[東京 18日 ロイター] - 物価が上昇しても、消費は伸びている──。東大日次物価指数のデータ分析から、こうした傾向が明らかになった。
データを解析した東京大学大学院経済学研究科の渡辺努教授は、一部に物価上昇が消費を抑えているとの見方があるが、東大指数の対象店舗の過半数で物価上昇と売上高上昇が同時に起きており、消費が堅調で価格を上げやすくなっているというメカニズムが働いていると分析している。
渡辺教授は、東大指数の対象になっているスーパーなど311店舗を対象に、今年5月から8月にかけて入手したデータを解析した。具体的には、各店舗ごとに5月から8月にかけた売上高の変化率を把握。同時にその間における当該店舗の物価上昇率を算出した。
その結果、311店舗中172店舗(55.3%)で物価上昇率が上昇し、売上高も増加。68店舗(22.6%)で物価上昇率が上昇したが、売上高は減少した。
また48店舗(15.4%)では、物価上昇率が低下し、売上高が増加。23店舗(7.3%)で物価上昇率が低下し、売上高も減少した。
渡辺教授はこのデータ分析について「物価が上がったので、消費が落ちているとは言えない結果が出ていると考える」と指摘。最も多かった物価上昇と売上上昇が同時に起きている店では「店の経営者が需要の強さを確認し、値上げしても売り上げが落ちないと判断して価格を上げているとみられる」と述べる。
昨年4月の消費増税時には、各店舗の需要の強弱に関係なく、増税ということで一律に価格上乗せの圧力がかかったが、この調査時の局面では、需要の強弱を各店舗の経営者が自由に判断して価格設定をしている点が大きな相違点だと、渡辺教授は分析。「値上げして売り上げが落ちるのではなく、需要が強いので値上げしているという順序で、変化が起きているのではないか」と説明する。
また、物価上昇率が上がって売上高が減少した店舗では、中国経済の減速とそれを発端にした株価下落、天候要因など別の要因が働いている可能性があるとみている。
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