【社説】ロッテ憎しといえど国民年金は国民のものだ

 ロッテグループの経営権をめぐり創業者一族が対立している問題で、系列各社の大株主である国民年金公団に対し、与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表をはじめとする韓国与野党の政治家が株主権の積極的な行使を要求している。与野党は連日「国民が老後のために納付した国民年金が膨大な被害を受けている。国民年金公団がこの問題の解決に乗り出すべきだ」と訴え続けている。セヌリ党は10日、この要求を撤回したが、野党は依然として公団が株主権を積極的に行使して国民の財産を守るべきだと主張している。

 国民年金公団は現在、ロッテフード(持ち株比率13.31%)をはじめ、ロッテ七星飲料(同12.18%)、ロッテハイマート(同11.05%)、ロッテケミカル(同7.38%)、ロッテショッピング(同4.00%)など、総額1兆5000億ウォン(約1610億円)相当のロッテ関連株を保有している。創業者一族の内部対立でこれらの株価が下落し、同公団は700億ウォン(約75億円)以上の含み損を出した。

 国民年金公団が株主としての権利を行使することそのものは、間違いではない。これによって企業の経営成果が高まり、国民の老後生活がより豊かになるのであれば、誰もが歓迎するだろう。だが、そのためには国民年金公団の意思決定が独立的かつ自律的なものでなければならない。今のように、よく似た合併事案をめぐり一方では反対票、一方では賛成票を投じるというような、外部のロビー工作と圧力に振り回されている状態ではいけない。ただでさえ、市場では公団が政府の手中にあり、判断が一貫していないという陰口が絶えない。今の状況で公団が株主権をより積極的に行使すれば、政治権力が民間企業の経営に過度に干渉する結果を招く恐れもある。

 国民年金公団は今年3月末現在、500兆ウォン(約54兆円)近くの資産のうち92兆ウォン(約10兆円)を韓国国内の株式に投資している。公団が5%以上の株を保有し大株主となっている企業は250社を超える。まさに国内の資本市場で最強の権力を誇示しているのだ。こうした状況で公団が政治権力をバックに行動に出れば、資本市場が大きく歪(ゆが)められてしまう。

 政界は、ロッテのいわゆる「皇帝経営」や不透明な支配構造を正す必要があると思うなら、商法や公正取引法の改正など、いくらでもほかのやり方を探せばいい。政府も政界も、事あるごとに国民年金公団を動員して何かをしようとするのをやめるべきだ。国民年金は国民のものであり、政治権力の所有物ではない。

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