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 愛知県は3日、県障害者差別解消推進条例案について、障害者団体への事前の説明が不十分だったとして、17日開会の県議会9月定例会への提出を見送ると発表した。団体から「我々の意見を盛り込んでほしい」と要望があり、大村秀章知事が決めた。

 大村知事は3日の会見で「関係の皆さんに喜んでもらうためにやっている。急がば回れ」と説明した。

 全国の都道府県では初めて、障害者に接する際の県職員の要領策定を義務づけるなどの条例案で、県は議会側に提出の事前説明を終えていた。ただ、27の障害者団体で構成する「愛知障害フォーラム」に知らせたのは8月末。条文案の詳しい説明もなかった。

 同フォーラムの辻直哉事務局長は「他の自治体でも当事者の意見を聞かずに条例をつくった例はないはず。知事の判断は歓迎する」と述べた。

 県議会では、視覚障害者が使う白杖(はくじょう)を「危険物」として持ち込みを制限し、障害者団体から2月に抗議を受けて撤回していた。