コンテンツマーケティングとは?目的別のKPI設定方法を解説
これからコンテンツマーケティングを実施しようと考えているWeb担当者は、コンテンツマーケティングのKPI(重要業績評価指標、成果指標)をどのように立てればいいかを把握できていますでしょうか。
そもそもコンテンツマーケティング自体、目的や手法が多岐にわたり、SEOやリスティング広告のように明確な主軸はありません。
「今の時代はコンテンツマーケティングを行わなければいけないらしいから、とりあえずやっておかなければ」と始めてみたところで、目的やゴール地点が曖昧なままでは失敗してしまう可能性が極めて高いでしょう。
今回は、漠然と描いているコンテンツマーケティング戦略が一気に明確になるKPIの設定方法を解説します。
コンテンツマーケティングをこれから実施しようと考えている方だけでなく、既に取り組んでいる方もぜひ確認してみてください。
目次
1. そもそもコンテンツマーケティングとは?
KPI設定の前に、コンテンツマーケティングの定義を確認しておきましょう。
1.1. コンテンツマーケティングが注目されるのは、従来の手法が効かなくなったから
コンテンツマーケティングとは、その名の通り「コンテンツ」を主軸においたマーケティングを指します。
これまでは、Web収益を最大化させるために、SEOやリスティング広告等検索エンジン関連の集客施策やネット広告が主力でした。
しかし、SEOにおいてはGoogle検索エンジンの発達により、外部リンクのような単純な施策が通用しなくなり、ネット広告においてはインターネットユーザーの情報リテラシーが向上してきたため意識的に避けられる傾向が強まっています。
今までのやり方が通用しなくなってきた状況で注目されたのがコンテンツマーケティングです。
1.2. コンテンツマーケティング=ユーザーに有益な情報を発信し続け、見込顧客や潜在顧客を育成する
コンテンツマーケティングの基本は、自社ユーザーや今後ユーザーになり得る層にとって有益な情報を継続して提供し続けていくことで、新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤリティを向上させることにあります。
手段としてはオウンドメディアやブログの運営、SNS運用が主流ですが、コンテンツが主軸ということであればネイティブ広告や記事広告なども含まれるでしょう。
どのような形式であれ、ユーザーにとって有益な情報を提供し、より良い関係を築いていくことが重要です。
1.3. コンテンツがメイン=自社ユーザーにとって有益なものでなければ失敗する
コンテンツが主軸になるということは、内容が重要ということです。
自社の既存顧客・潜在顧客にとって有益な情報であるかどうかが結果を左右します。
ではコンテンツが良いか悪いかを判断するためには、何を基準にすればいいのでしょうか。
コンテンツは、一見定量的な計測が難しく思えますが、目的を明確にして適切な判断基準を持つことで効果を可視化できます。
以下より、効果を可視化するためのKPI設定方法を解説します。
(今回はメディアやブログなど、記事コンテンツを継続して発信する手法に絞ります。)
2. KPI設定方法①コンテンツマーケティングの目的を明確にする
先に紹介したとおり、コンテンツマーケティングには様々な要素が含まれているため、まずは何を目的とするかを決めなければなりません。
一般的には下記のような項目です。
・SEO(検索エンジンでの露出の増加)
・流入数
・コンバージョン数
・カスタマーロイヤリティ向上
・ブランド認知
・エンゲージメント向上
・会員獲得数(無料・有料)
これらの施策は大きくは2つに分けられます。
・新規顧客の獲得(SEO・流入数・会員獲得)
・既存顧客の育成(カスタマーロイヤリティ向上・リテンション率向上・ブランドアウェアネス向上)
新規顧客の獲得を目指す場合と、既存顧客の育成を目指す場合では、当然見るべき指標も異なります。
3. KPI設定方法②KPIになり得る指標を知る
そもそも、メディアやブログにおけるコンテンツマーケティングのKPIとなり得るのはどのような指標でしょうか。
主なものとして、以下の11指標が挙げられます。
・記事本数
・PV数
・セッション数
・UU数
・回遊率
・SNSシェア数
・問い合わせ数
・エンゲージメント率
・リテンション率
・会員獲得数
コンテンツマーケティングをやらない場合でも、ホームページの効果を測定する際に見られる一般的な指標となります。
これらの指標を目的別に選定していきましょう。
4. 目的別:設定するべきKPI
4.1. 新規ユーザー獲得の場合
4.1.1. 更新記事数
コンテンツマーケティングの基本は継続的な情報発信です。
メディアやブログであれば、定期的な記事更新は必須です。特に新規ユーザーを獲得することを目的とした場合、とにかく露出を増やすことが重要なので記事本数は多いに越したことはありません。
1日に◯本公開すると良い、といったようなものはないのでどの程度の本数を更新すればいいかは明言できませんが、自社で定期的に記事を公開していく場合、週に最大何本作成できるかを計算してみましょう。
4.1.2. PV数
認知度を測る指標として最もポピュラーでわかりやすいのがPVです。
PV(ページビュー)は見られたページ数を表し、1ユーザーが訪問し、サイト内の他のページに遷移すると2PVというカウントになります。
4.1.3. セッション数
セッションはのべ訪問者数を表します。
1ユーザーがホームページを訪れたら1セッション、離脱してまた訪問すると2セッションとカウントされます。
訪問社数もPV同様認知度を測る際に見るべき指標です。
4.1.4. UU数
UU(ユニークユーザー)は、ユーザー数を見る指標です。1人のユーザーが訪問したら1UUとカウントされます。
純粋に見られているユーザー数を見たいのであればUUを重視すると良いでしょう。
PV・セッション・UUの違いについてはこちら
今さら聞けない!PV・セッション・UUの違いとは?
