2015年9月18日21時51分
戦後一貫して認めてこなかった集団的自衛権の行使を認める法案が成立する見通しになった。安倍政権が憲法解釈を変え、法案の閣議決定をしてから4カ月。国会を取り巻くデモの人波は、審議が進むにつれて膨らんでいった。この夜も、多くの人が抗議の声をあげた。
「廃案! 廃案!」「平和を壊すな」「9条壊すな」「強行採決、絶対糾弾!」――。国会議事堂前には18日も、法案に反対する人たちの大声や拍手が響いた。14日から5日連続だ。参院の採決強行を意識したかけ声が目立った。
都内の法科大学院に通う野寺一祈(かずき)さん(25)は、iPadの画面いっぱいに「非立憲は世界の恥」と表示して胸に掲げ、人混みの中を歩いた。法律を学ぶゼミに所属し、安保法案が閣議決定されたころから、仲間と議論してきた。
デモに何度も通い、見知らぬ人たちと憲法や安倍政権について議論するようになった。「視野が広がりました」。法案が成立しても、次の選挙を意識していくという。「明らかに違憲の法律をそのままにしておきたくないですから」
文教大の専任講師、早川明夫さん(70)は教員免許の取得を目指すゼミ生ら6人と参加。「将来、子どもたちに教えるのに、この光景を見た方がよい」と誘った。3年生の荒牧優介さん(20)は、政府の強引な審議に反発を感じる。「この安保をめぐる動きを子どもたちに伝えていきたい」と話した。
東京都江戸川区の女性(50)は、趣味で通う中国語教室で、安保法案に反対する国会前のデモに参加したことなどをスピーチした。すると、参加者から「デモで政治が変わるのも、おかしいのでは?」と言われ、新鮮に感じた。今まで政治の話を周りの人とすることはなかった。法案が成立しても、政策の資料を読んだり、周りの人と意見を交わしたり、自分でできることを続けていくつもりだ。
著名人もスピーチに立った。作家の室井佑月さんは「今回の戦いは、勝つか負けるかではない。長時間かかっても勝たなければならない。来夏には参院選挙がある。それまで、こつこつと続けることが大事。一緒に頑張りましょう」と声を張り上げた。
■「危うい」「現実的な選択」
安全保障関連法案の国会での最終攻防をどう受け止めたか。各地で聞いた。
東京・新橋。JR新橋駅前にいた渋谷区の会社員花城大さん(21)は「違憲か合憲かは、専門家でも見方が割れていて、正直よく分からない。そもそも日本の平和が脅かされている実感がなく、法案自体が必要ないと思う」。
審議がテレビや新聞で多く取り上げられ、普段より注意してニュースを見てきた。「与党は、いかに法案を期限までに通すかという戦術論ばかりを気にしている印象を持った。17日の(参院特別委員会の)採決はスポーツのフォーメーションみたいで、こんな風に決まっていくのは危ういなと感じた」と話した。
一方、宮城県多賀城市の東北学院大4年、阿部航平さん(23)は「北朝鮮や中国の脅威が迫り、『イスラム国』(IS)が勢力を増す中、改憲では時間がかかりすぎる。法整備で対応することは現実的な選択肢だ」と話す。一方で、「法案が違憲か合憲かに議論が終始していた。政権はもっと法整備の必要性を積極的に説明した方がいい」と注文をつける。
札幌市東区のマンション管理会社員、赤羽政樹さん(46)は「安保法制に賛成はできない」。一方で反対とも言い切れない。「自民党内で異論が出てきておらず、首相のやりたい放題になっている感じがする。どうすれば世界が平和になるのか、日本を守れるのか、いろんな人の声を聞いて、もっといい策を見つけるのが一番だと思う」
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