ここでは、出版業界で通常用いられる意味での出版人の履歴を調べるための資料を紹介します。
書誌事項末尾の【 】内は当館請求記号です。各専門資料室などで開架している資料は、請求記号に続けて以下の略号を付しています。
人文:東京本館人文総合情報室
科経:東京本館科学技術・経済情報室
議官:東京本館議会官庁資料室
関西:関西館総合閲覧室
特に記載のないものは、すべて東京本館書庫閉架資料です。
目次
1.「出版人(しゅっぱんじん)」とは
2. 人名辞典類
2-1.専門人名辞典
2-2.業界人名録
2-3.業界人の列伝
2-4.専門書誌から伝記を探す
2-5.インターネット情報源
3. 出版社から調べる
3-1.業界別会社録
3-2.会社紹介リスト
4. 機関誌、業界誌、専門誌などを通覧する
1. 「出版人(しゅっぱんじん)」とは
出版人とは、定義が難しい用語ですが、出版業界では、書籍、雑誌の制作に関わる人のことをいいます。出版社の創業者、経営者だけでなく、書籍・雑誌の編集者、取次関係者、書店主、古書籍商、校正者のほか、装丁家を含めることが多いようです。また、製紙、印刷、製本業者、新聞関係者(新聞記者など)は含まれません(ただし、新聞社出版局の関係者は入ります)。
2. 人名辞典類
2-1. 専門人名辞典
- 稲岡勝監修『出版文化人物事典:江戸から近現代・出版人1600人』
(日外アソシエーツ 2013 【UE2-L1】人文、関西)
鈴木徹造『出版人物事典:明治-平成物故出版人』(出版ニュース社 1996 【UE2-G1】人文、関西)収録の約650人をもとに、前近代の人物や2013年までの物故者などを加え、約1,600人に拡充 したものです。関係した団体・出版社名から引ける索引付きです。
- 宮武外骨, 西田長寿『明治新聞雑誌関係者略伝』
(みすず書房 1985 明治大正言論資料;20 【UC126-51】人文)
ジャーナリストの人名辞典です。大正期、昭和前期の人物も含まれています。五十音排列で索引はありません。 - 『近代日本社会運動史人物大事典』
(日外アソシエーツ 1997 5冊 【E2-G73】人文、科経、議官、関西)
出版人は社会運動に関わった人物が多く、『日本アナキズム運動人名事典』(同編集委員会編 ぱる出版 2004 【E2-H147】人文、科経、関西)に掲載されている場合があります。
2-2. 業界人名録
人名録に没年は記載されていませんが、人名事典として使えるので復刻されることがあります。活躍年代を想定し、その時代の人名録を検索します。
- 大久保久雄監修『出版・書籍商人物情報大観:昭和初期』
(金沢文圃閣 2008 【UE57-J7】人文、関西)
『日本出版大観:人と事業』(出版タイムス社 1930 【612-69】)(国立国会図書館デジタルコレクション)の復刻です。人名索引があります。
- 『出版文化人名辞典』
(複製 日本図書センター 1988 4冊 【UE4-E2】人文、関西)
1巻 現代出版文化人総覧 昭和18年版(1943)
2巻 現代出版文化人総覧 昭和23年版(1947) 昭和23年版補修版(1948)
3巻 現代出版業大鑑-名鑑第3篇(1935)
4巻 全国書籍商総覧 昭和10年版(1935)
2-3. 業界人の列伝
NDL-OPACなどで検索できる「件名」には、「編集者」といった職業名や「-- 伝記」といった件名細目が付与されます(例えば「出版 -- 伝記」、「出版 -- 日本 -- 伝記」)。これらの件名で検索すると出版人の列伝が見つかります。
一部の本は、当館作成の目次データベースや日本人名情報索引(人文分野)データベースに人物名が採録されています。
- 帆刈芳之助『出版書籍商人物事典』(金沢文圃閣 2010 【UE57-J55、J56】人文、関西)
夏川清丸(帆刈芳之助)『出版人の横顔』(出版同盟新聞社 1942 【特214-759】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館送信)の復刻と単行本未収録分の続編です。人名索引があります。
