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●緩勾配でも施工できるシングル材:しかし、施工方法が悪いと、風に飛ばされて最悪の事態に
●これからリフォームを考えている人に; 経験談、工夫できること工夫して良かったことなど
●敷金返還問題、原状回復の問題、10年住んでタバコの毀損でクロスの全面交換費用を請求された。 これって・・・


●現状回復、敷金精算の知るべきこと、分り易く、賃借人の立場で!

 ●タバコで壁紙が変色;壁紙の交換費用を請求されても、全額支払う必要がない場合がある?

 ●マンションに住んで、10年、親との同居をすることになって、そのマンションを出るとき、請求されたのがタバコによる壁紙の交換費用でした。 決まった部屋でしか喫煙しませんでしたが、タバコによる壁紙の変色は、私の毀損(汚す、汚れる)ですので、原状の復帰義務にあたると判断したようでした。
 しかし、このタバコによる壁紙の交換費用は、支払う必要はなかったのです。 
それは、壁紙は、毀損がなく通常使用においても変色するもので、経年変化・通常損耗の分が賃貸借契約期間中と明け渡し時とで二重に評価され、公平さを欠く、それで貸借人相互の公平の為に経過年数の考え方を導入するとしました。 ・ ・ ・ ガイドライン再改訂版 P16
 壁紙、クロスは、6年で残存価値1円とし、その経過年数での評価価格を借家人が負担することになります 契約が3年で半分の価格(修繕費用の半分負担)、私の場合は、10年の契約期間があったので、負担額はゼロです。 このように、例え毀損(きそん:故意または過失による汚損、汚れ、損壊)があって原状回復の義務が発生しても、その部位、部品、設備によっては、全額の負担にはならない場合があります。
 注:ガイドライン再改訂版: 国土交通省が発行する原状回復をめぐるトラブルとガイドライン 平成28年8月

 毀損のあった場合の各部の負担:
 畳:  経年年数は考慮されない。 
 毀損があった場合は、1枚単位で借家人の負担になる
 カーペット、
クッションフロアー
 6年で残存価値1円の負担割合。
 範囲は、毀損が複数箇所の場合、その部屋全体
 フローリング  経年年数は考慮されない。 
 毀損があった場合は、1㎡枚単位で借家人の修理負担になる。
 ただし毀損が全体的にあって張替えの場合は、その耐用年数で
 残存価値1円の負担割合。
クロス、壁紙  6年で残存価値1円の負担割合。
 負担範囲は、毀損があった箇所のまわり1㎡単位が望ましい。
 ヤニで部屋全体の場合は、居室全体のクリーニング、張替え費用の負担
襖、障子など  経年年数は考慮されない。
 1枚単位の賃借人負担になる。
 (襖、障子等の建具部分、枠、柱)
 経年年数は考慮されない。 1本単位
(据え付けの)
設備機器
 その耐用年数で残存価値1円の負担割合。
 負担範囲、毀損部分の修理費用、交換費用、原状復帰費用の負担
 紛失の場合は経年年数は考慮されない。 シリンダーの交換費用
ハウスクリーニング  通常の清掃、退去時の清掃を怠った場合のみ、この費用の負担がある。
 経年年数は考慮されない。 清掃を怠った部分、または全体の清掃費用。
 通常清掃、退去時の清掃があれば、住戸全体のクリーニングは貸主負担

 少し解説すると、上記賃借人が退去時に負担するのは、毀損(故意または過失による汚損、汚れ、損壊)があった場合のみで、通常使用による劣化損耗は貸主の責任負担です。 その負担額も全額の場合と、経過年数を考慮できる部位は、契約年数(その住居を使用した年数)により変わり、6年で1円の割合で負担する場合の部分では、3年で退去の場合は、その費用の半額。6年後には、1円の負担となります。
 また負担する範囲も、おおよそガイドラインがあり、例えば襖に子供がいたずらして、3cm程の穴を開けた場合、その3cmだけ補修すれば良いかというと、そうではなく、襖一枚分、つまり1枚の襖の張替えになります。 畳にタバコの焦げを作ってしまったら、その畳1枚分の交換負担です。焦げで穴があいたら表返しは出来ないので、畳表の交換になると思います。 などなどその部位ごとに、経過年数の負担か、その負担の範囲が、ガイドされています。

