Readyそうだ、夏全開のデートしよう
こんにちは、ライターのカツセマサヒコです。
突然ですが、あまりに暑くて、本当に暑くて、もう仕事も勉強もやる気が出なくなってしまったら、とびきりのデートとかしたくなりませんか? 仕事が進まないのも、宿題ができないのも、もう全部夏のせいにして全て忘れて、その時間のことだけを感じていられるようなとびきり甘いやつです。
たとえば僕の青春時代には一秒も出てこなかったような超絶美人が現れて、一緒に七里ヶ浜に行く。で、もう夏しか感じられないロケーションで、「ひと夏の恋」なんて陳腐な言葉が大好きになるようなデートをしちゃうんですよ、そこで。
とびっきり典型的なキラッキラデートができるなら、あとはもうひたすら扇風機の羽のホコリを取る仕事に従事してもいいと思っている僕ですが、その話を居酒屋でしたら、アシタノプラン編集長が「理想をいえば、誰とデートしたい?」なんて聞いてくるんです。
「そりゃあ北山詩織さんでしょ」と答える僕に、彼女はレモンサワーを片手にこう言いました。「じゃあさ、デートしてきたらいいじゃん」「えっ! いいんですか⁉︎ いけるんですか⁉︎」とはしゃぐ僕に、彼女は言い放ちました。「脳内でな」と。
……そういうわけで、僕が考える「理想の美女と行く夏全開のデートプラン」を、僕の大好きな北山詩織さんに実際に協力してもらって再現します。
なお、残念ながら僕は撮影に同行させてもらえなかったので、ここから先は全て僕の頭の中の出来事になります。どうかご了承ください。
※執筆上のモチベーション維持のため、僭越ながら北山詩織さんのことを「詩織」と呼び捨てすることを深く深くお詫び申し上げます。
14:00とびきり夏なデートは、江ノ電を降りたところから
「カツセさん、具体的にどんなデートしたいの?」
編集長の質問を受けて、僕はハイボール片手に、真剣に語りはじめます。
「いいですか、デートは、駅から始めたいんですよ。
『車で彼女の家まで迎えに行って、そこからドライブで海へ』なんてのも確かにいいんですけど、もっとこう、電車の中で『今日の恰好、変じゃないかな……?』と窓に映る自分の姿を確認しててほしいし、『もしかしたら同じ車両に乗っているかも……!』なんてドキドキしながら周りを見回したりしてるの、想像するだけで最高じゃないですか。
だから、詩織との待ち合わせ場所は七里ヶ浜駅の前なんです。
僕が駅に着くと、詩織は手すりに寄りかかりながら遠くを見ていて、まるで僕のことなんてこれっぽっちも待っていないような涼しげな顔でそこにいるはずです。
僕は詩織を驚かせないように、でもきちんと声が届くように、「お待たせ」という一言とともに福士蒼汰もびっくりな爽やかさで登場します。(あくまでも妄想につき、僕は福士蒼汰にも又吉にもなれるのです)
彼女はそれを受けて『遅いよ~』と、少し頬を膨らませて怒ったフリをしてくれます。僕は『ごめんごめん』と詩織の頭をポンと撫でるんです。
このやりとりがあまりにベタで、セオリーどおりだったとしてもかまわない。 せっかくの夏デートなら、ベタすぎるくらいがちょうどいいのです。
『七里ヶ浜で降りたの初めてなんだけど、本当に目の前が海なんだね』と詩織が言うと、僕はまるで自分が褒められたかのように照れながら『いいところでしょ?』とドヤ顔で言います。
自分の街に誇りを持っていることって、かっこよくないですか? 僕は別に七里ヶ浜出身ではないですけど。
きっと詩織はカメラが趣味なので、華奢な体にはアンバランスなぐらい大きな一眼レフと、細い指先に収まるフィルムカメラを持っているはずです。いつもいろんな画を切り取っている彼女が、街を見回しながらずっとウキウキしているのもたまりません。
『どうしよ、こっちの角度かな? うーん、やっぱりこっち……?』
七里ヶ浜は街全体がフォトジェニックだから、彼女を飽きさせないと思うんですよね。企んでいる顔を見ているだけで、こっちもワクワクしてくるから最高です。その様子を見ながら、僕はいつになったら彼女の持つ一眼レフのストラップに転生できるのか考え続けているんです。
