新興メディア「Quartz」は、チャート(グラフ)活用に積極的です。
独自のチャート生成ツール「Chartbuilder」を開発、昨年は3,800のチャートを記事に使いました。
それに留まらず、「チャート・オブ・ザ・イヤー」を企画し、The Economistのチャートを選びました。
・2014年にQuartzとFiveThirtyEightはチャートをいくつ作ったか
・Quartz初の「チャート・オブ・ザ・イヤー」が決定
そんなQuartzが、6月に実験的なサイト「Atlas」をローンチしています。
Atlasでは、彼らが作成したチャート(グラフ)を画像一覧でブラウズできます。
Atlasの機能はつぎの通り。
チャートの検索
たとえば、「Greece」で検索すると、ギリシャに関係するチャート(データ)が表示されます。
チャート画像のダウンロード
見つけたチャート画像のダウンロードができます。画像フッターには、「Atlas(もしくはQuartz)」の表記とデータ元の記載があり、そのまま記事やSNS投稿に使えるようになっています。
データのダウンロード
チャートに使われているデータは、CSV形式でダウンロードできます。
チャートの埋め込み
YouTubeの動画のように、埋め込みコードが用意されており、他サイトに手軽に表示させることができます。
検索以外のチャート絞り込み
人気チャート、最新チャート、それから4つのカテゴリーでチャートの絞り込みができます。
Atlasプロジェクトの狙い
「データ・ジャーナリズム」や「ビジュアル・ジャーナリズム」の文脈から、チャートやビジュアライゼーション活用を進めるメディアが増える中で、「Quartz」がその分野で特別な存在であることを示す目的があります。
Quartzは、2012年にモバイル・タブレット端末向けのデジタル・メディアとしてスタートし、短文記事(500文字以下)と長文記事(800文字以上)に力を入れています。このコンセプトは「Quartz Curve」と呼ばれています。
モバイル最適を特徴にポジションを築いてきたQuartzにとって、チャートは戦略的なコンテンツのひとつです。彼らは、Atlasローンチを発表する記事で、「チャートは我々にとっての猫画像だ(Charts are our cat photos.)」という言葉を使っています。
・Atlas, the new home for charts and data | Quartz
チャート生成ツール「Chartbuilder」のアップデート
同記事では、冒頭で紹介したチャート生成ツール「Chartbuilder」の2.0アップデートも伝えています。
このツールで生成したチャートは4つの画像サイズ(Auto/Medium/Long spot/Small spot)でダウンロードでき、そのうち2つ(Long spot/Small spot)はモバイル向けのサイズとなっています。
・Chartbuilder 2.0
汎用性の高い「Auto」サイズ
モバイル向け「Long spot chart」サイズ
モバイル画面を想定した縦長コンパクトサイズ。
モバイル向け「Small spot chart」サイズ
縦長よりもさらに小さいサイズ。
「Atlas」ローンチ、「Chartbuilder 2.0」リリースを発表し、Quartzがチャート活用を今後も重要視することがわかります。
その意気込みは「Atlas」のネーミングにも表れています。「アトラス山脈」(ロゴも山のかたちをイメージ)という名前は、Quartzが属するAtlantic Mediaグループの名称と関係があります。Atlas(アトラス山脈)は、Atlantic(大西洋)に面していて、Atlantic Mediaグループとしても大事なプロジェクトに位置付けているように思えます。