ここから本文です

3万年前の新種巨大ウイルス蘇生へ、シベリア永久凍土で発見 研究

AFP=時事 9月9日(水)10時1分配信

【AFP=時事】仏研究チームは、ロシア・シベリア(Siberia)の永久凍土で採取された3万年前の巨大ウイルスを蘇生させる計画を発表した。気候変動が原因で、危険な微小病原体が目を覚ます可能性があると同チームは警鐘を鳴らしている。

3万年前のウイルスが復活、シベリア永久凍土で発見 研究

 米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に今週、掲載された研究論文で、研究チームはこの巨大ウイルス「Mollivirus sibericum」の発見を発表した。2003年以降に発見された先史時代のウイルスとしては4種類目で、同チームによる発見はこれで2個目となる。

 研究チームはウイルスを蘇生させる際、動物や人間に病気を引き起こす可能性がないことを事前に検証する必要がある。

 ウイルスが「巨大」とみなされるには、全長が0.5ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)を上回るものでなければならない。

「シベリア由来の柔らかいウイルス」という意味の名前のMollivirus sibericumは、ロシア北東部の永久凍土層で発見され、0.6ミクロンで巨大ウイルスの仲間入りをした。


■無防備な産業化で天然痘復活も

 北極と亜北極の地域では、気候変動によって世界平均の2倍以上のペースで温暖化が進行している。これは、永久凍土層がもはや「永久」ではなくなっていることを意味する。

 今回の研究を率いた研究者の1人、ジャンミシェル・クラベリ(Jean-Michel Claverie)氏は、AFPの取材に「潜在的な病原性ウイルスを復活させるには、感染しやすい宿主が存在する下で、感染力を依然として持つウイルス粒子が数個あれば十分かもしれない」と語った。

 これらの巨大ウイルスが発見された地域では、鉱物資源、特に石油の乱開発が進められており、氷の融解が進行するにつれて、産業開発がますます盛んになることが見込まれる。

「これらの地域で無防備に、感染予防策を講じずに産業化を進めると、根絶したと考えられている天然痘などのウイルスを目覚めさせる事態を招くリスクを負うことになる」とクラベリ氏は続けた。

 クラベリ氏と研究チームは、安全な実験室条件の下で、宿主となる単細胞アメーバと同じ環境に置くことで、新発見のウイルスの蘇生を試みる予定だ。

 フランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific Research、CNRS)で研究室を運営するクラベリ氏と研究チームは2013年、今回と同じ場所でPithovirus sibericumと呼ばれる別種の巨大ウイルスを発見し、シャーレ内で蘇生させることに成功している。【翻訳編集】 AFPBB News

最終更新:9月9日(水)16時7分

AFP=時事

Yahoo!ニュースからのお知らせ

本文はここまでです このページの先頭へ

お得情報

その他のキャンペーン