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鳴かぬなら埋めてしまえ新国立


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headlines.yahoo.co.jp

政府は28日午前、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場に関する関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪担当相)を首相官邸で開き、新たな整備計画を決定した。
 総工費の上限を1550億円とすることが柱。9月1日に設計・施工一括での企画案公募を行い、年内に事業者を選定、20年4月末の完成を目指す。
 会議には安倍晋三首相も出席し、「原則として競技に必要な機能に限定した結果、工費を大幅に圧縮できた」と強調。「20年大会に間に合うよう、確実に完成させる必要がある。今後、進捗(しんちょく)状況を国民にしっかりと説明してほしい」と指示した。併せて財源負担に関し、東京都と協議を進めるよう求めた。

 旧計画で2520億円に膨らんだ総工費を抑制するため、開閉式屋根を設けず、屋根は観客席上部のみにする。用途は原則としてスポーツに限定。暑さ対策として検討していた観客席の冷暖房設備設置も見送った。
(中略)
 収容人数は6万8000人とするが、将来のサッカー・ワールドカップ(W杯)招致を見据え、客席増設で最大8万人に対応できるようにする。五輪の陸上競技で必要となる、直前練習のためのサブトラック(補助競技場)は「徒歩圏内に仮設で設置する」とした。

昨日、ニュースを見てたら街頭インタビューをやってた。
一人のオバハンがその中で「できるだけ、安くねぇ、できれば」ということを言っててそれはなんか違うよなーと。
いつから「ともかく安く造るべきだ論」になったんだか。




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まず前提として建てなきゃいけないところから始める。
建てなくていいんじゃね?何かで代用すれば?という基礎の筋は外す。
もともと補修だけで、壊さなくてよかったんじゃね?というそもそも論も置いとく。

もう猪瀬はいい。
新しく建てる。

壊したんだし、行事も決まってる。
スケジュールは切迫、作らなきゃあ仕方がない。
予算を使うため、無駄に道路工事やってるより税金の使い道としてよほどマシ。


で、建てるとなればそれなりの建物でなけりゃならない。
いざってときの防災だって考えなきゃいけない。

地震が来て壊れていいなら中国の建築業者でも呼んでくれば安く早く作ってくれる。
なにせ57階建てのビルを19日で作ったんだから。www.jiji.com


収容員数は8万人を想定してるんだからかなりでかい。
なにせ東京ドームで5万5千人、SSAで3万7千。

どっかで
「○○球場は○○億で建てられたのになんでそんなにかかるんだ!」
みたいなツイートを見かけたけど、都内にバカでかい箱モノを作るんだから地方で球場作るより高いのは当然。
建築資材、部材だって地方によって価格が違う。
人件費もかかる。
地方都市で球場を建てるのとはコストがまったく違う。


以前に西武ドームを造ったとき、全天候型のドーム球場にせずに横に穴を開けた。
おかげで建築費も安くなった、税金も安くなったのでランニングコストの削減にもなった。
しかし、冬は寒く狭山湖を渡る風が吹き込む極寒のドーム球場になった。
一度映画の試写会で真冬にドーム行って、ほんと凍死するかと思った。
真冬にあそこでライブをやるとき、観客はダウンジャケットで鑑賞するのが常。
予算をかけない、ランニングコストを抑えるなら観客に何かしらの我慢を強いることになる。

http://www.flickr.com/photos/31167421@N07/6556057305
photo by Associated Fabrication

で、今回は高い高い無駄だ無駄だって話が延々とあった末に
「もう屋根とかよくね?安くしろよ。え?……冷房?屋根ないのに冷房入れたら文句言うヤツでてくるに決まってんだろうが!外せ外せ!!」
って考えた輩がいたんだろう。

www.asahi.com

もう安けりゃいいって話しか見えない。
8万人収容は金かかるから6万5千にして、冷房やめて、それでもまだ高い!過去はもっと安く上がってるぞ!
……っていや、国立競技場の建て直しだからさ。
何と比較して言ってんのか。
いわゆる「現代のレートで換算して○○円」ってやってんのかね。


安かろう良かろうになってるのがおかしい。
「安くていいものを」は無茶とするなら「そこそこかかってもいいものを」が次点の筈。
だって国立競技場は一回の使用を目的としてるわけではなく、恒久的に使うわけですよ。
それなりの代物を作ってそれを使い続ける。
「ともかく安く!」の発想は、恒久的に使用する建物なんだ、って感覚が欠落してるように感じる。

www.jpnsport.go.jp

あれだけデザイナーが競い合ったコンペ結果もうっちゃって、もうなんだか「とりあえず文句が出ないように造っとけ」で進んでるこの新国立競技場ってなんなんすかね。
ジョン・ガリアーノチックにデーハーなザハじゃなく、ワビサビなSANAA案だったらもっとしっくりきてたのに(あとのまつり)。

というかザハ案でもあの下品な(失礼)デザインを納得できるように説明できれば通ったろうに、それができないで
「え?デザインやり直し?マジで?え?高い?え?もう止めようや」
と迷走にハマった末が現在のこれ。
今、どんなデザインに向けて突っ走ってるかの話なんて誰もしない。

「デザインが悪かったん、だから撤回しました」
「白紙に戻してやりなおします「
「屋根は高いんで止めます、冷房も止めます」

いやいや、だったら最初の「デザインありきのプロジェクト」はなんだったんだろう。
最初からデザインと予算やコストを合わせた上でコンペするのが常道だろうに。
もうあの人らが何をやりたいのか全く分からない。
今やデザインの話じゃなく総工費がいくらだ―冷房だ―なんて話しか聞こえない。

あんだけ揉めたのにデザインはどーなった?!


ザハ案がダメだから他案が浮上するのかと思いきやそんなこともなく有耶無耶なまま突き進んでる現在。
いったいどんなクソダサい新国立競技場が安く仕上がるのか。
見た目なんだか経費なんだか。

安かろうダサかろう脆かろうでは危ないので、せめてしっかりした建物にして欲しいものです。
怖いのでリサイクル素材とかやめてください。

「日本の閉塞的な状況を打ち破る意味でも、(ラグビーの)ワールドカップやオリンピック、そして壮大なスケールのエンターテイメントができることを期待している」、「最優秀案は相当な技術力が必要である。これが日本でできるとなれば、世界へのインパクトがある。材料、工法、構造技術、設備技術について、日本の優秀さを世界にアピールできて、世界中の人たちから注目を集めることができたら素晴らしい
新国立競技場、「ザハ」なぜ選ばれた 審査激論の中身 :日本経済新聞

日本の優秀さどころか迷走っぷりが世界に伝わり、非常に正しい印象を与えると思われる。

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※タイトルは久々にホッテントリメーカー使用