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TEL・予約
0466-24-2713(江ノ島電鉄)
14:30僕らはテラス席でクランベリージュースを飲む
立ってるだけで汗が噴き出るような日だから、散歩もそこそこにして、さっそくカフェでひと休みです。このときの店選びのポイントはただ一つ。
「海が見えるテラスがあるところ」。
僕らはただのデートをしにきたんじゃない。夏全開のデートをしにきたのだから、テラス席は絶対なのです。
案内されたテラス席。子どもみたいにはしゃぐ僕ら。
詩織は遠くに見える江の島や、うまく波に乗れたサーファーを指さして、いちいちうれしそうにその情景を教えてくれます。
しかし僕はその指の先の景色よりも、彼女の笑顔にただ目を奪われてしまいます。笑うたびにポカリスウェットのCMかと勘違いするレベルの爽やかな彼女の笑顔に、すっかり虜になっていくのです。
店員からメニューを渡されると、詩織は食い入るようにそれを見つめます。
飲み物ひとつでも長い時間をかけて選ぶ、優柔不断な詩織の性格をわかっていながら、『で、どれにするか決めた?』と急かす僕がなかなかSなのは言うまでもありませんし、これが原因でモテないのもよく知っています。
でも、『待って、待って。いま選んでるから!』と慌てる詩織をギュッとしたい衝動を抑えるのが醍醐味というもの。その様子をニヤニヤしながら眺めます。
散々悩んだ挙句、『海を見ながら飲むなら、フルーツ系しかないでしょ!?』と、定番を抑える僕ら。キンキンに冷えたクランベリージュース(500円・税抜)とパイナップルジュース(500円・税抜)が、喉を潤します。
そこで『ジュース、のむ?』って、絶妙な上目使いで言われるんです。
はい、飲むに決まってるじゃないですか。一度地面に流してからまた集めたスッポンの生き血だって飲みますよ、その顔に言われたら。詩織がジュースを飲んだそのストローを咥えられるなら僕は……と、この辺までにしておきます。僕は紳士ですから。
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営業時間
11:00~21:00(ラストオーダー20:30)※悪天候時は早閉めあり 火曜日定休(火曜日が祭日の場合は翌平日)
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利用金額
500円〜(料理によって異なります)
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TEL・予約
0467-55-5701
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URL
店舗情報はこちら (公式HPへ)
15:30ビーチには波の音と笑顔だけ
カフェを出ると『次どこいこっか?』と、イタズラな笑顔でたずねる詩織。今日のデートプランは全て僕に委ねられているので、責任は重大です。でも行き先はとてもシンプル。海辺近くにデートに来たのなら、海に行くしかありません。
3分も歩くと、海へとつながる階段にたどり着きました。浜辺を見つけるなり小走りで向かう彼女を見て、思わずニヤニヤしていると、『何してんのー早く行こー!』と急かされます。
僕は『もうこのまま階段が崩れ落ちて二人でここで生きていくみたいな展開になればいいのに』と狂気じみたことを考えながら階段を下りていきます。
『広―い!』と叫ぶ彼女に、『でかーい!』と答える僕。海の前では、どんな深刻な悩みも小さく感じられます。溜まった原稿のことも、どうでもよくなってきました。
詩織はコンバースを脱ぎ、足首まで水に浸かって、はしゃぎだします。
僕はそれを見て「来世は彼女のコンバースの靴ひもになりたい」としか考えられなくなりましたが、紳士なのでそれを表情に出さず、彼女の笑顔を見守ります。
このときの僕らは、世界で一番、夏全開なデートをしてる。まるで子どもみたく笑う彼女の表情が脳に焼き付いて、語尾が全部詩織になりそうです詩織。
