デブサミで岩瀬さん が発表したスライドがすごく良い。大企業に限らず、どうやって良い開発ができる組織を作るか日々悩んでいる方々に参考になるスライドだと思います。
先日香川大学で行った勉強会で発表したこのスライドでも触れているように、僕らPaaSの開発チームも同じように内製開発をしており、同じ課題意識、同じ目標をもって日々活動しています。
岩瀬さんと僕たちは別の部署で、それぞれが使命感を持ってこの文化を発展させてきたわけですが、同じ社内に同じ志を持つ人達がいるというだけで、頼もしさが違いますね。
スライド内で触れられている2013年のデブサミといえば、当時ぼくらPaaSチームにいた@hamaknが発表をした回でもありました。
その後hamaknは新天地に旅立っていったわけですが、この築き上げてきた文化を絶やさないよう、そしてより良くしていこうと努力してきたこの2年間でした。そしてそれは今の所上手くできていると思っています。
じゃあ、こういう良い文化が出来てきました。めでたしめでたし。 で終わるかというと、そんなことはありません。僕たちはこれから、以下の3つを実現すべく、戦っていく必要があります。
- これがゴールではなく、これからがスタート
- 文化を定着させる
- 周りに広めていく
これがゴールではなく、これからがスタート
トラディショナルな企業でモダンな開発ができるようになった。これはこれで誇れることかもしれません。しかし、世の中の若い企業は、こういう取り組みを当たり前に、息をするように実現しているわけです。僕たちはそこになんとかたどり着いたに過ぎない。これはゴールではなく、スタートラインに立っただけだという意識を強く持っています。
ではこれから何を目指すのか。それは当然、ビジネスとしての成果を出していくことです。
内製開発をして、エンジニアが楽しく生き生きと開発ができるようになりました、だけでは意味がない。それにより開発が効率化し、エンジニアが育ち、良い物が作れるようになり、ビジネスとしての成果が出始める。そうなって初めて、この取り組みに価値が生まれるわけです。
スクラムを開発を取り入れたからといっていきなり開発効率が2倍にも3倍にもなるわけではありませんし、開発者のスキルが格段に向上するわけでもありません。世の中で先行する企業には、もっとすごい開発者がウヨウヨしているわけで、そういったところと競い、成果を上げていくのはこれまで以上の努力が必要になるでしょう。
とはいえ、良い文化無しにエンジニアは育ちませんし、外から良いエンジニアに来て貰うこともできないでしょう。その土壌は、なんとか形になってきたと言えそうです。そういう意味でも、今はまさに「スタートラインに立っている」状態だと考えています。
文化を定着させる
今は上手く回るチームができている。でも、それだけでは不十分。本当に大事なのは、この文化を定着させることです。
僕のスライドや岩瀬さんのスライドで、誤ったメッセージを伝えかねないなと心配していることがひとつあります。それは何かというと、「スクラム開発とGitHub Enterpriseを入れればモダンな開発ができる」 と捉えられてしまうのではないかという点です。
え?違うの?
そう思われるかもしれません。では、このメッセージを大企業の偉い人に伝えると何が起こるでしょうか。
役職持ち社員を中心とした、「スクラム開発推進タスクフォース」が結成され、そこで導き出された結論を元に「標準スクラム開発規程」というルールができて、そのルールの中には「社内で用意されたGitHub Enterprise内のリポジトリにコードを保存すること」みたいな項目もあって、他のサービスを利用することは許されず、節目ごとに標準スクラム開発規程に沿ってプロジェクトが運用されているかどうかチェックが入り、規程に沿っていないことが判明すると責任者が詰められる。
違う、そうじゃない。
そうじゃないんですよ。大事なのは、すべてのエンジニアが世の中をより良くしていきたいという使命感を持つこと。そして、より良いものを作っていくために、自分たちの環境や仕事の進め方を、自分たちの力で改善していくこと。そういったマインドを醸成していくことが必要なんです。その個々のマインドが、チームや組織の文化を創り上げていくわけです。スクラム開発やGHEの導入は、あくまでも現時点での最適解に過ぎません。
そういえばTeam Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか に、こんなことが書かれていました。
チームの文化で興味深いのは、強固な文化を構築すると「自己選択的」になることだ。
岩瀬さんのスライドでも冒頭で触れられていますが、この開発文化は全体で見るとまだまだマイノリティであり、数人のキーマンが抜けるとすぐに崩れてしまうかもしれません。
強固な文化を創り上げて、自然と同じマインドをもった人達が集まるようにしたい。それが出来て初めて、定着したと言えるんじゃないかと思います。
周りに広めていく
繰り返しになりますが、モダンな開発が出来ているのはまだ一部のチームに留まっています。
hamaknのスライドでも言及されているのですが、良い文化を広めていくために試行錯誤しています。が、なかなか上手くいきません。
ただこれは、ほんと地道にやっていくしかないかなと思っています。
そうそう、規模の大きい組織では、運悪く自分に適した場所に行くことができず、腐ってる人が結構居るものです。本当は心に熱い想いを抱いているにも関わらず、です。そういった人達に火をつけていきたいなと。
たとえば岩瀬さんはランチしながら勉強会をするという取り組みを部内で行われています。僕は僕で、NTTグループ内を横断的に、尖っている若手どうしを繋げていくという動きを草の根的にやっています(仕事ではなく、プライベートの取り組みとして。もしこの取り組みに興味がある人がいれば、僕に声をかけてください)。
有名な動画 How to start a movementにもあるように、物事を動かすのに大事なのは最初の数人です。この小さな動きが、やがて大きな波になるんだと信じて取り組んでいくしかないかなと思っています。