まずはココから

インタビュー

注目バックナンバー

不快なものや、耳障りな音もアートとして表したいんだ

MUSIC

BATTLESインタビュー 演奏だけじゃない、個性とユーモアを探る

インタビュー・テキスト:黒田隆憲(2015/09/15)

現代のポストロックシーンに多大なる影響を与えたエクスペリメンタルロックバンド・BATTLESが、前作『Gloss Drop』から4年ぶりとなる3rdアルバム『La Di Da Di』をリリースする。複数のボーカリストを迎えた前作から一転、三人だけで全曲インストゥルメンタルという初期のサウンドプロダクションとなった本作は、バンドにとって「原点回帰」的な印象を強く感じる内容である。しかしそれは、決して後ろ向きな意味ではなく、「三人こそがBATTLESである」という初期衝動に立ち返りつつ、これまで培ってきたスキルを惜しむことなく注ぎ込んだ「最新アップデート版BATTLES」の姿がそこにあるのだ。

今回CINRAでは、BATTLESでギターやベースを変幻自在に操り、さらにはアートワークにも深く携わるデイヴィッド・コノブカにインタビューを敢行。BATTLESが、ポストロックシーンにおいてオリジナリティーを発揮し続けられる要因は、そのサウンドやライブの作り方だけでなく、アートワークに対するユニークなこだわりにもあると言えよう。

PROFILE

BATTLES(ばとるす)
2002年にNYでイアン・ウィリアムス(ex.Don Caballero)、デイヴ・コノプカ(ex.Lynx)、ジョン・ステニアー(ex.Helmet / Tomahawk)、タイヨンダイ・ブラクストンにより結成されたエクスペリメンタルロックバンド。2004年には『B EP』『Tras』『EP C』と3枚のEPを立て続けにリリースし、ポストロック~マスロックシーンの隆盛とともに大きな注目を集める。精力的にライブ活動を行いながら、2005年には「Warp」と契約。2007年に1stアルバム『Mirrored』をリリースし、各メディアで絶賛を浴びると、国内外の大型フェスへの出演やツアーで大きな成功を収めた。2010年からは現在の3人編成に。2011年にリリースされた2ndアルバム『Gloss Drop』ではゲイリー・ニューマンからBOREDOMSのEYEまで様々なゲストボーカルを迎えて再び話題を呼ぶ。そして2015年、4年ぶり待望となる最新アルバム『La Di Da Di』がリリース。11月には来日公演も決定。
BATTLES — Battles third album ‘La Di Da Di’ out 18 September
::: BEATINK Official Website / Warp Records / BATTLES "LA DI DA DI" :::

一般的にバンドのアートワークはどれも洗練されているから、僕らは何の意味も持たない、ひたすら気色悪い、不快なものをアートワークに落とし込もうと思ったんだ。

―BATTLESのアートワークは、メンバーの中であなたがイニシアチブを取っているそうですが、アートへの関心はいつからあったのでしょうか?

デイヴ:子どもの頃から絵を描くのが大好きだった。中学生の頃は、「キース・ヘリング(1958年生まれ、ストリートアートの先駆者とも言われているアメリカの画家)こそが最高のアーティスト」だと思って、彼のことを崇拝していたよ。あと当然アンディ・ウォーホルも。ポップアートがすごく好きだった。でも、音楽と同じで、好きなものは歳と共に変わっていくんだよね。そこから様々な表現方法を勉強していくうちに、絵画よりもグラフィックデザインのほうが自分に向いていることがわかったんだ。

BATTLES(左がデイヴ・コノプカ)
BATTLES(左がデイヴ・コノプカ)

―それでアートスクールに進学しデザインを専攻したのですね。

デイヴ:そう。ポール・ランド(1914年生まれのグラフィックデザイナー)らアメリカの近代デザイナーや、スイススタイルのグラフィックデザインに傾倒するようになった。僕と同級生だったベン・ジョーンズは、Paper Radというアートグループを組んで面白い作品をたくさん手がけているよ。


―前作『Gloss Drop』のアートワークは衝撃的でした。溶けかけたアイスクリームのような、ショッキングピンクの物体が写っているという。これはどのように思いついたのでしょうか。

デイヴ:『Gloss Drop』を手がけた時は、ただシンプルに、「ピンクの塊」をジャケットに描きたくて。何色でも良かったんだけど、個人的にピンクが大嫌いだからピンクにした(笑)。つまり、思いっきり気持ち悪いものにしたかったんだ。「不快」とさえ呼べるものにね。

BATTLES『Gloss Drop』ジャケット
BATTLES『Gloss Drop』ジャケット

―それはなぜですか?

