孫氏、ソフトバンク非上場化を一時検討、条件合わず断念-関係者 (1)
2015/09/11 12:48 JST
(ブルームバーグ):日米で通信事業を展開するソフトバンクグループの孫正義社長が今年、経営陣による自社買収(MBO)を検討し、資金調達について海外の出資候補者と協議したことが11日、複数の関係者の話で分かった。出資候補者と条件面で折り合いがつかず断念した。
複数の関係者が匿名を条件に語ったところによれば、孫社長は同社の株価は将来の成長性を十分に織り込んでいないと考えており、自社買収により非上場となることで機動的に事業戦略を進める狙いがあった。自社買収の動きは孫社長が主導し、ニケシュ・アローラ副社長も承知しており、少なくとも金融機関1社に自社買収の計画について相談していた。
関係者によると、この自社買収は一時期、最も重要な案件だったが6月までに断念し、現在、孫社長は同出資候補者との自社買収は考えていない。関係者は出資候補者の名前を明らかにしなかった。ソフトバンク広報担当の小寺裕恵氏はブルームバーグの問い合わせに対し、現時点で回答していない。
株価上昇ブルームバーグのデータによると、ソフトバンクの時価総額は約7兆7000億円。孫社長の持ち分(19.3%)を除いても、自社買収としては過去最大となる見込みだった。別の関係者によると、孫社長は常に大型買収を検討しているが、具体化している案件はない。
自社買収が報じられると株価は急上昇し、一時、前日比2.9%高の6748円まで買われた。午前終値は同2.8%高の6740円。
岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは、孫社長が上場を継続すると判断をしたことは「将来の業績への自信を取り戻したという見方もできる」と話した。また「スプリントの改善が投資家が注目しているポイント」と述べた。
ソフトバンクは孫社長が1981年に創業し、98年に株式を東京証券取引所市場第1部に上場した。当初、パソコン用パッケージソフトの流通会社として設立したが、買収を重ねて業容を拡大。2013年には米携帯通信会社のスプリントを買収したほか、中国のアリババ・グループ・ホールディングや国内のヤフーをグループに持つ。
孫社長は、これまでも自社買収について公の場で言及している。13年11月に開かれた故笠井和彦取締役のお別れの会では、08年のリーマン・ショック後に自社買収を検討したが、笠井氏に反対されて断念したと話した。また今年8月に自社株買いを発表した際には、ソフトバンク株が実力に対して割安なため、他の投資に比べてソフトバンク株が「一番、投資リターンが良い」と話した。
株式をめぐってソフトバンクは8月、副社長のアローラ氏が約600億円に相当する自社株を買い付けると発表。また約1200億円の自社株買いを実施した。ソフトバンク本体に加えて米子会社スプリント株も追加取得し、保有率は8割を超えた。
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更新日時: 2015/09/11 12:48 JST