イラン国旗を掲げ、核問題での6カ国との合意を歓迎するテヘラン市民=14日(AP)【拡大】
イラン核問題をめぐる協議で、欧米など6カ国とイランは14日、歴史的な合意に至った。戦争で引き裂かれた中東地域の実体を把握することが今後の課題になる。
問題は、国際社会に復帰する見通しのイランが発言力を増しているサウジアラビアとの覇権争いの激化を回避できるかどうかだ。
中東地域では2011年以降、イランが支援するシーア派とサウジが支援するスンニ派の部隊による戦闘でシリアを中心に25万人が死亡し、一部の中東諸国の支出は数十億ドルに上っている。一方、治安不在の状況下で勢力を拡大しているイスラム国などの過激派組織は、チュニジアやイランのテロ組織へも支援している。
14日の最終合意を受け、経済制裁解除の見返りに核プログラムの縮小を目指すイランは、12月15日までに最終報告書を提出する。合意違反がなければ、同国はエネルギー資源の輸出強化、世界の金融システムへの再参入、凍結されている最大1500億ドル(約18兆5100億円)の資産の利用が可能になる見通し。