトといっても、例えば、ウイルス対策や文書の暗号化機能は持っていない。

「会社に100台コンピュータがあったとして、もし1台でも適切な設定がされていないコンピュータがあれば、そこから情報漏洩などのトラブルが発生する可能性があり、また、会社にコンピュータが何台あり、誰がどのコンピュータでどんな業務を行っているのかを管理されていない組織も世の中には存在しているようです。その状態では、そもそも、情報セキュリティ対策ができる運用体制とは言えないかと思います。まずは、会社のコンピュータをすべて把握することで、情報漏洩対策の徹底に必要な項目が洗い出せるところが私たちのパッケージの役割だと考えています」

そう「SKYSEA Client View」の“設計思想”を語るのは、ICT事業本部副本部長でチーフソフトウェアアーキテクトの金井孝三氏だ。

Sky株式会社 ICT事業本部 副本部長 チーフソフトウェアアーキテクト 金井孝三氏
1970年生まれ。学生時代からアルバイトでSkyの仕事をする。正式入社後、学校関係のネットワークインテグレーション、社内情報システム責任者などを経て、現在のICT事業本部へ。2013年より現職。

企業で利用するソフトウェアが一つだけで全ての課題を解決できることは不可能なように、得意な分野でお客様に貢献すると共に、専門特化されているウイルス対策ソフトウェアや暗号化ソフトウェアについては、それらが得意なメーカーと棲み分けができればいい。そういう切り分けが明確にできている。

その考え方がユーザーに受け入れられ、ユーザーの業務現場でのニーズがスピーディーに反映されていくことで「SKYSEA Client View」は成長していった。

最初のリリースから8年。先の日経コンピュータの調査でも有効回答数が一番多いことからも、日本国内で多くの企業や組織で使われ、最も顧客が満足しているソフトウェアということになる。

「実は、この8年というもの、開発は決して楽ではなかったですが、苦労だと感じたことはほとんどないんです。ユーザーが増えれば増えるほど、さまざまな要望が上がってきて、その全部は無理ですが、一部でも実装して新しいバージョンをリリースすると喜びの言葉もいただける。ユーザーの役に立っていることが日々実感できるからこそなんじゃないですかね。苦労を感じないというのは」と、稲本氏は言う。

販売・導入は代理店を通しているが、カスタマサポートは自社でも行う。時にはクレーム対応や新機能のヒアリングのため、開発者自らが顧客企業を訪れ、画面を前にしてユーザーの声を聞くこともある。

「トラブル時には障害の切り分けが重要ですが、ときにはうちの製品じゃなくて、他社の製品が原因でトラブっているケースもあります。そんなときも当社のエンジニアは喜んで(笑)直しますよ。だって、ウチの問題じゃないと言って帰ってしまったら、困るのはお客さんですからね」(稲本氏)

IT資産管理系ソフトウェアの分野では海外製品も多いが、その場合、開発と顧客の現場の距離が離れてしまうのが問題となることが多い。開発は海外で行っているので、たとえバグだとわかってもすぐには直せないことが多いようだ。

そのため、間にたったSIerや代理店が、クレーム対応に疲れ果てるということも少なくない。逆に、国産メーカーの強みが発揮できるのはこうしたシーンだ。トラブル対応が迅速に行えるだけでなく、そこでの知見を次のバージョン開発に活かすことができるからだ。

「マイナンバー」「標的型攻撃」にどう対応するか

いま、企業の情報セキュリティの現場では、「マイナンバー」の導入と「標的型攻撃」が大きな話題になっている。この10月から個人番号の通知カードが配られ始め、2016年1月から制度が開始するマイナンバーは、企業の情報管理にも新しい局面をもたらすといわれる。

例えば、学生アルバイトの給与支払い、講演された講師の方への謝礼、地主の方への使用料支払いなどでも、マイナンバーの確認・収集が義務付けられている。多くの企業では、意外とマイナンバーを取り扱う担当者を減らせないなどの悩みも多く、情報漏洩対策の徹底に関心が集まっている。

