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 中国北京市郊外で16日、9月3日の「抗日戦争勝利70年」の軍事パレードに向けて飛行訓練中だった軍用ヘリコプターが墜落し、当局が中国メディアに報道を禁じる通達を出していたことが、複数の目撃証言や関係者の話で20日明らかになった。

 天津市の爆発事故でずさんな安全管理体制が問われているなか、軍事パレードの演習中の事故が表になれば、習近平(シーチンピン)指導部の権威を損ないかねないとして、隠蔽(いんぺい)する狙いがあるとみられる。

 現場付近の目撃者の話を総合すると、軍用ヘリは16日午後3時すぎ、北京市通州区の軍総参謀部陸航部の飛行場付近の上空を飛行中、突然テールローター付近から黒煙があがり、らせん状に回りながら墜落していったという。20代の乗組員3人が死亡したとの証言もある。現地では軍当局から事故の箝口令(かんこうれい)が敷かれていた。中国国内メディアも20日の時点で、事故に関する情報を一切報じていない。関係者によると、宣伝部門当局から報道を禁じる通知が出されたという。

 指導部は9月3日の抗日戦勝勝利の軍事パレードを大国としての威信をかけた国家行事と位置づけており、20日も事故現場では軍用ヘリ40機あまりが編隊を組んで飛行訓練を実施した。外交筋は「事故が起きれば同機種か全機種の訓練を中止し、原因究明と再発防止を優先するのが通常だ」と話す。(北京=倉重奈苗)