Column
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田巻 一彦
[東京 15日 ロイター] - 大幅な株高を実現してきたアベノミクスが、その中身を修正しようとしているのかどうか、微妙な局面を迎えているように見える。食品の物価上昇が低所得者の消費に影響を与えている可能性を指摘する意見が政府内部から出て、急激な物価上昇を懸念しているように見えるからだ。
日銀の黒田東彦総裁は15日の会見で、政府・日銀に齟齬はないと述べたが、一段の景気減速が顕著になった場合、マクロ政策の方向性が問われることになる。
<注目された内閣府資料>
政府部内にくすぶっていた意見が、内閣府提出の資料に明記され、さざ波が立ったのではないか。今月11日の経済財政諮問会議で内閣府から提出された資料には「個人消費は総じてみれば底堅い動き」としつつ、「身近な食料品等の物価上昇が相次ぐ中、低所得者層等の消費活動に影響を与える可能性」と書かれた。
簡単に言えば、食品が値上げされ、消費抑制に働いているのではないか、という見方の開陳だ。
この考え方は、2年間で2%の物価目標を達成し、デフレマインドを払しょくすることによって、経済の前向きな循環を起動させ、経済を成長させるという日銀の掲げる「基本理念」と、相容れないようにみえる。
<携帯料金引き下げ指示の波紋>
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