- 鈴木省三『日本の出版界を築いた人びと』
(柏書房 1985 【UE17-70】)
- 『出版人の遺文』
(栗田書店 1968 8冊 【UE57-2】)
- 寺田博編『時代を創った編集者101』
(新書館 2003 【UE65-H49】関西)
- 桜井秀勲『戦後名編集者列伝:売れる本づくりを実践した鬼才たち』
(編書房 2003 【UE65-H22】)
- 『東京書籍商伝記集覧』
(青裳堂書店 1978 【UE4-11】)
『東京書籍商組合史及組合員概歴』(東京書籍商組合 1912 【342-278】)(国立国会図書館デジタルコレクション)の復刻。
- 反町茂雄編『紙魚の昔がたり』(八木書店 1987、1990 2冊 【UE111-84】)
- 青木正美『古本屋群雄伝』
(筑摩書房 2008 【UE111-J24】)
当館の目次データベースで収録人名がわかります。
2-4. 専門書誌から伝記を探す
- 布川角左衛門監修『日本出版関係書目:1868-1996』
(日本エディタースクール出版部 2003.12 【UE1-H1】人文、関西)
「出版人」の章(pp.152-170)があり、単行の伝記・追悼録など352点を挙げています。 - 稲岡勝監修『出版文化人物事典:江戸から近現代・出版人1600人』
(日外アソシエーツ 2013 【UE2-L1】人文、関西)
一部の人名項目に「参考」として、伝記や追悼録(雑誌記事を含む)を挙げています。
2-5. インターネット情報源
- デジタル版日本出版百年史年表
(日本書籍出版協会)
(http://www.shuppan-nenpyo.jp/index.html)
『日本出版百年史年表』(日本書籍出版協会 1968 【023.1-N6883】)のデジタル版です。人名も検索でき、生没年月日がわかります。
3. 出版社から調べる
3-1. 業界別人名録
出版社は比較的規模が小さいので一般の会社録に載りづらく、次のような専門の会社録が作られました。
- 『出版社調査録. 昭和40年版』
(丸之内興信所 1965 【023.035-Sy998】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館送信)
- 『出版社調査録. 第2版(昭和44年版)』
(丸之内リサーチセンター 1969 【023.035-Sy998】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館送信)
- 『多様化する出版業界 : 360社の実態調査第3版. 1971年版』
(丸之内リサーチセンター 1971【UE2-5】)
- 『転換期にある出版業界』
(第4版(1974年版) 丸之内リサーチセンター 1973 【UE4-3】)
- 『出版社調査録. 1976年版(第5版)』
(丸之内リサーチセンター 1975 【UE4-5】)
- 『出版社調査録. 1978年版』
(第6版 丸之内リサーチセンター 1977 【UE4-5】))
以上の資料には社長の略歴が載っています。これらと『出版社要録』(東京産経興信所 1959 当館未所蔵)を合わせた、石川巧編『高度成長期の出版社調査事典』(全8巻予定 金沢文圃閣 2014- 【UE4-L1ほか】人文)が復刻中です。
3-2. 会社紹介リスト
社史が出版されていない会社の場合、会社紹介の類で、創業者の情報などが分かる場合があります。
- 日本著作権協議会編『文化人名録』(日本著作権協議会 1951-2001【281.03-B97-Nほか】)(国立国会図書館デジタルコレクション:館内限定)
別書名『著作権台帳』。昭和30年代までの版には、「加盟団体名簿」「維持会員名簿」「会友名簿」に出版社ごとの沿革、事業(主な出版物)、組織、資本金、従業員数、役員名などを記載しています(昭和30年版で約90社)。 - 『日販三十年のあゆみ』
(日本出版販売 1980 【UE111-48】)
「出版社紹介(及び業界団体紹介)」に、約500社の自社紹介記事があります。 - 『東京組合四十年史』
(東京都書店商業組合 1982 【UE3-19】)
別冊「業界各社・各団体の歴史と現状」に、158社の自社紹介記事があります。 - 塩澤実信『出版社大全』
(論創社 2003 【UE57-H19】)
『日販通信』連載記事を単行本化したものです。120社を紹介しています。
4. 機関誌、業界誌、専門誌などを通覧する
人名の総索引が付いた雑誌はほとんどありませんが、あらかじめ没年月が判明していれば、通覧して訃報記事、追悼記事などを見つけることができます。(以下は大まかな年代順)
- 『出版通信・出版同盟新聞』
(復刻版 新文化通信社 2001 全11冊 【Z99-1055】)
当館所蔵は142号(1932年11月30日)~1113号(1943年6月10日)です。索引はありません。 - 『日本古書通信』(日本古書通信社 1934- )
1号(1934年1月25日)~[146号(1941年10月)] 【Z21-1776】
12巻1号(1947年6月)~14巻9号復刊28号(1949年9月) 【VH1-N349】
14巻1号復刊20号(1949年1月)~ (欠多し) 【Z21-160】
当館未所蔵の総目次(1984年)に物故者索引「日本古書通信掲載忌辰録索引1934-1983」(pp.17-33)があります。 - 『古書月報』
(東京都古書籍商業協同組合 隔月刊 【Z21-178】)
当館所蔵はNo.61(1953年6月)からです(欠多し)。なお、戦前の『公認東京古書籍商組合月報』は当館未所蔵です。 - 東京堂編『出版年鑑』(文泉堂出版 1977-1978 【UP3-10】人文、関西)
昭和5年版~昭和23年版の複製です。戦前版は「逝ける人々」欄を1930年版(1929年没)から1941年版(1940年没)まで掲載しています。 - 『出版新報』
(出版新報社 1948-64 【YB-1624】)
- 『帆刈出版通信』(帆刈出版研究所)
69号(1947年5月8日)~191号(1949年9月29日) 【VH3-H56】
259号(1951年1月4日)~356号(1952年11月27日) 【Z21-1034】 - 『新文化』
(新文化通信社 [1950.12.21]- 週刊 【Z86-84】)
当館所蔵は1968年12月12日号からです。1972年以降分には縮刷版【Z99-92】があります。後述の『出版クラブだより』に掲載されない小売業界(新刊書店)の訃報が載っています。また、1970年代の連載記事「出版交友録」には、プロフィールが載っています。
- 『出版クラブだより[復刻版]』
(日本出版クラブ [19--]-2007 【Z79-B350】)
当館所蔵は1号(昭和30年3月1日)~6号(昭和32年6月1日)、復刊1号(昭和39年3月30日)~[復刊]no. 500 (平成18年10月1日)。出版社、取次関係者の訃報が載っています。上述の『日本の出版界を築いた人びと』の続き(第2部)が連載されています。
関連情報
- 調べ方案内「人物文献(伝記など)を探す(日本)」
- 調べ方案内「社史・経済団体史」
- 河原努「『出版文化人物事典』における人物調査の方法」
(『文献継承』23号 2013年10月 pp.1-4)(金沢文圃閣)※PDFファイルが開きます。
(http://kanazawa-bumpo-kaku.jimdo.com/app/download/10299418988/%E3%80%8E%E6%96%87%E7%8C%AE%E7%B6%99%E6%89%BF%E3%80%8F23%E5%8F%B7.pdf)
上述の『新文化』の当館欠号分を東京都立中央図書館が所蔵していることなど、調べ方についての実践的な示唆が書かれています。また、当館未所蔵本『日本出版人総鑑 1976年版』(文化通信社 1976)なども紹介されています。