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なぜGACKTはフランスで差別されたのか?パリ在住日本人が語る5つの理由

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なぜGacktはフランスで差別されたのか?パリ在住日本人が語る理由

2015年4月、フランスのホテルで人種差別を受けたというニュースが報じられた。

フランスの空港近くのホテルに宿泊し、朝食を摂ろうと立ち寄ったビュッフェで、店員から露骨な人種差別的あつかいを受けたという。そのビュッフェにはほかに客はなく、外の景色を眺めたかったGACKTは入り口付近の席へ。しかし店員が慌てて駆け寄り、奥の席へ移動するよう指示されたという。気に留めず指示に従ったが、その後に入店した白人客が入り口付 近のその席についたのを見つけ、疑問をいだいたGACKT。観察してみると、白人客は入り口付 近へ、そしてアジア人はやはり奥の席へ座るよう指示されていたという。

奥の席が満席になっても、アジア人はほかの席に座ることが許されないという状況にGACKTは「わかるか、これ?ものすごく分かりやすい差別だ よ」。一度店を出て、再度入店してみたが、やはり同じように奥の席へとの指示。そこで「なんでだ? 分かりやすいように説明してくれ」「大きい声で、わか りやすく言ってくれ」と笑顔で店員に尋ねたところ、「諦めたのか向こうに行って他の店員となにやらボクを見ながら話していた。あはははは。こういうことっ ていまだにあるんだよなぁ…」と、露骨な人種差別にあきれていた。(日刊スポーツ)

 

このニュースを受け、「人種差別があるフランスには行かない」、「こんなのヨーロッパでは日常茶飯事」というコメントを目にするが、GACKTというたった一人の個人が経験したことを日本人全体に当てはめるのはちょっと待ってほしい。GACKTが差別を受けたからといって、全ての日本人が差別を受けるというわけではないし、フランスは日本人を差別するというわけでもない。

確かに、フランスに差別が全くないとは言い切れないが、フランス人みんなが外国人を嫌っているわけではないし、現に筆者はフランス在住6年目で今まで一度も差別されていると感じたことはない。

そこで今回はGACKTがなぜフランスで人種差別を受けたのか、パリ在住日本人の視点で考えられる理由を5つまとめてみた。

 

1.中国人に間違えられた

一つ目の考えられる理由は「中国人に間違えられた」である。日本でも中国人観光客のマナーの悪さが問題になっているが、これはフランスでも同じである。パリのギャラリーラファイエット(高級デパート)の前には地べたに座っている中国人がたくさんいる。通行人の邪魔になるので現地の人には嫌がられ、たんを吐いたり、話し声が大きいなどのマナーの悪さも目立っている。何より「中国人は数が多い」ことに脅威を感じ、パリの中華街を見て、「私たちの美しいパリが中国人にのっとられてしまった」と憤慨するパリジャンも少なからずいる。

そして私たち日本人が、イタリア人とフランス人を見分けられないのと同じように、フランス人も中国人と日本人を見分けられない。彼らのなかでは「日本人も、韓国人も、アジア人はみんな中国人」である。GACKTに接客した店員も、GACKTをマナーの悪い中国人だと判断し、奥の席に追いやったのではないだろうか。

 

2.感じの悪い客だった

「GACKTが感じの悪いお客さんだった」という理由も考えられる。日本ではお客様は神様と言われ、たとえ感じの悪い客だったとしても丁寧に接客するという暗黙のルールがあるが、フランスでこれは通用しない。客であれ、店員であれ、人として対等であり、偉そうな態度を示す客は嫌われる。へりくだる必要はないが、店員を人として尊敬する態度をとらなくてはならず、「あれやれ、これやれ」と上から指図するような客は嫌がられる。

また、フランス社会では店員やアパートの大家さん、銀行の担当者などには“個人的に”気に入られることが非常に重要である。それまでは「時間がない」といって素っ気無い対応しかしてくれなかった人でも、手土産を持っていった次の日から態度がコロッと変わって優先的に対応してくれるようになった…ということはフランスではざらにある話だ。

