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JUN SKY WALKER(S)の、再始動以降初のオリジナル・フルアルバム『LOST AND FOUND』(2012年)の1曲目に、“ロックの資格”という曲が入っている。「ロックは禁煙をしてはいけない ロックは痩せてなきゃいけない ロックは長生きしてはいけない ロックは怒ってなきゃ駄目だぜ」から始まって、「ロックは×××しちゃいけない」「ロックは××じゃなきゃ駄目」が延々と積み重ねられていく歌詞だ。
何それ。バンドブーム世代のおっさんたちとって、ロックってそんな不自由で窮屈なものなの? と、若いロックファンは思うだろう。でも、そうなんです。そんなふうに「××しちゃいけない」や「××じゃなきゃ駄目」でがんじがらめになった、それはもう不自由で窮屈なもんなんです、ある年齢から上の世代にとってのロックって。と、激しくジュンスカに共感したので、バンドのスタッフからご依頼いただいた推薦コメントに、それをそのまま書いた記憶がある。
思えば1990年代になる頃までは、ロックという大きなくくりに留まらず、各ジャンルにおいてもそういう掟のようなもの、ジュンスカ言うところの「資格」があったように思う。「パンクは××しちゃいけない」「ロカビリーは××じゃなきゃ駄目」というような。今になって思えば、自分でも「なんで頑なにそう思い込んでいたんだろう」という気がする。まあ前述のジュンスカの“ロックの資格”だって、そんな頭ガチガチの自分たちを笑う視点あってこその曲なんだけど(じゃなきゃこんなテーマで曲を書かないだろうし)。
で。そんな時代に楽器を持った、そんな世代のバンドマンでありながら、「ハードロック・ヘヴィメタル」における「××しちゃいけない」「××じゃなきゃ駄目」を、ひとつひとつ覆して登場したのが、1989年に『平成名物TVイカすバンド天国』に登場した人間椅子であった。と、今になってみると思うのだ。
彼らが登場する少し前、この国のバンド好き・楽器好きの少年少女たちの間には、ジャパニーズ・ヘヴィメタルの波が押し寄せていた。1970年代後半にイギリスで勃発した80年代NWOBHM(NEW WAVE OF BRITISH HEAVY METAL)ムーヴメントが日本へも飛び火して数年後にブレイク、東京と関西を中心に一大ブームが巻き起きる。のちに海外進出もはたす(そして現在でもトップに君臨している)ラウドネス。ポップでカラフルでもっともメタル好き以外のロックファンにもリーチしやすい音楽性だった、よって売れたアースシェイカー。「全員金髪」「衣裳もド派手」「全員外人の名前」で我々の度肝を抜いた44マグナム、などなど。
そしてそこにはやはり「ハードロックは××じゃなきゃいけない」「ヘヴィメタルは××じゃなきゃ駄目」という厳然たるルールが存在していた。ヴォーカルはキンキンにハイトーンじゃなきゃいけない。ギター・ソロは長く、かつ速くなきゃいけない。長髪じゃなきゃいけない。メイクしてなきゃいけない。レザーでトゲトゲだったりカラフルなTシャツをカットしまくっていたり等のバリエーションはあるが、総じてド派手な格好じゃなきゃいけない。悪魔のことや宇宙のことやエロなことが歌詞のテーマになってなきゃいけない。歌詞に英語が頻発しなきゃいけない、つまり日本人ぽくては駄目──というような。
そして当時、多くのキッズは、それに盲目的にしたがっていた。なぜ。かっこいいと思ったから。ただ、すべてを素直に全肯定できたかというと、そうでもなかった。疑問に思うところもあった。たとえば歌詞の、前述のような世界観とか。「でも全体としてはかっこいいんだから従わなきゃ」ということで、それにしたがっていたのだと思う。
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