<露空港に日本人>「偽りの土地に帰りたくない」 男性2カ月生活
毎日新聞 8月1日(土)9時38分配信
【モスクワ真野森作】モスクワの玄関口、シェレメチェボ国際空港の乗り継ぎ区域で36歳の日本人男性が5月末から約2カ月にわたって生活している。ロシアの主要メディアが7月31日報じた。男性の観光ビザは5月末で期限が切れており、ロシア国籍の取得を希望しているという。在モスクワ日本大使館は同日、職員を派遣して本人と接触し、自らの意思で滞在しており、健康に問題がないことを確認した。
露ラジオ局「ベスチFM」などによると、この男性は5月1日に観光ビザでロシアに入国した。同29日に帰国予定だったが、復路便に搭乗する直前に「政治的な動機」で帰国しないことを決めたと話している。露メディアの取材にジャーナリストだと名乗り、「米国流のウソを書くのに疲れた」「偽りだらけの土地へ帰るより、ここでおなかをすかしながら暮らす方が良い」と説明している。
男性はフロアの片隅で寝泊まりしているが、空港当局は「違法性はない」とみている。所持金はほぼ底をついたようで、ロシア語と英語で「食べ物をください」と書いた張り紙を荷物に掲げて援助を募っている。黒ぶちめがねをかけ、ストライプのシャツとえんじ色のネクタイ。その淡々とした振る舞いに空港職員や売店従業員もすっかり慣れた様子。食事などをくれる人もいる模様だ。
この男性は露テレビ取材カメラに自身のパスポートを撮影させている。放映された映像によると、パスポートの所持人自署の欄には漢字で「安保鉄也」と書かれ、姓名の欄にはローマ字で「ABO TETSUYA」とあった。生年月日は1978年12月15日。本籍の欄には静岡県と記されていた。
同空港の乗り継ぎ区域には、米国家安全保障局(NSA)の活動を暴露した米中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者も2013年6月下旬から約1カ月間滞在。カプセルホテルに宿泊していたとされる。その後、ロシア政府から入国を許可され、現在も亡命生活を送る。
国際空港の制限エリアで旅客が長期滞在した例はほかにもある。中国の人権活動家、馮正虎(ひょう・せいこ)さんは中国政府に日本からの帰国を拒否され、抗議の意思を示すために2009年11月から約3カ月間、成田国際空港で寝泊まりした。難民証明書類をなくしたイラン人男性が20年近くパリの空港で暮らしたケースは、トム・ハンクス主演の米映画「ターミナル」(2004年)の下地となった。
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