ベストなパートナー(=投資家)に出会うには“助走期間”が必要
by 高宮慎一(投資家)
「ベストな投資家」って、なんでしょう?前回の『起業家も投資家をデュー・デリしよう!』 でも書きましたが、簡単に言うと
● 自分たちの事業にあった支援をしてくれる
● 自分たちと、人として相性がいい
といった投資家だと思います。投資家の会社として、というよりも、上記の2つは投資家個人として、というのがより重要です。そして、エンジェル、シード投資家、VC…どんな投資家にしても、大枠は同じでしょう。
では、上記のような投資家と出会うにはどうすればいいのでしょうか。
これについて答えは1つ。「長期的な視点で、とにかくいろんな投資家に会っておく」しかないと僕は思っています。
例えるなら、お付き合いもしないで、出会っていきなり結婚ってないですよね…という話と一緒だと思っています(笑) 。
起業家と投資家は、投資を受ける=長期的に一緒になる・不可逆(少なくともハードルは高い)という意味においては、結婚するみたいな話だと思うのです。
「そろそろ増資したい…」からでは遅い!
一番いいのは増資云々の話が出る前、できれば数年越しでいろんな投資家に会い、ランチしたり飲みに行ってみたりすることです。仲良くなって一緒にスポーツなどのアクティビティもするのもおすすめです。
だいぶ前から会っておいた方がよい理由は、増資の話が具体的になってくると、起業家にとっても投資家にとっても利害が絡み始め、お互いにお化粧をしてしまいがちだからです。現世の煩悩が出てきて、「良い条件で投資を受けたい!」「この会社に投資をしたい!」という状態になると、ダメな部分も含めた「飾らない自分の人となり」をさらけ出すのが難しくなってしまいます。
長期的に一緒にやっていくには、本当に相性が良いのかを、素のままで確認する必要があります。
そういう意味では、机に座って打ち合わせをしているだけでは、その人の「本当の人となり」が浮き上がってきません。なので、アクティビティを一緒にするのが良いのです。スポーツをしていると、意外とあの人は負けず嫌いだとか、BBQをしているとあの人はみんなが見ていないところで働くとか、色々な面が出てきます。
仕事上の関係でアクティビティを一緒にするまで仲良くなるのは、難しいこともあるでしょう。そんなときは、少なくとも食事や飲みに一緒に行っておくべきです。そして、カジュアルな雰囲気の中でも色々相談や質問をして、実際に投資を受けたら、どんな支援をしてくれるのか、といったさわりを体感しておくとよいでしょう。
僕自身でいうと、たとえば、nanapiのけんすうさん(=古川健介さん)と初めてお会いしたのは、まだけんすうさんがリクルート2年目のころでした。それ以降も定期的に会っていて、起業した後もランチなどしていたのです。けんすうさんとは事業以外のさまざまな話をしつつ、その中から「そろそろ資金調達かな」という空気を感じるようになり、そこで連絡を取ってみたところ「ちょうどそのタイミングだった!」というケースでした。
この段階では、もうある程度お互いについて知っていて、信頼関係も構築できつつあったので、話がスピーディーかつ安心感がありました。投資時点はもちろん、投資後はなおさらシビアな話をする局面もありますが、ベースに信頼関係があるからこそ、それを乗り切れる、安心して同じ船に乗れるというのはあります。
投資は意外と人間ビジネス
僕が個人的に、投資家として大事にしているのは、ベースとして、人として「信頼できるか」、「裏切らないか」です。
起業家と、経営者―株主としての関係を持つと、短くても3年、長いと8年くらいずっと一緒にやることになります。当然、その間に苦しい局面は絶対にやってきます。どんなに苦しいときでも、逃げ出したり、裏切ったりしない、そんな人と一緒になりたいと思っています。
当然、起業家も投資家に同じことを求めていると思っています。結果的に、事業がうまくいかなかったとしても、お互いにやり切って「ナイストライ!」と言って、爽やかに別れ、もう一回一緒にやれるかどうか。その感覚はマストだと思っています。
投資家という仕事は、ファイナンスや数字が中心のお仕事と誤解されがちです。しかし、想像以上に人と人との関係を大事であり、かつ成否が人に与える影響も甚大な人間ビジネスなんです。スタートアップへの投資の場合は特に当てはまります。
これは投資家だけでなく、裏っかえしの立場にいる起業家にとっても一緒で、「お金が必要だから」「増資を引き受けてくれそうだから」といって一発で投資家を決めるべきではないと思っています。何度か会ったり話したりして、長い付き合いを経て、相性や何を支援してくれるかを確認するための助走期間を設けておくことをおすすめします。
「The First Penguin」では、記事アイデアを募集中です!この人の起業話が聞きたい等ありましたら、こちらからご投稿ください。