『心が叫びたがってるんだ(ここさけ)』感想・ネタバレ あの花ほどのファンタジー性は無く、良くも悪くも王道の青春群像劇。

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9月19日から公開となった映画『心が叫びたがってるんだ。』(ここさけ)の感想・ネタバレ記事です。
物語の核心部分に触れるネタバレを含みますので、ネタバレが困る方はお引き返しくださいませ。

①ネタバレ無しの感想(内容への言及はなし)

②物語のネタバレ

③内容のネタバレを含む感想(内容に言及しながらの感想)

の順に記載します。

①ネタバレ無しの感想。

■『あの花』の様な意外性はない。良く言えば王道の青春群像劇。悪く言えばありきたりな青春ドラマ。

結論から先に言うと、『あの花』の時は1話や最終回で泣けましたが、今回の『ここさけ』では泣けませんでした。
メインキャラクターは4人いますが、誰にも感情移入できませんでしたし、作品としても好意的に捉えれば王道の青春群像劇でしたが『あの花』のような意外性はありませんでした。

あの花ほどファンタジー性は無く、良くも悪くも現実的な路線。

この『ここさけ』という作品自体が駄作というようには決して思いませんが、散々プロモーションで公式がプッシュしていたような『あの花』並の感動。というのは少なくとも私の中では感じなかったし、今までの散々このブログでも危惧していた「公式が『あの花』と並べて、やたら泣ける泣けるとプッシュしすぎてるもんだから、勝手にハードルが上がってしまって逆に泣けない」という恐れていた事態がやはり起きたか・・という感じです。

■視聴ターゲットは深夜アニメファン(=オタク)でななく、あくまで一般層。

『あの花』をテレビアニメ放送時にノイタミナ枠でリアルタイムで見たいたような「コアなオタク」をメンターゲットに据えた作品ではないなと感じ、どちらかと言うと、『あの花』が流行ってから見てみて好きになった。あるいは劇場での総集編を見て好きになった。というような、いわゆる一般層向けの作品という印象。

都度都度深夜アニメではほとんど耳にしないようなセリフまわしや表現が使われていて、声優やスタッフの名前に引っぱられて深夜アニメの延長線上の映画としてみると、大なり小なり違和感を感じるのではないか思いました。
故に、おそらくそういった先入観の無い一般層の方の方が、すんなり物語や各キャラクターに入れるのではと。

■主人公成瀬順ちゃんはかわいくて魅力的。1クールじっくり描ければかなりの人気者になれる逸材

主人公の成瀬順ちゃんは面白くて可愛らしいキャラクターだったので、そこがとてももったいなかった。たぶん2時間の映画ではなく、『あの花』のめんまのように1クールかけてじっくり描くことが出来ていたら恐らくそのクールでもトップクラスの人気を獲得する広いんになれたポテンシャルを感じました。

■結論:オタク向けの作品ではない。しかし、それ故に誰が見ても安心して楽しめる作品であることは確か。

もしこれを見ているあなたに非オタの好きな人や、あるいは彼氏や彼女、あるいは旦那さんや奥さんがいたとして、そんなパートナーとのデートの一貫としてこの作品を選択するのはとても良い選択だと思います。

きっとそのパートナーさんは喜んでくれて

「アニメってオタクっぽいイメージがあったけど、こういうアニメだったら私(俺)でも楽しめるね!」

と言ってくれるはずです。

でも、オタク同士で「さぁ『あの花』級の驚きと感動を頼むよ〜」という心持ちで行ってしまうと、

「・・・。なんか、良い話だったけど普通だったな・・・」

という反応になってしまうかも知れません。

『期待しすぎない(ハードルをあの花に設定しない)こと。』

この一言に尽きると思います。

ノイタミナは興行収入20億を目標にしているらしいけど、う〜ん、厳しいんじゃないかなぁ。

一部で物議を起こした乃木坂46のエンディングテーマについては、やっぱり「なんでここで関係ない人達が歌うの?」という感じでした。

乃木坂やAKBグループに対する先入観や好き嫌いは別にしても、普通に水瀬いのりちゃんと雨宮天ちゃんのキャラであるヒロインふたりが良い感じに物語を締めたのだから、そのままの流れでヒロインふたりのしっとりとしたデュエットとかが最後エンディングとして流れれば、これからのふたりの関係性の発展も示唆しつつ、物語の余韻を残して良い読後感に浸れるのに、唐突にまったく関係ない方々が歌いだすとやっぱり「違和感」ですね。

