写真家:中平卓馬さん死去77歳…先鋭的表現、評論活動も
毎日新聞 2015年09月04日 19時02分(最終更新 09月04日 19時35分)
時代の感覚を鋭く捉えた作品で知られる写真家の中平卓馬(なかひら・たくま)さんが1日、肺炎のため横浜市の病院で死去した。77歳。葬儀は近親者で営む。後日、お別れ会を開く予定。
東京外国語大で学んだ。雑誌「現代の眼」編集部を経て、1960年代半ばから写真を撮り始めた。68年、写真同人誌「プロヴォーク」を高梨豊さんらと創刊。70年には写真集「来たるべき言葉のために」を出版し、粗い粒子とぶれ、ピントのぼけなど「アレ・ブレ・ボケ」を特徴とした詩的なモノクロ写真が影響を与えた。
評論活動でも知られ、73年の評論集「なぜ、植物図鑑か」では、過去の作風と決別して、「事物を事物として凝視した」植物図鑑のような写真を撮ると宣言。77年に倒れ、記憶の一部を失うも、翌年、撮影活動を再開した。写真集「新たなる凝視」(83年)では被写体に真っすぐ迫った作品で復活を印象付けた。2003年には、近作から初期作品までをさかのぼる写真展「原点復帰−−横浜」を横浜美術館で開催。12年春から体調を崩し、療養を続けていた。