 ●現状回復とは、「入居時の状態に戻せ」、ではありません。

 良く借りた家、マンションの原状回復は、入居時のような綺麗な状態に戻すこと? と誤解している方もいないとも限らないので、「原状回復」とはどういうことなのか?
 標準契約書の考え方:
 1: 賃借人の通常の使用による損耗
 2: 賃借人の通常の使用による損耗以外の損耗
 1:は賃借人の原状回復義務がないと定め、2:は賃借人に原状回復の義務があるとしている。
 
ガイドラインの書かれている、原状回復の定義:
 原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること。

 ●ハウスクリーニング費用は、原則大家の責任。 借家人は支払いの義務はない?

 上記原状回復の定義の内、「善管注意義務違反」ですが、借りた住居は、貸主のものであり、その使用の際には、清潔に、綺麗に使用する義務があるとされます。 通常の清掃を心がけなければならないのですが、これをきちんとやっていれば、曖昧な言い方ですが、「善管注意義務違反」にはなりません。
 よって、退去する際に当たり前のように請求されていた、「ハウスクリーニング」代は、「善管注意義務違反」がなければ支払いの義務はありません。 私は、退去時に一生懸命清掃をして、更にこの「ハウスクリーニング」代を何回払ってきたのかと思うと、少しムっとしますが 借りた時の当時にのように綺麗にして、返さないといけないと思っていました。 
 次の入居者の為の「ハウスクリーニング」であるならその費用は、貸主の負担であるのは明白です。
 但し、次のようなことに気をつけなければなりません。 通常使用の損耗、劣化は省くとしても、例えば換気扇の油の付着、湿気の多かった箇所のカビの発生などは、カビが生えたらそこを綺麗にする。 風呂場、洗面所など、賃借人の注意義務の範囲での清掃はやらなければなりません。

 ●国土交通省発行の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン: http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
は、全173ページ、かなりのページ数があります。 しかし、賃貸し住宅の退去時における原状回復の基本的な指針、裁判所の判例を鑑みた考え方の殆は、28ページまでに書かれています。 多少法律的な用語、言い回しはあるものの、決して読み見くい文章ではありません。 (裁判所の判決文は素人には読み辛いし理解に時間がかかります) 一覧表にもなっているので、今自分がどの箇所を問題にしているのか、知りたい場合にも、基本的な考え方は理解するべきと思いますが、表をみればわかるようになっていて、親切と思います。 
 また不動産屋との交渉でも進まない場合でもその対処方法、訴訟のやり方、場所関係書類の案内も充実しています。 訴訟の額が60万円以下の場合は、簡易的な裁判である少額訴訟がありますので、訴訟の手続きはかなり簡便になっています。 費用も30万円の訴訟では、3,000円の手数料でできますし、自分で訴状を書いて申請も可能です。 また原則審理も1日で結審しますので、何日も裁判所に通う必要がありません。 

 ●裁判は勝てる見込みがあって行うもの

 裁判を起こすがどうかは、その費用対効果を考えるべきで、例え少額訴訟でも、手数料、申請の手続きにかける時間、訴状の作成の時間、答弁書の作成の時間、交通費、裁判をする時間などを考慮して、決断をするべきです。 また負ける裁判をする人はいないと思いますが、勝てるかどうかを判断するのにも、このガイドラインは活用できます。 それでも心配なときは、弁護士に相談です。 弁護士に裁判を依頼すると高いのですが、相談だけなら、一時間1万円、30分単位で相談にのってくれる弁護士もいますので、そちらも検討してみてください。

 ●裁判所が判決;通常損耗補修特約があっても支払わなくとも良い場合;
  通常損耗補修費用の支払い義務はないが、支払わなければならない場合。 え!何!
 

