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 中国の中央銀行、中国人民銀行は12日、この日の人民元レートの基準値を1ドル=6・3306元と発表した。前日に比べて1・62%の元安ドル高水準となる。11日に基準値の算出方法を改定し、一気に1・86%も元安水準としたのに続く連日の大幅な切り下げで、元安は今後も加速する可能性がある。

 人民元の基準値は10日に比べると、2日間で約3・5%、ドルに対して値下がりしたことになる。人民銀行は11日、基準値の算出を前日の市場での終値を参考にする方式に変えたと発表。このことで、基準値は市場レートをより反映しやすくなったという。市場は基準値よりもさらに元安ドル高水準で取引が推移しているため、新制度の下では今後、元安がより進みやすくなりそうだ。

 中国人民銀行が連日の元切り下げに踏み切った影響で、12日の東京株式市場は下げ幅を広げている。一時、日経平均株価が前日の終値より300円近く下落する場面もあった。午前の終値は、日経平均が前日より225円35銭(1・09%)安い2万0495円40銭。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は16・71ポイント(0・99%)低い1670・89。出来高は12億8千万株。

 連日の実質的な元切り下げから、中国経済が大幅に鈍化し、需要が減少する不安が投資家に広がった。自動車や機械といった輸出関連株を中心に、幅広い銘柄で売りがふくらんでいる。

 前日のニューヨーク株式市場も、大企業で構成するダウ工業株平均が大幅に下落した。終値は前日比212・33ドル(1・21%)安い1万7402・84ドルで、一時、前日の終値に比べ260ドル超値下がりした。米アップルや米建機大手キャタピラーなど中国の売上比率が大きい企業の株式に売りが集まった。

 元に対してドル高が進んだ流れから、東京外国為替市場は、一段の円安が進んでいる。一時、1ドル=125円20銭台をつけ、約2カ月ぶりの円安水準となっている。正午の円相場は、対ドルが前日午後5時より37銭円安ドル高の1ドル=125円20~21銭。(斎藤徳彦、神山純一)