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[東京 11日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は11日、人民元CNY=SAECを切り下げた。経済指標の不振を背景に、人民元を約3年ぶりの安値水準に誘導した。市場関係者の見方は以下の通り。
●通貨安戦略ならアジア企業にダメージも
<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>
人民元はこれまで、ドルと連動する形で実効ベースで上昇してきていたため、約2%の切り下げであれば、多少是正する程度の影響にとどまりそうだ。これで中国経済が持ち直すようなら、世界経済にとってもメリットの方が大きいだろう。
米国は人民元は安すぎるとの立場を変えていないが、人民元は割安過ぎるという評価だった国際通貨基金(IMF)が最近はトーンを変えてきており、中国政府にとっても切り下げしやすい環境だったのかもしれない。
もっとも、先行き、明確な通貨安戦略を打ち出してくるとすれば話は別だ。
中国は生産設備が過剰となっており、例えば鉄鋼資材は中国から溢れ出ている。人民元安で中国の輸出競争力が高まれば、こうした流れが助長され、アジアでより一層の供給過剰感が出たり、競合するアジアの企業がダメージを受けるおそれがある。
人民元安が進むようなら、中国からの海外旅行・消費にも逆風になる。日本の小売業界にはプラス材料となってきた「爆買い」の勢いに水を差しかねない。
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