信頼していた友人に裏切られる。避けたい事態だろう。
このたびオンラインゲームのやり取りを分析した結果から、仲間内で裏切りがありそうになると、やりとりで使われる言葉に微妙な変化があると分かった。
同盟を組むゲームで検証
米国コーネル大学を含む研究グループが、中国の北京で開催されたコンピューター言語協会(ACL)第53回年次総会(2015年7月26日〜31日)で報告。同大学が紹介した。
研究グループが使ったのは、第一次大戦前の欧州を舞台に覇権を争う「ディプロマシー」というゲームのオンライン版。
日本で言えば、戦国時代の戦国大名の役を演じて、国取りをするゲーム。欧州のフランスやドイツなどを担当して、戦争をする。勝敗は運ではなく自軍が持つ力で決まるために同盟国間の交渉や相談が重要になる。
最終目標は1国による全土制圧で、必然的に裏切りや約束の反故は発生しやすい。
ヒントとなる言葉を探した
研究グループは、2人の同盟プレイヤーがオンラインで交わしたメッセージ14万5000件のデータを分析した。
同盟が裏切りに終わったペアと、そうならなかった同様のペアで会話を比べていった。
注意して拾った言葉としては、肯定的および否定的な感情や礼儀正しさを示す言葉のほか、計画(「次は」「それから」)、主張(「と思う」「と考える」)、時間(「まだ」「その間」)、比較(「〜ほどの」「〜後」)を示す言葉。
言葉のパターン、アンバランスに
裏切りの発生するタイミングが迫ると変化が表れた。
最も明らかだったのは、裏切るプレイヤーの方の変化で、メッセージの中に肯定的な感情を示す言葉が増え始める一方で、礼儀正しさを示す言葉が減った。さらに、2人の間の言葉のパターンのバランスが崩れていった。
裏切られる方は「計画」を示す言葉をより多く使い、裏切りに気づく兆候はなかった。
「グループ作業の効率化に」
研究グループは、「恋人や友人に裏切られないためのハウツーではないが、ソフトウェアの開発やクラウドソーシングなど、グループで働く場合の効率アップに役立てられるのではないか」と説明する。
さらに、グループ作業を成功に導く方法について研究を継続するという。