デイヴ:バンドのアートワークは、どれも洗練されていて、「かっこいいものでなくてはならない」というルールに辟易していたから。僕らは何の意味も持たない、ひたすら気色悪い、不快なものをアートワークに落とし込もうと思ったんだ。ピンクの塊でしかないのに、それを見たらBATTLESを思い出す、そんなものにしたかった。

―そして今作のアートワークは、積み上げられたパンケーキや、バナナが突き刺さったスイカ、3つの目玉焼きなど、これまた意味深なモチーフが並んでいます。

デイヴ:今回のアートワークは、BATTLESが音楽を作る上でのプロセスを表現しているんだ。つまり、どのようにして様々な音楽的要素を組み合わせているのか。相性のいいものもあれば、良くないものもある。中には耳障りで不快な音だってある。それをアートワークで視覚的に表したかった。しかも、表ジャケットだけで完結しているわけじゃなくて、実際にアルバムを買うと、その続きが内ジャケに描かれているんだ。アルバムを通して、ちょっとした物語になっているんだよ。

BATTLES『La Di Da Di』ジャケット
BATTLES『La Di Da Di』ジャケット

―パッケージで手に入れてこそ、楽しめるコンセプトなのですね。

デイヴ:そう。今の時代、全てがデジタル化されてしまって、ジャケットの絵しか見せられないのがすごく残念だ。個人的には、今もアルバムに思い入れがある。音楽を聴きながら、写真や絵柄を眺めたり、歌詞を読んだりして、アルバムのアートワークから刺激をもらうのが好きなんだ。それに、アートというのは、日常生活の中で人々の記憶を呼び覚ますものだと思っているから。この先、普通に食事していても、バナナとスイカを見たら卑猥な想像せずにはいられなくなるよね(笑)。

―ポップな遊び心があって、なおかつ人の記憶に深く入り込む悪戯心もある。まさにBATTLESの音楽性そのものですね。デイヴ自身、現在はアートとどのように向き合っていますか?

デイヴ:アートスクール時代はアートが生活の中心だったのに、気付いたら音楽の道に進んでいて。だからその2つの世界を結びつけることができているのは、嬉しいことなんだ。レコーディングでもツアーでも音楽で煮詰まった時はいつも、何かアート作品を作ることで気持ちを晴らしている。なぜだかわからないけど元気になるんだ。バスケットボールをやるのもフィジカル的なストレス発散になるけど、アート作品を作って脳内運動をさせることは、自分のバイオリズムにとって必要不可欠なんだよね。


インタビュー一覧に戻る

CINRA.STORE カルチャーセレクトショップ

  • yuruliku - トートバッグ「A4 TATE Tote Bag 」(ベージュ)

    ¥15,120

    紙袋の様なデザインが面白いトートバッグ

  • Akinobu Aoki - iPhone6ケース「Kaijyu Works : otoko to onna」

    ¥3,780

    大胆な構図と色彩が魅力

  • Kanae Entani - マグカップ「Yosemite mug」(ホワイト)

    ¥1,944

    刺繍で表現される可愛い大自然

  • 黒川ナイス - モバイルバッテリー「科学部(女の子)」

    ¥3,780

    謎めいた雰囲気の「リケジョ」

  • tomihiro - クラッチバッグ「SUKIYA 撫子」

    ¥14,040

    デイリーに使いたい美しい京友禅

  • 八重樫王明 - iPhone6ケース「土偶(Black)」(手帳型)

    ¥4,104

    土偶が並んだコミカルなデザイン

  • 西島大介(DJまほうつかい) - 『Last Summer』(CD)

    ¥2,484

    はかなくも美しいソロピアノ集

  • 和座本舗 - 招き猫「招きパンダセット」(ゴールド)

    ¥5,400

    ユニークな発想が楽しい「招き熊猫」

  • はらぺこめがね - Tシャツ「いちごと小娘」

    ¥3,240

    逆転した比率が面白いいちごと女の子

  • タマキ - モバイルバッテリー「kilifda - 口縫われモンスター ステッチン」

    ¥3,780

    ピンチのときの大逆転カード!

  • LEE KAN KYO - iPhone6ケース「流れ星」

    ¥3,780

    ビビッドな色使いが楽しい

  • WALLIE - 財布「WALLIE」(せきやゆりえモデル)

    ¥2,160

    ポップなデザインが可愛い2ndウォレット

  • 水内実歌子 - iPhone6ケース「AKA」(クリア)

    ¥3,024

    夢を描いたイラストレーション

  • YEN TOWN BAND - マグカップ「YEN TOWN Reprint logo Mug」

    ¥1,944

    円都と我が家を繋ぐマグ

  • ミズイロトシロ - 「ぷくぷくした」ピアス / イヤリング(グリーン)

    ¥8,100

    ガラス玉とミラーを布で包んだアクセサリー

  • SAITOE - iPhone6ケース「sulk」

    ¥3,780

    物憂げだけどポップなイラストレーション

「クレオパトラと薔薇」の共通点は? 無料 編集力チェック

HereNow Your another city guide

100 TOKYO Creative venues, products and people in Tokyo.

リューキュープラス RQ+ 沖縄を、芸術文化でもっと楽しく

CINRA.JOB 音楽でビジネスをするライフサンドの経営哲学

CINRA.JOB GREENFUNDING×TSUTAYAが描く未来

CINRA.JOB コムリエが考える「WEBブランディング」

美しく機能的なハンドメイド生活用品

端材を使用した生活雑貨・ステーショナリー

knot  木をテーマにしたミニマルで美しい生活雑貨

Danke オシャレに雨対策。フェスにも着たいレインウェア

Tシャツ特集2015! 豊富なデザインが勢揃い

POS+ 世界も注目するデザインウォッチブランド

10年前の今日、何をしていたか覚えていますか?

「結晶育成キット」神秘的な結晶の世界をDIYで

軽くて丈夫、カラー豊富な帆布バッグ

CINRA Inc,スタッフ募集中!