トップページ社会ニュース一覧ヨウ素剤 少なくとも5自治体で転出者から未回収
ニュース詳細

ヨウ素剤 少なくとも5自治体で転出者から未回収
9月27日 19時18分

ヨウ素剤 少なくとも5自治体で転出者から未回収
k10010249731_201509271928_201509271933.mp4
原子力施設の事故の際に服用して甲状腺の被ばくを防ぐヨウ素剤について、事前配布を受けた住民が引っ越す際に返却せず回収されていないケースが、少なくとも5つの自治体であることが分かりました。ヨウ素剤は副作用のおそれもあるため、転出する人からは回収することになっていて、国は対策を検討することにしています。
ヨウ素剤は、事故で放射性ヨウ素が放出された場合、服用すると甲状腺の被ばくを防ぐ効果があり、国の指針では原発からおおむね5キロ圏内の住民にあらかじめ配布するとしています。その一方で、副作用のおそれがあるため、対象外の地域に転出する人からは速やかに回収するよう求めています。
NHKがことし6月までに事前配布した全国の12の自治体に取材したところ、少なくとも5つの自治体で、ヨウ素剤を受け取った住民が返却せずに転居するケースが出ていることが分かりました。
5つの自治体は、先月再稼働した川内原発がある鹿児島県薩摩川内市と福井県高浜町、福井県美浜町、愛媛県伊方町、それに北海道泊村です。
転出届が出されなかったため回収できなかったケースや、転出届が出されたことが事前配布の担当部署に知らされないなど、内部の連携が不十分だったケースがあり、いずれもヨウ素剤の管理状況が分からなくなっているということです。また、未回収のヨウ素剤が何人分なのか詳しく分からないとしています。
ほかの7つの自治体の中にも全体状況を把握できていないとする自治体もあり、同じようなケースが今後さらに出てくるおそれもあります。
ヨウ素剤を巡っては、個人での管理が難しいとして事前配布をしない自治体や、住民基本台帳ネットワークを活用して配布状況や回収の対象者を把握するようにしている自治体もあります。
内閣府原子力防災担当の森下泰参事官は「転出の際の返却を徹底するよう住民への呼びかけを強化するとともに、自治体と対策を検討し、必要であれば財政的な支援をしたい」と話しています。

自治体の対応は

福井県高浜町のケースでは、ヨウ素剤の事前配布を受けた住民が転出届を出さずに転居し、所在の把握ができなくなりました。福井県は個人情報が登録されている「住民基本台帳ネットワーク」を事前配布したヨウ素剤の管理に活用しています。しかし、転出届が出されなければ速やかな回収はできません。高浜町は転出先が確認できしだい、郵送で返却を求めることにしています。
同じようなケースは美浜町でも確認されているということです。
ヨウ素剤の事前配布をことし5月から始めた北海道泊村では、転出届を受け取る部署とヨウ素剤の配布を担当する部署の連携が不十分なケースがありました。転出届の窓口では、ヨウ素剤を所持している人に返却を呼びかけることをせず、一方、配布の担当部署も転出を知らされなかったため回収できなかったということです。このため泊村は、部署間の連携を強め回収を徹底するとする一方、「国にはこうした問題が起きないような仕組みを整備してもらいたい」と話しています。

管理徹底が必要

ヨウ素剤は、原発事故などで放射性ヨウ素が放出された場合、服用すると甲状腺の被ばくを防ぐ効果があります。
放射性ヨウ素は人体に入ると甲状腺に集まり、量が多いとがんを引き起こすおそれがありますが、同じように甲状腺に集まるヨウ素剤を事前に飲んでおけば、放射性ヨウ素が取り込まれにくくなり、被ばくを抑えられる仕組みです。
国の原子力災害対策指針では、ヨウ素剤を原発からおおむね5キロ圏内の住民に事前に配布しておき、事故の際には国や自治体が服用の指示を出すことになっています。
一方で、甲状腺の機能が低下したり、おう吐や胃痛、頭痛などの症状が出たりといった副作用のおそれがあるうえ、じんましんや呼吸困難といったアレルギー反応が出るおそれがあるため服用できない人もいます。
このためヨウ素剤は管理を徹底する必要があり、配布する際、ほかの人に譲渡しないよう指導するほか、転居などの場合は自治体に返却するよう指示することになっています。

関連ニュース

k10010249731000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