2015.09.11 10:00
いつ何時でも、健康的に、最高のパフォーマンスを。現場の第一線で活躍するプログラマ/エンジニア達が本気で健康を語る!科学的に、合理的に健康をハックするその方法論とは?
プログラマの健康を考えるイベント「ヘルシープログラマ!」が8月25日にクックパッド社にて開催された。本イベントはオライリー・ジャパンの7月に発行した「ヘルシープログラマ」の出版を記念して、現場の第一線で活躍するエンジニア達が自分自身の健康維持の取り組みを発表していく。
キッチンがあるオフィス「クックパッド社」で開催
エンジニアは長時間同じ姿勢で座り続け、PCスクリーンを見つめながら1日のほとんどを過ごす職業。その仕事柄、運動不足に陥ったり、肩こり頭痛、眼精疲労などに悩まされやすいのだ。良いコードを書くことでも夜通し開発に明け暮れることではなく、エンジニアとしての最大のパフォーマンスは「長く健康で働き続けること」。自己の価値を最大化するために、プロダクトをハックするかのごとく、自分の身体・健康をハックしていくためのメソッドとは?
井原正博さん あまりのガチっぷりに会場から笑い声も
「走る」健康法について発表をしたのは井原正博さん。井原さんはヤフーにて開発部長とクックパッドの技術部長を歴任した後に独立し、株式会社ビットジャーニーを起業したエンジニアだ。そんな井原さんが紹介するのは健康ハックはいたってシンプルで「走る」こと。
しっかりPDCAをまわす
井原さんはいわゆる「超長距離ランナー」。本業の傍ら、通常のマラソン42.195kmを超える距離を走るウルトラマラソンに挑戦している。井原さんが走りはじめたきっかけは「満員電車で通勤したくなかったから」。試しに自宅から会社まで走って通勤してみたところ40分余りで到着し、そこから走りに目覚めていったという。ハーフマラソンの挑戦からはじまり、数々の国際マラソンにも出場。100マイル走も完走。最終的にUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)を走破することを目標に日々トレーニングを積んでいる。UTMBとはモンブラン山を取り巻くフランス、スイス、イタリアの3ヵ国間約168kmを48時間以内に走りきるというもの。
そんなエクストリームな井原さんが走って良かったと思う10のこと。
「痩せる」。血圧や体脂肪率など「身体の値が改善する」。気分転換に最適「スッキリする」。「食事がおいしい」。食べた分走って消費すればいいから「食べたいものを食べられる」ここまでは一般的な「走る」効果だろう。
井原さんは精神衛生上の効果も期待できると言う。
ちなみに「話のネタが増える」ということも...。100km走るネタは普通だとありえないとか...。
株式会社アプレッソ代表 小野和俊さん
長時間同じ姿勢で座り続けてしまう作業環境への対策として、立ちながら作業をするスタンディングデスクを導入する企業も目立ってきている。立って仕事をすることで、座って仕事よりも集中力を高めることができ、カロリー消費量も高く、腰の負担を減らし、適度な疲労が睡眠の質を向上させるという。自分の作業机をボタン一つでスタンディングデスクに切り替えることができるのが「昇降デスク」だ。
その昇降デスクの自社導入事例をお話するのは株式会社アプレッソ代表の小野和俊さん。小野さんの会社は、岡村製作所のSwiftを導入した。立ちながら仕事に取り組むメンバーが増え、足元に青竹を置いたり、足つぼを刺激しながら仕事をこなすなどの独自の工夫を施す姿も見られた。その結果腰痛の改善や、午後の眠気緩和などの効果が見られたという。
株式会社ペロリ 末並晃さん
普段の食事の中で、炭水化物・糖質を制限することで健康的な身体を維持する取り組みを勧めるのが女性向けキュレーションメディア"Mery"を展開する株式会社ペロリのエンジニア 末並晃さん。末並さんは、昨年6月から糖質に制限をかけた食生活で体脂肪率を25%から10%にまで低下させた実績を持つ。
「1カロリーは1カロリーでない」
イギリス人医師による代謝優位性の実験として、同一の被験者に別々の時期に同カロリーであるが異なる構成の食事を与えた。炭水化物が大半を占める食事。脂質が大半を占める食事。たんぱく質が大半を占める食事。その結果、炭水化物では体重が変わらず、脂質の食事は0.46kg/日減、タンパク質では0.26kg/日減という結果が得られた。このことから同カロリーの食事であっても、低炭水化物、高脂質、高タンパク質の食事が体重減少効果が高いということがわかったそうだ。
この糖質を制限することはプログラマ・エンジニアに最適だという。しっかりとした理論があること。新しいことをはじめる必要がなく忙しくても実践できるということ。そして、フィードバックループを速くまわせるということがその理由。糖質制限は実践後から効果がでるまでの期間が早いため、アジャイル開発の要領でフィードバックサイクルを回すことができるとのこと。
糖質は必須エネルギー源だが、脂質とタンパク質を摂取していれば体内で生成できること。そうなれば糖質は必須栄養素ではなく、飽食の現代においてそれは嗜好品という位置づけになる。
立ち作業や歩行など日常の中でのカロリー消費ポイントを増やし、糖質を抑え、食物繊維や脂質、タンパク質を中心とした食習慣をつくる。そして、体重計測を中心として自身の状態を数字化する(=効果測定)をこまめにすることでPDCAをまわすことが「ヘルシープログラマ」になるために必要なことだ。
今回のイベントとオライリーの「ヘルシープログラマ」を熟読し、SENSORSのライターだけでなくグロースハッカーとしても活動する筆者の健康への取り組みもご紹介したい。それは「自転車」だ。
東京都内の最強の移動手段は「自転車」だと言え、効率的に仕事をするために最強のツールだと断言する。
筆者は都内の移動は全て自転車であるが、自転車の移動は電車よりも早い。汐留日本テレビからJR高田馬場駅(山手線で新橋の対局くらい)までは徒歩と電車で36分の時間を要する。
ところが自転車(クロスバイク)で移動した場合、31分で到着するという結果が得られた。もちろん交通ルールは遵守である。電車移動よりも5分早く到着した上、交通費200円が浮き、約400カロリーを消費。往復だと1日で800カロリー近く消費することになる。さらにこまめな体重計測とイベント登壇者達の食事メソッド実行した結果、精神的にノンストレスな状態で1週間で2.8kg減少に成功した。効率が求めるエンジニアにとって自転車通勤はぜひともオススメだ。
ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi