平成9年に起きた神戸市須磨区の連続児童殺傷事件で、加害男性(33)の手記「絶歌(ぜっか)」が出版、発売されてから10日で1カ月。出版の是非や内容をめぐる波紋が収まらない。少数ながら「言論の自由」などの観点から出版を容認する声はあるものの、被害者遺族に無断で出版し、多額の印税を手にすることに出版の「良識」を問う声が強いようだ。
「責任ある成人男性が、少年法の陰に隠れて匿名で本を出し、遺族を傷つける。卑怯(ひきょう)だ」
事件で亡くなった土師淳君=当時(11)=の父、守さん(59)は憤る。出版直後、版元の「太田出版」(東京)に抗議、手記の回収を求めた。
山下彩花さん=当時(10)=を亡くした母、京子さん(59)も「元少年Aや出版社の人たちと同じ土俵に立ちたくない」と突き放した。
遺族感情を踏まえ、各方面から批判の声が上がった。淳君の菩提(ぼだい)寺がある兵庫県明石市の泉房穂市長は6月19日の記者会見で、出版を「遺族を傷つける許されない行為」と非難。神戸市の久元喜造市長も「遺族が精神的苦痛を受けたことは大変遺憾」と述べた。
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