7月の実質賃金、2年3カ月ぶりプラス-今後の消費回復の鍵
2015/09/04 11:44 JST
(ブルームバーグ):物価の影響を加味した実質賃金が2年3カ月ぶりにプラスとなった。生鮮食品を除いたコアの消費者物価上昇率がゼロ%近辺で推移していることに加え、今春闘の賃上げの動きが広がり基本給が増加したことが主因。
厚生労働省が4日発表した毎月勤労統計調査によると、現金給与総額と消費者物価指数で算出した7月の実質賃金は前年同月比0.3%増だった。実質賃金がプラスとなったのは2013年4月の0.4%増以来。6月は3.0%減(修正値)だった。現金給与総額(従業員5人以上の事業所)は0.6%増の36万7551円。05年11月以来の大幅な伸び。
基本給などの所定内給与は0.6%増の24万983円となったほか、残業代などの所定外給与も0.6%増えた。ボーナスを含め特別に支払われた給与は0.3%増。
SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストはリポートで、「今月の押し上げは小幅で、6-8月でならして評価すべきだろう」としながらも、「ベアの効果が顕在化してきたようだ。名目賃金が増加する中で物価は鈍化しており、賃金は名実とも緩やかな改善を続けているといえよう」と分析した。
8月17日に発表された4-6月期の実質国内総生産(GDP)では、項目別で全体の6割を占める個人消費が0.8%減と低迷。同日の記者会見で甘利明経済再生相は消費者の間に「食料品の値上がりが大きいので、 実質収入が減っているという肌感覚がある。肌感覚の物価上昇があるにせよ、賃上げがそれを凌駕(りょうが)するという期待が持てる経済にすることが重要だ」と語った。
牧野氏は消費について、「実質所得は今後の消費回復のカギとなる。今後、前年プラス2%程度に達し、消費増税によって切り下がった分を取り戻す見込み」と予想した。
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更新日時: 2015/09/04 11:44 JST