聞き手・中野晃
2015年9月19日11時07分
「言葉の劣化」「政治家の劣化」「国会の劣化」。安全保障関連法案をめぐる国会の審議を振り返ると、そう感じます。
言葉の劣化で、表に出てきたのが情緒や気分です。「中国脅威論」が繰り返されますが、今や中国との関係は経済的に切れない。そもそも、隣国との関係を悪化させたのは誰なのか。一部の政治家たちでしょう。
新しい安保法制の狙いは米軍の世界戦略の一端を自衛隊が担うこと。そうした真実を隠すために、「後方支援」や「存立危機事態」など欺瞞(ぎまん)の言葉で無理が重ねられました。その結果、首相と防衛相の答弁がくい違うことがありましたが、平然と押し通されました。
ヤジを飛ばす安倍首相らの言動は、後世まで記録されることが頭になかったとしか思えません。国会が軽視されているのです。
集団的自衛権の行使は日本の国のあり方を百八十度転換します。自衛隊が海外で銃弾を1発撃った瞬間、戦後70年、積み上げてきたものが崩れる。そんなことは絶対許してはならない。我々はこれからも関心を持ち続けなければならない。(聞き手・中野晃)
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〈たかむら・かおる〉 1953年、大阪市生まれ。商社勤務を経て、90年に作家デビュー。93年に「マークスの山」で直木賞を受賞。
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