もう法人化で悩まない!
【保存版】フリーランス法人化のメリット・デメリットと、7つの必須手続きまとめ
現在フリーランスとして活躍する人のなかには、そろそろ法人化するべきかどうかを迷っている方も多いのではないでしょうか?
法人化すれば、「節税できるのでは?」「新規のクライアントが増えそう」といったイメージもあると思います。
しかし、
・「手続きは難しそうだし、金銭面でも本当に得することが多いのか?」
・「どのタイミングで法人化すればいいのか?」
など、分からないことがたくさんあり、心配になってしまうことも確か……。
そこで今回は、法人化するメリットやデメリットを検証。さらに、法人化するためのステップや注意点をご紹介します。
フリーランスが法人化するメリットとは?
金銭面
- 収入が多ければ多いほど節税できる
- 役員報酬、退職金を経費にできる
- 社会保険に加入できる
- 最大2年間、消費税の支払が免除される可能性がある
- 決算期が選べる
○収入が多ければ多いほど節税できる
ご存知の通り、個人事業主であるフリーランスは所得税を支払っています。
自分で確定申告をしたことがある方なら、課税所得(収入-経費等)が多ければ多いほど、所得税を多く払わなければならない累進課税方式という仕組みをご存知なのではないでしょうか。
例えば、※1課税所得が900万円以下だと所得税は23%、900万円を超えると33%、1800万円を超えると40%、4000万円を超えると45%という風に、課税率はどんどん上がって行きます。
※1. 国税庁HP「所得税の税率」より
一方、法人化したら、支払う税金が法人税に変わります。法人税であれば、比例税率(固定税率)が適用されるので、資本金の額に関わらず、※2税率は最高23.9%にとどまります。
※2. 財務省HP「法人税率の推移」より
つまり、法人税ならば課税所得が多くなればなるほど税率が高くなるということが無いのです。
また、※3資本金1億円以下の中小法人なら、課税所得800万円以下における税率は、15%に下げられるという優遇措置もとられています。
※3. 財務省HP「法人税率の推移」より
○給料(役員報酬)、退職金を経費にできる
会社員から個人事業主になった経験のある方なら、自分の給料が経費として認められず、驚いたことがあるかもしれません。
でも、法人化すれば、給料(役員報酬)や退職金までも経費に算入できます。
もちろん、不当に高い報酬、退職金は認められませんが……。
法人化した方からは、「これでやっと、稼いでいると認められた気がしました。」といった声も出ています。
個人事業主だと、事業に必要な費用と生活費が曖昧になり、生活にいくらかけられるかが分からない、といった状態にもなりがち。しかし、法人化することで給料が支払われるとなれば、お金を明確に分類しやすくなりますね。
○社会保険に加入できる
ご存知の通り、個人事業主や事業専従者(青色申告・白色申告を行う個人事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族で、その年を通じて6ヶ月以上その事業にもっぱら従事している人)は、国民保健、国民年金に加入することになっています。
しかし法人化をすれば、本人も、従業員も、社会保険(厚生年金や健康保険)に加入することができるのです。
社会保険だと、国民年金よりも将来受け取れる年金額が増えるという金銭面のメリットのほか、
「求人を出すときに、『社保完備』という一文字が入っていると反応がまったく違う。」
という、人材面のメリットを主張する経営者の方も見受けられました。
○最大2年間、消費税を支払わなくていい
個人事業主でも、法人でも、課税売上高が1000万円を超えると消費税を支払わなくてはなりません。
一方、法人化した場合、資本金が1000万円未満であれば、最初の2年間は消費税の納税義務が免除される場合があります。
また課税売上高が1000万円を超えている個人事業者も、起業して最初の2年間は、消費税の支払いが免除される場合があります。
そう考えると、フリーランスデビューから2年経ったところで法人化すれば、さらに2年間消費税が免除されることに。つまり、合計4年間消費税が免除されることもあるのです。
ただし、フリーランスになった段階、法人化した段階それぞれで、特定の条件を満たしている方は消費税が免除されません。条件の詳細は、国税庁のHPから参照できるので、こちらをご確認下さい。
消費税が免除されるこの2年という期間は、
法人化するタイミングのひとつの目安として、覚えておくと良いかもしれません。
○決算期が選べる
個人事業主の場合、決算期は12月。自分の都合で変えることはできません。
また確定申告、納税も3月15日までに行わなくてはならないので、「1年で一番忙しい時期になぜ?」と頭を抱えたことのある方も多いのではないでしょうか?
