「Apple Watch」で仕事効率をアップさせる2つの側面について

横山信弘 | 経営コンサルタント

腕時計だからこその利便性を考える……(写真:アフロ)

「Apple Watch」で仕事効率をアップさせる「仕事術」について考えてみます。「Apple Watch」の小さな画面では、iPhoneで使用できるアプリのほとんどをじゅうぶんに利用できず、iPhoneだけあれば事足りるとか、もっと機能拡張しないととても使い物にならないと思う人がいるのであれば、発想がどこか偏屈であると言えます。

おそらく「スマートフォンの次に来るのはスマートウォッチか?」というメーカー側のプロモーション戦略に毒づけられているに違いない、もしくはマスメディアの勘違いアジテーションに浸かってしまっているのではないかと思います。「Apple Watch」はiPhoneに、とって代わるようなものではなく付帯品である、高い利便性を求めること自体がお門違い、というぐらいに受け止めていたほうがよいでしょう。

「Apple Watch」は仕事の効率アップには有効なデバイスだと私は考えています。まず仕事効率アップには、2つの要素が必要であることを押さえておきましょう。

(1)正しい優先順位づけ

(2)集中力の維持

(1)の優先順位については解説不要でしょう。問題は(2)の集中力です。常時ネットワークに接続された端末がすぐ近くにあると、どうしてもそちらへ気がそれる、LINEのメッセージだろうが、芸能ニュースであろうが、関心の高いニュースソースが見つかるとついついチェックしたくなるものです。こういったノイズが、決めたはずの「正しい優先順位づけ」を崩します。そして集中力の維持ができず、生産性を落とすことに繋がるのです。

よって、iPhoneのような多機能性を「Apple Watch」に求めてはならず、削ぎ落とされた機能だけを詰め込んでもらえればいいのです。その機能とは「時間機能」。時計なのですから当たり前です。時間に関わるソリッドな機能がシンプルに、鮮やかに、搭載されていればそれでじゅうぶんではないか、と思うのです。

ITに関わる機能は大きくわけて「pull」「push」の2つに区分できます。「pull」ということは、ユーザーが能動的に関わる必要がある。「Apple Watch」の時間機能でいえば、「時刻をチェックする」「スケジュールをチェックする」「蓄積されたタスクをチェックする」といった感じになるでしょうか。

仕事効率をアップさせるためには、「スケールテクニック」を実践しましょう。「スケールテクニック」とは、感覚でとらえている物事を数値化することを言います。「その仕事、作業にどのくらいの時間がかかるか」を客観的に見積もり、定量表現するのです。これは「Apple Watch」でなくとも、iPhoneでも、キッチンタイマーでも、普通の腕時計でもできることです。「Apple Watch」だからこそできる機能ではありませんが、この「スケールテクニック」を使って作業時間をスタートする前に、終了するまでに必要とされる時間の仮説を立てておくことは、仕事効率アップにはとても有効なのでここで紹介しておきます。

大切なのは「push」。いわゆる「通知」。ユーザーが受動的に関わる機能です。あらかじめ設定していた時間になると「通知」される機能ですので、ユーザーが積極的に関わらなくてもいい分、楽ちんです。

この機能を活用することで、「お客様に見積りを出してから1週間経った。フォロー電話する時期にきた」「そろそろ上司から依頼された仕事をとりかからないとマズイんじゃないか」「1週間に1回は部下に声をかけたら?」「今日は残業せずに帰宅しろよ」といったことを「Apple Watch」に言われているような気分を味わうことはできるでしょう。

もちろん、こういった「push」の機能は、iPhoneをはじめとしたスマートフォン、タブレット、ノートパソコンでもできます。しかし、果たしてその「通知」にユーザーが気付くときは、どんなときでしょうか。気付くのは、常にその端末に接しているときのはずです。しかもそれらの端末がネットワークに接続されていると、先述したとおりノイズが常に挿入されてきて、結果的に効率の悪い仕事をするはめとなります。つまり、利便性の高いネットワーク端末に「push」機能をつけておくと、効率アップどころかノイズの分量が相対的に多くなるため、結果的に仕事効率をダウンさせることに繋がります。

ですから、スマホやタブレットと比較すると、著しく利便性の低い「Apple Watch」にこの機能があることには意味があります。常に腕に装着されている腕時計だからです。歩いているとき、人と打合せをしているとき、トイレにいるとき、コーヒーを飲んでまったりしているとき、ふとした瞬間に、「そろそろだぞ」「じょじょにやろうか」といったニュアンスで「Apple Watch」が正しい優先順位のタスクを教えてくれればよいのです。

もともとビジネスパーソンの多くは腕時計をしていたはず。電話機を胸ポケットや鞄に入れて持ち歩きはじめたのは、ごく最近の話です。本当に仕事に必要かどうかわからぬ機能まで盛り込まれた電話機をそばに置いておくより、従来からビジネスにおいて必需品であった腕時計にちょっと機能を盛り込んだ「Apple Watch」のほうが理にかなっている気がします。あくまでも仕事効率をアップする、という視点においての話ですが。

横山信弘

経営コンサルタント

現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。メルマガ「草創花伝」は3万人の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「営業目標を絶対達成する」など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は「空気で人を動かす」「空気でお客様を動かす」。

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