【社説】金正恩氏の理解し難い無礼な態度

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は、故・金大中(キム・デジュン)元大統領夫人、李姫鎬(イ・ヒホ)氏を北朝鮮に招待しておきながら、李氏が現地に滞在していた3泊4日の期間中、最後まで一度も面会にさえ応じなかった。そのため李氏一行は8日にチャーター機で金浦空港に戻った際「非常にリラックスした雰囲気の中で有意義にスケジュールをこなすことができた」とコメントしたものの、一方で失望した様子を隠すことができなかった。まだ30代前半と若い金正恩氏が、93歳という高齢の李氏を北朝鮮にまで招待しておきながら、結局最後まで1回も会わなかったわけだが、これは礼儀がどうこうという以前に、人間としての基本さえわきまえないあまりにも無礼な態度と言わざるを得ない。ちなみに普段から変人扱いされている米国の元バスケットボール選手が北朝鮮を訪問した時は、金正恩氏は自ら何度も彼に会って大歓迎した。ところが今回は金正恩氏はもちろん、北朝鮮で対韓国政策に責任を持つとされる金養健(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党書記さえ李氏に会おうとしなかったようだ。

 韓国に対する北朝鮮の行動は、その全てが何らかの戦術あるいは戦略に基づくものであり、それを善意という観点から判断するのは無意味なことだ。そのためまず北朝鮮がそのような考え方を改めない限り、金正恩氏が誰に会ったとしても、韓半島(朝鮮半島)情勢の根本的な変化を期待することなどできない。ただたとえそのような現実を認めるとしても、金正恩氏の今回の行動は、彼らの戦術・戦略から考えて決してプラスになるとは考えられず、到底理解しがたいものだ。過度な恐怖政治と今回のように無礼な態度を目の当たりにすると、金正恩氏の発想や考え方そのものに対してこれまで以上に大きな懸念を抱かざるを得ない。

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