今年は小松大谷が9回逆転劇、星稜破る 高校野球
まさかの敗戦から1年。24日の第97回全国高校野球選手権石川大会準々決勝で小松大谷が0―3の九回裏に4点を奪い、星稜にサヨナラ勝ちした。昨年の決勝で8―0からの大逆転負けを喫した相手に果たした雪辱。選手たちは笑顔でスタンドの声援にこたえた。
「もしかしたら何かあるかもしれない。去年と同じパターンだ」。九回裏、先頭打者の主将・下口玲暢(れのん)君(3年)は不思議な予感がした。1年前の夏、8点差をつけて迎えた九回裏にくらった猛攻は相手主将の出塁からだった。さらに九回表の攻撃が3人で終わったのも同じだ。
2球目を左翼線に打ち返し二塁打。「因縁の対決」を知って駆けつけた小松大谷のスタンドが盛り上がり、球場が一気に異様な空気に包まれる。
死球、四球で無死満塁とし、内野安打と中前2点適時打で同点。さらに内野安打で満塁とし、打順は4番の西田将大(しょうた)君(3年)。
西田君は下口君らとともに昨夏もレギュラーだった。1年前、決勝の翌日に選手たちは部室で黙々と掃除をした。大差をつけてチームに慢心が漂ったことを猛省し、部室のホワイトボードにはその試合のイニングを手書きした。それは今も消えずに残る。
「甘えをなくそう」。技術の向上以上に、それぞれが自分と向き合い、朝の掃除が日課となった。
「あの日のことを一日も忘れたことはない」と話す西田君。「絶対かえす」と打席に向かう。強く振り切った打球は高く、深くレフトへ上がる。決勝の犠飛となってサヨナラ勝ち。