[東京 12日 ロイター] - 日銀が12日に公表した7月14、15日の金融政策決定会合の議事要旨によると、予想物価上昇率のさらなる引き上げに向けた金融緩和効果について、議論が交わされていたことが明らかになった。1人の委員は、期待への働きかけが「重要な段階にある」との認識を示した。
会合では、量的・質的金融緩和(QQE)の効果について、多くの委員が名目金利の低下と予想物価上昇率の上昇によって実質金利は低下しており、「所期の効果を発揮している」との認識を示した。
物価2%達成にはさらなる期待の上昇が不可欠だが、複数の委員が「金融緩和が実質金利を押し下げる効果は逓減している」と指摘。このうち1人の委員は「名目金利の下げ余地が限られる中で、実質金利をさらに引き下げるには予想物価上昇率を引き上げるほかない」とし、「金融政策のコミットメントのみで、これが実現できるかは不確実性が高い」と主張した。
これに対して別の委員は「不確実性が高いとしても、予想物価上昇率の上昇が金融政策なしに実現することはない」と反論。
ある委員は「物価安定目標に向けた金融政策運営に対する信頼性が向上している」とし、「期待への働きかけは非常に重要な段階にある」と述べている。
会合では「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価が行われた。
物価見通しについて多くの委員は「4月の展望リポートでの見通しにおおむね沿って推移する」との見方を共有し、物価2%の到達時期も「2016年度前半ごろになる」との見解を維持した。
これに対して1人の委員は「1%台の成長率や1%未満の賃金上昇率のもとで、人々の中長期的な予想物価上昇率が急速に上昇することは想定し難い」と指摘。別の1人の委員は「食料品など日用品の値上げが家計の消費スタンスを抑制することで、値上げの動きが抑えられる可能性」を指摘するなど、複数の委員が16年度前半ごろの2%到達に懐疑的な見方を示した。
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