 ●大阪で8年マンション暮らしをしてそのマンションを出た時、通常損耗の支払いなどはありませんでしたしかし、ここ習志野市に10年暮らしたところの大家から、壁紙の交換費用(全部屋)、風呂の修繕費、畳の交換費用、ハウスクリーニング代など総額で100万円の請求をうけました。 勿論そんな法外な支払いは拒否しましたが、ハウスクリーニング代も支払う必要がなかったなんて知りませんでした。 で問題の通常使用における、原状回復義務について、ガイドラインと最高裁判所の判例です。 参考にしてください。
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版); 平成23年 8月 国土交通省
 第1章、2、(2)特約
賃貸借契約については、強行法規に反しないものであれば、特約を設けることは契約自由の原則から認められるものであり、一般的な原状回復義務を超えた一定の修繕等の義務を賃借人に負わせることも可能である。しかし、判例等においては、一定範囲の修繕 (小修繕)を賃借人負担とする旨の特約は、単に賃貸人の修繕義務を免除する意味しか有しないとされており、経年変化や通常損耗に対する修繕業務等を賃借人に負担させる特約は、賃借人に法律上、社会通念上の義務とは別個の新たな義務を課すことになるため、次の要件を満たしていなければ効力を争われることに十分留意するべきである。

① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて
認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

 つまり特約を設ける必要性があり、単に賃貸し物件の修繕費用を借家人に負わせようと契約書に書いただけでは、その効力について、争いの可能性がありますと言っています。  
 私の借りていたマンションの契約でも、和室の畳は退出するときには、その畳の交換費用を借家人が負担すると、特約にありました。・ ・ ・ これって客観的、合理的な特約でしょうか? 疑問が残りますし、この条項について、きちんとした説明、何故この条項が必要かの説明は、家主、不動産屋からありませんでした金額は、どれくらいなのか? またこの畳は新品ではなかったので、いつ新調したのか?確認していませんでした。 このいつ新調したのかの説明、新調された時期の記述もありませんでしたので、有効かどうかはなはだ疑問です。 これは契約にあったので、支払ってしまいました。 確か畳1枚8千円程度で、6枚、4万8千円程度だったと思います。 ・ ・ ・ しかしこれは契約書に明記されていたので ・ ・ ・有効なのです

 この特約について、興味深い最高裁の判例がありますので、ご紹介したいと思います。
 平成17年12月16日、最高裁判所第2小法廷判決:
 上告人: 個人
 被上告人: 地方住宅供給公社法にもとづき設立された法人

 判決: 原判決を破棄。 本件を大阪高等裁判所へ差し戻し
 概要: 上告人は、敷金¥353,700を支払ったが、契約物件を解約明け渡すとき、原状に復する修繕費
      として¥302,547を請求されたが、上告人はこれを不服として裁判に。 大阪高等裁判所の判決は
      補修費用は上告人が納めるべきとし、補修箇所は本件負担区分表に定める基準に合致し、その額
      も相当であるとして、上告人の請求を棄却した判決。これに対して、最高裁判所はこの判決を棄却し
      大阪高等裁判所へ差し戻し判決をおこなったもの。 

      http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/594/062594_hanrei.pdf
 この裁判で争われたのは、入居者が通常使用(故意でない)により、発生した
 ・ 襖、障子の汚損、汚れ。
 ・ 各種床材の変色、汚損、破損など
 は、入居者がその補修費用を支払うという、特約になっていて、この特約が妥当なもの
 なのか、そうでないのかかが争われました。 本件は最高裁に上告された案件です。
 最高裁判所の判決事由は、次の通り;
 ●特約条項を設けることは、契約の事由で、なんら問題はない。
 ●しかし、通常消耗に関わる減価の回収は、賃料に含まれているとし、通常使用による劣化の
  補修費用を賃借人に負わせるためには、条件が必要であるとした。 その条件は;

 ・ 通常消耗の範囲を賃貸契約書の条項自体に具体的に、明記されている。
 ・ または、契約書では明らかでない場合は、口頭にて説明し、賃借人が明確に認識し
   「通常損耗補修特約」が明確に合意されていること  である。

この裁判では、このどちらも充分に実行されたとは、判断されなかった。 これが判決の論旨である。
 最高裁は、通常使用の損耗は基本的に賃貸人が責任を持つことが明記され、その減価の回収、修繕費は、毎月借家人が支払っている賃料に含まれているとしました。 これで、通常使用における消耗の修繕費は、故意、意図的なものが無い限り、家主が支払うことが明確になったのです。 

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