しかし法人であれば、決算期は何月にでもできるし、後から変更することも可能です。
そのため経営者の中には
「決算期は事業の繁忙期を避け、閑散期に済むようにしている。」という方もいるようです。
また「税金の支払いが重圧になって資金繰りが大変」という事態に陥らないように、入金の多い時期に税金を納付できるよう、決算期を調整している法人もあるようです。
業務面
- 社会的な信用が上がる
- 人材が集まりやすい
○社会的な信用が上がる
個人事業者が誰でも一度はぶつかったことのある壁、それは社会的な信用でしょう。
個人事業者からは、
「フリーランスだと特に新規の取引先から信頼が得にくく、事業拡大が厳しい。」
というコメントや、
「取引先から“法人化したら契約できるのに”と言われてしまった。」
といった嘆きのコメントが上がってきています。
システム会社の経営者からは、
「サーバー設定からコーディング、プログラミング全てを請け負うとなると、個人事業主だと不安がられてしまうようです。スキルがあって業界でも相当の有名人なら別ですが……。やはりこういう規模の大きい案件は、法人で社員の多い企業のほうが受けやすいのです。」
といった声も。
さらに、銀行からの融資を受けたり、事業に対するさまざまな助成金を受けるときも、法人化していると有利な面があるようです。
今後、取引企業を増やし、事業を継続的に拡大して行きたいのなら、法人化するのがベターかもしれません。
○人材が集まりやすい
例えば、
システム受託を行っている会社なら法人化することで、規模を拡大したいときにエンジニアを集めやすくなるなど、人材を確保しやすくなるケースは多いようです。
いい人材を確保できれば会社も成長できるし、事業の拡大にも直接つながるため、法人化は会社経営の観点からも、大きなメリットとなります。
その反面、元経営者からは、
「業務をサポートしてくれて助かる面がある一方、自分は従業員の人生を背負っていることになる。そう考えると、かなりの重圧を感じた。」
といった意見もありました。
フリーランスが法人化するデメリットとは?
金銭面&業務面
- 設立登記などの手続きに時間を要する
- 会社が赤字でも、法人住民税の均等割を支払わなければならない
- 社会保険料がかさむ
- 会計・税金の知識は必須
△設立登記などの手続きに時間を要する
法人化する場合、法務局に設立登記申請に行かなくてはなりません。
また登記の際には、株式会社の場合、登記代、印紙代だけで24万円ほどの費用がかかります。
さらにその前に、書類一式を揃えたり、出資金を準備したりと、かなり手続きに時間を要します。
書類は国税局のHPなどでダウンロードできますし、ハウツー本も多数出ているので独学で行うことができますが、
「書類作成に数日かけたのに書類が不備だらけ。結局司法書士さんに頼みました。」
と、苦い経験を語る経営者の方もいました。
司法書士や行政書士、税理士の方などにすべての手続きをお願いすることもできますが、その場合、追加で10万円前後の出費は覚悟したほうがいいかもしれません。
ただ経験者のなかには、
「最初は分からないことばかりでも、手続きを自分で進めたり、定款を自分で作成したりしながら、会社経営の予習ができた。」
という声もありました。
△会社が赤字でも、法人住民税の均等割を支払わなければならない
メリットの部分では、法人化することによってさまざまな節税効果が期待できることを説明しました。
しかし法人の場合、会社の利益に関係なく、毎月7万円ほどの均等割を支払わなくてはなりません。
「事業の収支に余裕がある時には負担にならないが、厳しくなってくるとそういった税金の支払いがきつくなる。」
という元経営者の声もありました。
△社会保険料がかさむ
法人化した場合、本人も含め、加入要件を満たすすべての従業員を社会保険に加入させることになります。
社会保険料は、半分は本人もしくは従業員が負担、残りの半分は会社が負担することになります。
社会保険に入っていると将来への安心はありますが、それなりの負担も必要ということですね。
また社会保険に未加入であることが判明したら、2年間さかのぼって支払いを行う必要があるので、こちらも要注意です。
△会計・税金の知識は必須
法人化したら、会計処理の複式簿記による記載はマスト。企業の財政の状況を把握する財務諸表(BS/PL/CS)について理解し、決算報告に向けて準備を進めておかなくてはなりません。
勉強は大変ですが、会社の順調な経営を行っていくためにも、経理の知識はやはり必要なのかもしれません。
さらに必須なのが税金の知識。面倒だから税理士や会計士に丸投げ、という方もいるようですが、
「帳簿付けは自分でやって、決算などの複雑な手続きのときだけ税理士にお願いしています。」
と、ある程度は自力でこなす経営者の声も。
不要な税金を払わないためにも、税理士のアドバイスをもらいながら、自分でも節税対策を怠らないそうです。
ちなみにある経営者の方にお話を伺った所、税理士への報酬は、年間20万円。相場的にも15~30万円くらいだそうです。
※こちらでご紹介した税理士への報酬は一例です。ケースによって異なります。
法人化への7ステップ
株式会社設立の一例を7つのステップに分けて見てみましょう。
7ステップ目次