「マイナンバーの安全管理措置のガイドラインには、企業内クライアントPCでマイナンバーを管理するときに要求される事項が記載されています。例えば、企業が給与計算などを社会保険労務士の方に業務委託する際には従業員のマイナンバーを外部の労務士事務所に送る必要がありますが、マイナンバーを社外などの外部に持ち出すときには暗号化しなくてはならないというのもその1つ。SKYSEA Client Viewを使えば、業務上、会社から外部にデータを持ち出す必要がある人が、自動的にデータを暗号化する機能を持ったUSBメモリだけを利用できるような設定が可能です」と、金井氏。

マイナンバーを管理するPCを特定し、そのPCの操作を「SKYSEA Client View」を使って画面を録画して管理することも可能だ。これは万一情報漏洩事故が起きた場合、悪意の存在または不存在(単純な過失)を証明する証拠になる。

だが、「現在は運用がスタートする前なので、マイナンバーの扱いにあたって、企業内で具体的にどんなことが問題になるのかは現時点では予想できない点も多い。事前に予測して、お客様を支援する機能を提供するのはもちろんであるが、マイナンバーの運用が始まってから、ユーザーが困られる事象があったときに、スピーディーにお客様を支援する機能をご提供できるようにすることこそが重要だと私たちは考えています」と金井氏は言う。

「ただ、マイナンバーが企業の情報セキュリティ体制を見直すよい機会になることはたしか。それへの私たちの取り組みも進めています」

もう一つの「標的型攻撃」はよりやっかいだ。

「表には出ていないだけで、多くの日本企業が標的型攻撃を受けていると言われています。いろいろな対策ソリューションが提供されていますが、大企業でなければ導入できないほど高額なシステムや、取り扱いが難しいシステムも多く、簡単に何か一つの製品を購入して解決できるものではありません。標的型攻撃が恐ろしいのは、攻撃者が、標的とする企業や組織を定め、どんなセキュリティ製品を使っていて、どんな対策をしているかをあらかじめ調べて攻撃を仕掛けてくることにあります。まさに終わりのない戦いなのです。

メールなどを使ってクライアントPCに悪意あるソフトウェアを送り込んで乗っ取ってしまうタイプの標的型攻撃などの被害が多いことから、クライアントPCのログを取得する機能を持っている私達のSKYSEA Client Viewに対して、クライアントPCの動作状況を分析して、攻撃されたかどうかを知ることができないかとの要望も寄せられています。簡単にできることではありませんが、私たちも今後、それらを少しでも支援できる機能を強化していければと考えています」と、金井氏は言う。

環境の変化を柔軟に受け止めるエンジニアたち

情報漏洩対策とIT資産運用を司るソフトウェア開発の現場は、こうして日々変化対応に追われる。

「変化の要因は、技術的なものもあれば、行政制度の変更など非技術的なものもあります。こうしたソフト開発に携わっているからには、そうした変化に常に敏感でなければならない。あらためて勉強会を開くというようなことはないのですが、日々の情報収集を通してエンジニア一人ひとりが最新の知識を身に付けているはずです」と、稲本氏は言う。

エンジニアの関心に刺激を与えるために、金井チーフソフトウェアアーキテクトは、内外のセキュリティ関連の話題、IT業界の新技術、企業の情報コンプライアンスに影響を与える新制度などについて、社内へ情報をわかりやすく解説して発信している。

「当社のエンジニアは、IT業界の流れについていくだけでなく、お客様である企業の情報システム部門の方々が、今、何を考えているのか? という視点で考えてほしい。そのためにも、普段から関心を高めることが欠かせないのです」と、金井氏はその意図を語る。

もちろん最大の情報源は、ユーザーの現場にこそある。クレームであれ、機能要求であれ、ユーザーのナマの声を聞いているからこそ、ソフトウェアは生きてくる。

そして、自分達で対応できる範囲でソフトウェアや機能、サービスを提供することに徹して、ユーザーからの要望であっても、自分達で対応できない範囲については、頭を下げて、できないということもある。

「サポートが極めて重要な商品である以上、不具合が起こっても、その現場に出向いて改善することは現実的に難しい例えば海外などに商品を販売するなどの、できないのにやるというのは、顧客に対して不誠実だと思うんです」と稲本氏。

こうしたソフトウェア開発者としての矜持と責任感こそが、「SKYSEA Client View」開発を貫く一本の強い幹のように思えた。

⇒「全国小中高校の多くで使用される製品を作るSky開発者の当事者感覚とは」に続く

(執筆:広重隆樹 撮影:刑部友康)

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