<宮城豪雨>町役場も一時孤立
宮城県内では河川の増水に伴い、各地で避難指示、避難勧告が相次いだ。
大和町は10日午後11時、542世帯1750人余りに避難指示を出した。吉田川など町内の六つの河川が氾濫し、町役場も一時孤立状態に陥った。中心部の国道4号は濁流車が次々に立ち往生。トラックが水没した運転手男性は「いつ救助が来るか分からない」と途方に暮れた。
河川の増水は11日に入っても収まらず、涌谷町は午前9時10分、全町民の約8割に当たる1万3416人に避難指示を出した。温泉施設「わくや天平の湯」には約550人が避難。地元の無職女性(75)は「橋の下すれすれまで増水して怖かった。早く家に帰りたい」と不安げだった。
栗原市鶯沢地区では二迫川があふれ、床下、床上浸水の被害が出た。鶯沢公民館には約80人が避難した。行政区長佐藤一男さん(71)は近所の家の玄関をたたき避難を呼び掛けたという。「市に防災無線で避難指示するよう要請したが、なかなか対応しなかった。もっと迅速に動いてほしい」と注文を付けた。
約41万人に一時、避難指示・勧告を出した仙台市。宮城野区の岩切小には最大で約570人が避難した。地元町内会の山田三夫さん(76)は「地域の詳しい情報が欲しい」と訴えた。青葉区の立町小に避難した東北大4年島岡良登さん(22)は「広瀬川の水位が高くなり、急いで支度した。インターネットで情報収集し先輩と合流できた」と安どの表情を見せた。
名取市では市道など18カ所が冠水で一時通行止めとなった。増田小に家族で避難した主婦菊地曜(ひかり)さん(35)は「東日本大震災でも車を流され、大変な思いをした。7歳と4歳の子どもがいるので、少しでも高い所に行こうとした」とあの日を思い返した。
避難指示は震災で津波被害を受けた沿岸部にも。東松島市の大塩地区体育館に家族で身を寄せた無職鹿野勝敏さん(70)は「川の濁流がすさまじく津波のようだった。震災から4年半の節目にこんなことが起きて因縁を感じる」と語った。
[写真特集]崩落、決壊、冠水…記録的豪雨 東北の爪痕
http://photo.kahoku.co.jp/graph/2015/09/11/20150911khg000000000000c/001.html
2015年09月12日土曜日