これが「歌」を題材にして、実際にふたりの歌唱シーンが一番の盛り上がりどころだから余計にそれを感じました。

勘違いしないで欲しいですがこれは「乃木坂だから」ではないですよ。
例えばキャストとは全く関係ない声優グループがエンディング担当がだったとしても、同じ感想を持ったと思います。

以上、ネタバレ無しの感想となります。※あくまで個人の感想です。

続いて物語のネタバレになりますので、もしネタバレが嫌な方はここでお引き返しください。

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<物語のネタバレ>

①主人の公・成瀬順は幼いころに憧れていた「山の上のお城(実際にはラブホ)」から父親と見知らぬ女性が出てくるの目撃。
そのことを母親に話し父親の不倫が発覚。順の両親はそれがキッカケで離婚。

※公式コミカライズで公開されていたシーンそっくりそのまま。

【ネタバレ注意】『心が叫びたがってるんだ。』前日譚コミカライズの内容がヤバ過ぎるwwww

②自分たちが離婚することになったのは順のせいだと両親にとがめられた順は、そのことに強い責任感とショックを抱く。そしてそんな順の目の前に「卵の王子」が現れ、順の口にチャックをして言葉を封印する。

③それから月日が立ち、高校生となった順は、「地域ふれあい交流会」という地元住人を学校に招いて出し物を披露する催しの実行委員の4人のうちのひとりとして、担任の教師により抜擢される

・自分のせいで家族がバラバラになってしまい、親権を持つ母親ともすれ違い続ける順
・順と同様両親が離婚し、自分の内面にふさぎ込んでばかりの拓実
・拓実と中学生時代に恋人同士だったもの、些細なことから別れてしまい、そのわだかまりを持ち続けるクラス委員の菜月
・甲子園出場を期待された野球部のエースながら、怪我をしてしまい自暴自棄になっている大樹

それぞれが心の中に「言いたいけど口に出せない気持ち」を抱えた四人が、「地域交流会」の出し物として披露するミュージカルを創り上げる為に交流し、徐々に互いに心を開き合っていく。

④拓実との交流をキッカケに「言葉にしなくても、歌を歌えば自分の気持ちを伝えることができる」と知った順はしゃべれないながらも歌を歌うことはできるようになり、それと同時に拓実に恋心を抱き、その恋心を綴った歌を描き、それがミュージカルの題材になり、ミュージカルの主役にまで抜擢される。

⑤最初は自暴自棄で非協力的だった大樹もそんな順の真っすぐな姿勢に惹かれて協力するようになり、さらにクラス全体もそんな順に感化されるように団結し、ミュージカルの順日は順調に進んでいく。

⑥そして交流会の前日。いよいよ最後のリハーサルを終え片付けをしていると、順は拓実と菜月がふたりで話しているのを目撃。

中学時代に些細なことで別れてしまったことを悔いていた菜月は拓実に対して

「今は順のことが好きなんでしょ?あんなに気にかけてあげて・・・」

と問いかけていたのた。

それに対し拓実は

「たしかに順のことを気にかけていたけど、それは見ていると応援したくなるってだけで・・決して好きとかではない!」

宣言。

その宣言を影から聞いていた順はショックから「やっぱり気持ちは言葉にしちゃダメなんだ」と再び思い込んでしまい、地域交流会当日に姿をくらましてしまう。

⑦イベント直前での主役である順の失踪に戸惑うクラスメイトと拓実たち。そして順が失踪した理由が拓実と菜月の会話を聞いていたとだと気がついた拓実は順の行方を探しに向う。

⑧町中を探しまわる拓実だったが、順が話してくれた「しゃべれなくなったキッカケ」が山の中にあるお城(ラブホ)だったことを思い出した拓実は、すでに営業を停止して廃墟と化したラブホに向い、その奥の部屋で順を見つける。

⑨もう無理だよ・・やっぱり思いを言葉にしちゃだめなんだ・・・とふさぎ込む順に対し、拓実は「そんなことはない」と否定。お前のありのままの気持ちを聞かせてくれ!と順に訴えると、順はついに口を開き

「なんなんだよお前は!思わせぶりな態度をとって勘違いさせやがって!」

「あとあの女(菜月)も女だ!ああいう女が一番嫌いなんだよ!」

と一気にまくしたて、言葉を発することに成功する。

そして最後に

「でも、君が好き。」

と順は拓実に告白。

拓実は

「ありがとう。でもオレ好きな人(菜月)がいるんだ」

と返事。

順は

「うん、知ってた」

と微笑み、学校に戻る。

⑩そしてなんとかミュージカルに間に合った順と拓実(正確にはミュージカルは始まっていたが、途中までは菜月が順が演じるはずだった主役をして場を繋いでいた)は順の母親達が見守る中でミュージカルを成功させて終了。

