金さんが切に願った通りに公演は進み、最後の第3部「祭り」を迎えた。公演直前の4日間、徳島では伝統的な祭り「阿波踊り」が行われた。まだ冷めやらぬ阿波踊りの熱気は、今回の公演にも及んだ。韓国の伝統舞踊「サムルノリ」のグループによる演奏に合わせ、阿波踊りの踊り手たちが登場し、その後に韓服(韓国の伝統衣装)を着た韓国の踊り手たちが登場した。そして両国の踊り手たちが阿波踊りの掛け声「ヤットサー、ヤットサー」を掛けると、客席に座っていた中年の女性たちも応じた。観客たちはサムルノリのグループが踊る阿波踊りの4分の2拍子に魅了されたかのように拍手を送った。「金昴先パルリム舞踊団」は、2002年のサッカー・ワールドカップの韓日共催をきっかけに、01年から阿波踊りに参加した。当時、外国人の舞踊グループとしては初めての参加だった。金さんは「チマチョゴリを着て阿波踊りに参加するなという、国粋主義者たちからの脅迫も受けた。だが、年を追うごとに有料の客席を埋め尽くすほどの地域住民たちの間で人気が高まった」と話した。
今回の公演を見るため、九州から来た教師のカヤ・イズミさん(37)は「3、4年前に韓国を旅行し、伝統音楽や舞踊の公演を見て以来、年に2回ほど韓国へ行き、公演を観覧している。まだ韓国語が下手なため意思疎通は難しいが、韓国の伝統音楽や舞踊を観覧するときだけは思いを伝えられる」と話した。