4.1.5. SNSシェア数
現在、最も爆発力がある手段がFacebookやTwitterなどのSNSです。
新規ユーザーを獲得したい場合、まずは自社発信のコンテンツを拡散させ、インターネットユーザーに広く知ってもらったうえで、ニーズのあるユーザーを獲得していくというのも1つの手段です。
しかし、SNSでの拡散を狙うあまり自社ユーザーのニーズに沿わないようなコンテンツを量産してしまうのは本末転倒です。なおかつ拡散するかどうかは予測がつかない部分が多くコントロールが難しい領域でもあります。
運用初期に、ブーストをかけるためにSNS拡散を狙うのは有効ですが、継続的に行うべきかどうかは自社ユーザーが何を求めているかをしっかり考えたうえで決定しましょう。
4.1.6. 問い合わせ数
コンテンツマーケティングは「インバウンドマーケティングの一手法」と言い換えることもできます。
インバウンドマーケティングは、見込顧客の方から自社へ問い合わせが来るような仕組みを作り、成約まで持っていく一連の施策を指します。
成約まで持って行きたいのであれば当然、成約への第一歩となる問い合わせ数をKPIとして設定する必要があります。
4.1.7. 会員獲得数
会員サービスの場合は、新規ユーザー獲得=会員獲得となりますので、会員獲得を重視する必要があります。
しかし、Webサービスがあふれる現在、無料会員サービスであってもユーザーはそう簡単に会員登録はしません。ユーザーに会員登録のメリットを明確に伝えるよう工夫するとともに、どのくらいの期間で何名の会員を獲得したいのか、これまでの増加率、退会率を考慮して慎重に作成するようにしましょう。
4.2. 既存顧客育成の場合
4.2.1. エンゲージメント率
エンゲージメント(engagement)とは、直訳すると「約束」「契約」「婚約」という意味になりますが、マーケティングにおいてはユーザーと企業との「親密度」や「愛着心」という意味で使われます。
エンゲージメント率を測るための指標としては、主にFacebookやTwitterでの投稿に対するコメント数やクリック数が挙げられます。
4.2.2. 回遊率
1人のユーザーが1回の訪問につき何ページ閲覧したかを表す指標です。
「ホームページを回遊する=ユーザーにとって見るに値する情報が豊富」と捉えることができるので、成約までもっていける可能性が高くなります。
4.2.3. リテンション率
ここで言うリテンションは「顧客の維持」を指します。
一度購入いただいたお客様をリピート顧客に、リピート顧客からロイヤル顧客(お得意様)に育てていくことで、新規顧客獲得のための施策や広告費を削減することができます。
5. 他社の現状は?
600名に聞いた!コンテンツマーケティング調査レポート 2015年版 | 株式会社エコンテ
現状、国内企業は何を目的にコンテンツマーケティングを行う傾向にあるのか、株式会社エコンテが企業のWeb担当社600名を対象に実施した調査によると、コンテンツマーケティングの目的として過半数が「ブランド認知」「顧客獲得」と回答しています。
KPIとして設定しているのは「顧客獲得数」が40%と最も多く、次いで「サイトのトラフィック(35%)」「売上(34%)」と続きます。
コンテンツマーケティングの手法としてはSNSと自社ブログが多く、効果を感じているのもその2つが多いようです。
国内では、コンテンツマーケティングには新規顧客を求める傾向にありますが、アメリカでは既存顧客を育成するために実施している企業が多いというデータも出ています。
【Ginzametrics】コンテンツマーケティンク?実施?? 目的とkpiについて
まとめ
コンテンツマーケティングは、どのようなKPIを設定するにしても従来の外部リンク中心のSEOや広告に比べて即時的な効果は期待できません。
中長期的な取り組みになると覚悟しておきましょう。
記事コンテンツがSNSで拡散されれば瞬間風速的にアクセスを集めることはできますが、先に記載したとおり、SNSでの拡散はコントロールが難しく、そこばかり狙うと本来作成するべきコンテンツから遠ざかってしまう可能性もあります。
企業としてメディアやブログを運営するのであれば、SNSで短期的にアクセスを稼ぐのではなく、自社ユーザーが求めるコンテンツを配信し続け、顧客だけでなくメディアも育成していく方針を考えていきましょう。
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