結局、幼い順の言葉を封印した「卵の王子」なんてものは最初から存在していなく、言葉を封じていたのは自分の殻に閉じこもっていた順自身だった。そしてこのミュージカルや拓実たちとの出会いを通じて自分の殻を打ち破った順は言葉を取り戻す。

最後は拓実と菜月が再び互いの気持ちを認め合い、野球の大樹が順に告白して終了(笑)

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<物語のネタバレを含む感想>

ここからはネタバレを含んでの感想になります。

率直に行って、「卵の王子なんてものは最初から存在しなく、言葉を封じていたのは順自身だった」という顛末は「予想通り」で意外性はありませんでした。
例のコミカライズで父親の不倫とそれがキッカケでしゃべれなくなってしまったことが判明していましたから、あれを読んだ方は「あぁ、この卵は幼い順が見た幻影で、実際は順が自分自身で言葉を封印していたんだな」ということは薄々感じていたと思います。

そしてそれがまさにその通りだったので、「まぁそうだよね」という感想しか出てきませんでした。

さらに、自分が一番気になったのはこの作品の所々に出てくる「生々しい」描写です。

物語のスタート地点がいきなりラブホであるところから「オイオイ・・・」という感じなのですが、

それ以外にも大樹が菜月に「お前もあのラブホで中学時代に拓実と寝たのか?」と絡んでくるシーンがあったり、

交流会前日にクラスメイトが豪快にチュパ音を響かせつつ「最近忙しくて、してなかったから・・」的な発言をかましながら腰をくねらせ濃厚なディープキスをしていたりと、

なぜかやたらと生々しい描写が所々出てくるんですよね。

そしてその度にその生々しさから現実に引き戻されてしまい、物語やキャラクターの心理に没頭しきれず、感動できない。

そんな感じでした。

最初に私が「深夜アニメの延長線上として見てしまうと良くない。逆に一般の人なら抵抗無く見れるのでは。」と言ったのはまさにこのことで、深夜アニメの青春ものではまず見かけないような描写や言葉が色々と選択されているんですよね。

ただこういった描写はアニメではなく普通のドラマとしてならよく見かける光景で、故にそういったドラマを見慣れている一般層の方の方がすんなり違和感無く受け入れるのではないか。と感じた次第です。

ラストで言葉を取り戻した順が拓実に告白するシーンも、場所はラブホの一室ですからねw
告白する順の背後にはダブルベッドがあり、その告白を聞く拓実の後ろにはラブホ特有のガラス張りになっている小さなお風呂がある(笑)

実際のところ、このラブホは少女だった順が夢を見ていた場所で、そんな夢のような場所はどこにも無かった。「幼いころの順が見ていた綺麗なお城のようなラブホ(幻想)と、成長した順が見た廃墟となったラブホ(向き合うべき現実)」がそっくりそのまま順が現実を直視する成長の象徴のような描かれ方をしているのですが(そしてミュージカルの内容にもシンクロしている)、いかんせん絵面としてシュールすぎる。

決してつまらない作品ではないですが、これまでの予告や公開されている情報から予想できる内容の範疇で物語が終わってしまった印象があり、意外性はありませんでしたし、

「幼い頃に初恋の人を失った青年の元に、その初恋の女の子が再び現れ、そして青年自身の意思としてその女の子と再びお別れする」

という『あの花』の感情が大きく揺れるようなカタルシスは残念ながら得られませんでした。
※公式は『あの花』と切り離して宣伝するべきだったとつくづく感じる。

たぶんじっくり1クールやればメイン4人の背景をもっと掘り下げられて感情移入もでき、感動することも出来たのかもしれないけれど2時間だとその辺も難しかった。

最後に大樹が順に告白する「オチ」も、笑えばいいのか、ホッコリすればいいのか、新たな恋のはじまりにトキメけばいいのか、どう捉えていいのかよくわからず、個人的には「蛇足」でした。

ひとりの少女の初恋とその終わりを描いて、「切ないけど甘酸っぱい素敵な青春の1ページだね。」という結論で良いじゃん。
と思ってしまった・・・。

ただ、繰り返しになりますが主人公の順ちゃんはとっても可愛らしく、面白いキャラクターなので、順ちゃん目当てで観に行っても良いよ思いますね。ただ、見るのは一回で十分かな。

レンタルとかテレビで見直すのはアリだけど、2回分を映画代を払って見るかどうかと聞かれたら疑問。
故に20億はむずかしいんじゃないかなぁ・・・

ツイッターだとそこそこ好評のようですけどね。まぁ、個人の感想として参考にしてくださいませ。

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