時代の正体〈197〉民主主義考

安保法手続きに異議

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 反対世論を押し切り採決が強行され、成立をみた安全保障関連法だが、そもそも「採決」自体が存在しておらず、従って法律は成立していない-。学者や弁護士でつくる市民グループは25日、採決の無効と審議の再開を求め、山崎正昭参院議長と参院特別委員会の鴻池祥肇委員長に申し入れを行った。「政府・与党が違憲の法案を不当な手続きで強行した二重の罪」。インターネットで募った署名には約3万2千人が賛意を寄せ、物事の決め方という民主主義の基本原則をめぐり、政府与党への批判が広がっている。

 インターネットで署名を求める呼び掛け文は指摘する。

 〈「採決」の場面をテレビで視(み)た多くの市民の間で、「あのように委員長席周辺が騒然とし、委員長の議事進行の声を自席で委員が聴き取れない状況で、5件もの採決がされたとは信じられない」という声がネット上で飛び交っています。至極もっともな感想ではないでしょうか?〉

 「採決」はそもそもなかったのではないか、というのが申し入れを行った市民グループの主張だ。

 問題とされる17日の参院特別委を振り返る。

 民主党が提出した鴻池委員長の不信任動議が与党などの反対多数で否決され、鴻池氏が委員長席に着席。すると野党議員が安保法案採決を阻止しようと委員長席を取り囲み、与党議員ともみ合いに。安保法案の質疑打ち切り動議が与党などの賛成多数で可決され、野党議員の「やめろ」という声が上がる中、法案は与党などの賛成多数で可決された-。

 市民グループの呼び掛け人である醍醐聡・東大名誉教授(会計学)は言う。

 「鴻池委員長は動議提出の声を聞き取り、委員の起立を確認できる状況ではなかった。採決自体が行われておらず、法案の審議を続行するべきだ」

 やはり呼び掛け人の一人、清水雅彦・日体大教授(憲法学)も言う。

 「きちんとした手続きを取らず、しっかりと議論しないで物事を決めてしまった。民主主義国家ではあり得ない対応。採決をやり直せないのなら、議決は無効だ」

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