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プロ野球コラム
浅村栄斗から中村、森、メヒアにつながる西武のクリーンアップは迫力抜群。その得点力をバットとともに足で支える3番の浅村は相手チームにとって脅威だ。
photograph by Hideki Sugiyama
野球善哉

浅村栄斗は誰よりも早く塁を蹴る!
打撃に走塁、守備が加わり万能に。

氏原英明 = 文

text by Hideaki Ujihara

photograph by Hideki Sugiyama

 浅村栄斗は悠然としていた。

 楽々とホームベースを駆け抜け、特に変わった様子もなくベンチにいるナインのもとへハイタッチへと向かった。

 7月14日の楽天戦。6回裏1死一、二塁で、二塁走者だった浅村は森友哉が放った二遊間へのライナー性の打球をいち早く安打と判断してスタートを切った。バットに当たってからホームまでのタイムは、最後を流し気味に走っていたために、6.8秒と決して速くないが、上手い走塁といえるものだった。

 今季は西武の3番に座り、ここまで打率.305、10本塁打、55打点。一昨年に打点王に輝いたこともあってバッティングにばかり注目が集まる浅村だが、今季の彼はバッティング以外の面でも極めて高いパフォーマンスを発揮している。

 そのうちの一つが走塁である。

 三塁ベースコーチの奈良原浩はこう証言する。

「中村やメヒアが打って返す、というのがうちらしいパターンになると思いますけど、浅村が出塁した時に、ホームに還ってくる走塁をしてくれているのも大きい。それが勝利につながっている」

一塁、二塁に浅村がいる時の生還率は極めて高い。

 実は筆者が浅村の走塁について取材を始めたのは、彼の好走塁がやけに多い印象を受けたからだ。奈良原三塁コーチも「確かに、今季は浅村を回している(本塁突入を指示している)機会が多い。外野の捕球するタイミングと走者を見て判断しますが、浅村は回したいタイミングで来る」と話している。

 とはいえ、印象だけで語ってもこの仮説は成立しない。

 そこで、浅村の走塁を記録してみた。

 二塁走者に浅村がいる状態で、次打者がヒットを放った(内野安打除く)ケースは12度あり、そのうちホームに還れなかったのはたった2度しかない。しかもその1つは大差の展開で、無理をして1点を取る必然性がなかった試合であり、ほとんどのケースで浅村はホームに還ってきているのだ。

 また、一塁走者での長打も調べてみた。浅村が一塁にいて打者が長打を放った場面は9度あり、うち6度生還している。

【次ページ】 「打球をみるより、ヒットだと思ったらスタートを切る」

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