- 1.設立手続き
- 2.設立登記の申請
- 3.法人名義の口座の開設
- 4.取引先への案内を出す
- 5.役員報酬を決める
- 6.健康保険・年金の手続き
- 7.諸官庁への届け出
1. 設立手続き
株式会社設立の場合、会社設立準備を進める発起人の決定からスタート。社名、事業内容などの基本事項を決め、定款の作成をします。その後、出資金の振り込みなどを行います。
※4. 株式全部を発起人が引き受ける「現金出資による発起設立」を想定しています。
2. 設立登記の申請
本店所在地管轄の法務局で設立登記申請を行います。申請書、定款、印鑑証明、資本金振込が証明できる通帳のコピーなどが必要です。※5出資金の0.7%(最低15万円)の登録免許税や※6収入印紙代4万円、※7定款認証手数料約5万円などがかかります。
※5. 国税庁HP「登録免許税の税額表」より
※6. 国税庁HP「印紙税額表」より
※7. 公証人手数料令第35条より
3. 法人名義の口座の作成
法人名義の口座開設に必要な書類は、銀行によって異なります。
各銀行のWebサイトに、法人口座開設の案内が載せられているので、
開設前に確認をしておくことで、スムーズに手続きを行うことが出来るでしょう。
近年、法人名義の口座を使った振込詐欺などの犯罪が増加してきたため、法人口座開設の審査が非常に厳しくなってきているのも事実。審査に時間を要する場合もあるので、登記事項証明書を発行してもらったら、速やかに口座を開設するようにします。
4. 取引先への案内を出す
開業したばかりのころは、今までお付き合いのあった取引先にお世話になることが多いもの。個人事業主のころからのクライアントをはじめ、元同僚、知人友人まで、開業の案内を出すようにしたいものです。
案内には必ず、下記を記すようにしましょう。
<取引先への案内に記入するべき項目>
○ 社名、屋号
○ 開業日時、オフィスの所在地
○ 電話番号、メールアドレスなどの連絡先
○ 事業内容の詳細
5. 役員報酬を決める
※8会社設立から3カ月以内に、役員報酬=給料を決めなければいけません。その金額は事業年度が終わるまで変更することはできません。
※8. 国税庁HP「役員に対する給与」より
この給料はある程度の売り上げを見越して決めたいもの。また、「経費にもなるから」と欲張って給料を高く設定しすぎても、社会保険料がはね上がってしまうことになります。
6. 諸官庁への届け出
会社を設立してまず行かなければならないのは、税務署と都道府県の税務事務所。税務署では国税関係、税務事務所では地方税関係の届け出を行います。
この手続きが終わってようやく、会社設立について公に知らせたことになります。
ここで要注意なのが、手続きによって、提出期限が異なるということ。
例えば、※9法人設立届出書は設立から2カ月以内、※10青色申告の承認申請書は設立から3カ月を経過した日か事業年度末の、いずれか早い日の前日までが提出期限となっています。
※9.10. 国税庁HP「新設法人の届出書類」より
また個人事業から法人化した場合、※11事業開始日から1カ月以内に個人事業の開業・廃業等届出書を提出しなくてはなりません。
※11. 国税庁HP「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」より
さらに、従業員を雇用した場合には、※12労働基準観察署で労働保険の保険関係成立届を、※13公共職業安定所で雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届を提出しましょう。
※12.13. 厚生労働省HP「労働保険制度(制度紹介・手続案内)」より
7. 健康保険・年金の手続き
※14社会保険、すなわち厚生年金と健康保険への加入は、従業員が1人以上の法人に義務付けられています。
そのため、会社設立後はすみやかに管轄の年金事務所で加入手続きを行うようにしましょう。
※14. 労働保険事務組合HPより
まとめ
いかがでしたでしょうか?
会社設立準備から登記手続き、諸官庁への届け出など、ずらりと並べるとやっぱり大変そう……そう思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際に法人化を経験した人の多くは、司法書士や税理士など、プロの手をうまく借りながら何とか乗り切っているようです。
また、法人化のタイミングですが、
売り上げ的には、
「課税売上が500万円くらいでも今後事業を拡大したいなら法人化も検討したほうが良い。」
「のちのち資金繰りに困らないためにも、課税売上1000万円以上がボーダーライン。」
といった声など、人によって意見は様々で、答えはひとつではないようです。
また、
「フリーでも大きな案件は経験できるが、事業を興したり、運営するような経験はできない。」
「失敗するリスクもあるが、チャレンジしたい人は一度やるべし!」と、
法人化し、会社を経営するという経験そのものを重視する声もありました。
本記事で紹介したメリット・デメリット、さまざまな意見が、法人化を検討しているみなさまの参考になれば幸いです。
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