でも、そんな無邪気な笑顔の直後に、急に大人っぽい顔とかもするもんだから、僕は戸惑いを隠せません。 誰も子どものままではいられないし、誰もが大人になるように、この楽しい時間もいつか終わるのだろうなあと、なぜか勝手にセンチメンタルな気分にさえなってきます。
『どしたの? 何かあった?』と、確信犯的な表情で微笑みかける詩織。 僕はできるだけ余裕を持った顔をして、「なんでもない」と返す。
『へんなの』と返す詩織がまた眩しくて、僕の心は詩織でいっぱいになっていきます。
この瞬間がずっと続けばいいのにと思った途端、詩織が言いました。
『この瞬間がずっと続けばいいのにね』
そう、これが運命です。
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営業時間
江ノ島電鉄「七里ヶ浜駅」から徒歩2分
16:00真夏のデートは、コンビニのアイスで十分盛り上がる
足を洗ったら、詩織が『今度はどこに行くの?』とまた尋ねてきます。僕はリードしなくてはならない重圧を受けながら、“海ではしゃいだ後に食べたいもの”を考えて、それを売っている場所に向かいます。
『なんでコンビニ……?』と笑いながら尋ねてくる詩織に対して、僕はコンビニのアイスがいかに夏デートに欠かせないものかを説明します。
かんかん照りの太陽の下で、アイスを食べながら好きな人とダラダラと街を歩くなんて、青春そのものじゃないか、と。 『そうかなあ?』と詩織はくすくすと笑いながら、アイスの袋を開けるのです。
二つに割ったアイスの片方を食べながら、少し意地悪な顔をして僕を見る詩織。
『食べる?』って、そりゃあもちろん食べる。そういうデートがしたかったんだから。
このアイスがなくなるまでが、僕にとって最高のデートの時間だ。
アイスも食べ終わって日が暮れ始めたら、別れの時間が近くなります。 僕らは少しだけ歩みを遅めながら、トボトボと来た道を戻るんです。
踏切に差し掛かるところ、線路を越えたらバイバイしなきゃいけないところ。ここでお別れです。僕の詩織が、帰ってしまう場所。
僕の胸は、切なさではちきれそうになります。 詩織は、何か言いたげな表情でこちらを見つめてきます。
『最後に少しだけ』と、彼女は手を伸ばし、僕らは手をつなぎました。まだアイスの冷気がやんわりと残る冷たい手。
『楽しかったなあ』
『また一緒に、出かけたいね』
そう言って名残惜しそうに、僕らはそっと手を離しました。
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TEL・予約
0467-31-8117
FinSEE YOU NEXT PLAN
こうして僕らの、夏全開なデートは終わりを迎えました。
駅で集合して、海が見えるテラスでジュースを飲んで、浜辺で遊んで、コンビニでアイスを食べただけ。特別なことは何もしていないのですが、それだけで僕らは夏を最大限に満喫することができたと思います。
それは七里ヶ浜という環境と、彼女の笑顔があったからで、“特別な思い出”なんてものは、お金を積めばできるものでもないことを教えてくれるんです。そう、詩織さえいれば、あの笑顔を眺める夏さえあれば、他に何もいらない。……そうでしょう、編集長」
ここまで語ってふと手元を見ると、僕のハイボールはすっかり氷が溶けていました。
アシタノプラン編集長が、僕に向かってこう言います。
「えっと、ふつうにキモいけど、それ記事にしてみる? 私そんなかんじの写真、撮ってくるから」
そうして出来上がったこの記事ですが、最初に述べたように僕は撮影に同行できませんでした。いや、厳密に言えば「七里ヶ浜」までは行ったんですが、僕はずっと駅で荷物番をさせられていました。
「やだ! 僕も立ち会いたい!」といくら言っても「もう書く内容は決まってるんだからいいでしょ、本人に会わせたら何するかわかんないし」と言われ、あとは完全に放置されていたんです。
こんなに残酷な仕打ちを受けたのは人生でも初めてかもしれません。
でも仕方ないよね、仕事だから。そんな簡単にモデルとデートなんて行けないこともわかってます……。
ああ、いつか僕もこんな美人とリアルにデートができますように……。