フランス人もこのルールは熟知していて、自分に利益があるように店員には気に入られようとする。へりくだるわけではないが、店員と仲良くなり、一瞬で店員との壁を取っ払う彼らのコミュニケーション術といえば日本人とは比にならない。気に入った客に特別扱いするのが当たり前のフランス社会ではその逆も然り。感じの悪い客に対して露骨に嫌な態度をとる店員は、日本に比べると断然多い。

 

3.フランス語が下手

日本ではGACKTはフランス語がぺらぺらだと思われているが、実際のところ、フランス人はそう思っていない。これはGACKTに限らず、他の芸能人でも言えることだが、日本では少しでもしゃべれたら「あの芸能人は英語堪能だ」という言い方をする。しかし、これは日本のなかでだけで通用する褒め言葉であり、実際に海外に行けば「しゃべれない人」のうちに入ってしまう。

↓ 例えば、GACKTのこのCM。日本ではこれを見て、「ガクトはフランス語が話せる」と思った人もいるが、フランス人に言わせると何と言っているのかわからず、YOUTUBEのコメント欄では「これは~と言っているのではないか」という訳をつけている人もいる。

↓ ちなみに武田梨奈のフランス語のこの歌は、もはや理解不能である。ところどころ、フランス人ですら何と言っているのか聞き取れない。

ちなみに滝川クリステルのおもてなしスピーチはフランス人でも容易に理解できるフランス語だったが、日本で報道されているようにネイティブレベルかというとそうではなく、彼女の発音にも癖があり、あくまで「外国人の話すフランス語」である。

このように、外国人とのコミュニケーションでは正しく発音するというのが非常に重要で、正しいフレーズをいくら言えても発音が下手なら会話が成り立たず、「話せる人」のうちに入らない。また、日本人は外国人の話す片言の日本語に好感を抱く人が多いが、移民の多いフランスでは、片言のわかりにくいフランス語を話す外国人を嫌がる人もなかにはいる。日本語が話せない外国人にも寛容な日本に比べて、フランスではフランス語を話せない外国人への風当たりは厳しく、シビアである。実際のところ、GACKT自身は「なんでだ? 分かりやすいように説明してくれ」「大きい声で、わか りやすく言ってくれ」と笑顔で店員に尋ねたと言っているが、これが本当に相手のフランス人に伝わっていたのか、かなり怪しい。

 

4.奇抜な見た目

ガクトの奇抜なファッションにも注目だ。ガクトはビジュアル系というどちらかというと女性的なファッションスタイルが持ち味だが、こういう服装をする人はフランスにはほぼいない。最近は海外の日本ブームの影響もあって、一部の日本好きなフランスの若者が日本のビジュアル系を支持しているが、これもごくごく少数派であり、ファッションに関して割と保守的なフランスではこのスタイルは受け入れられない。すぐに「妙な人」のレッテルを貼られてしまうかもしれない。

ガクトがフランスの空港で実際にどんなファッションをしていたのかはわからないが、女性のように眉毛が細く、女性のように髪を染め、カラコンをし、メイクをし、アクセサリーをつけているアジア人の男性を前にして、引いてしまった外国人の心境もわからなくはない。「何か変な客が店の前のテーブルに座ったぞ」→「何か危なそう人だから奥の席に移ってもらおう」という店側の考えがあったのかもしれない。

 

5.そういう店だった

日本に比べてはるかに移民が多く、国籍が違う人ともうまく”共生”することを強いられているフランスでは、人種差別に対しては日本よりも厳しい態度をとっている。しかし、そうでありながら、有色人種を差別する人がゼロかというとそうではない。店の入り口の席といえば、「店の顔」である。ここに多くのアジア人に座られてしまうと、アジア人を嫌うフランス人の客足は遠のき、店の中に入ろうとするお客さんが減ってしまうのかもしれない。

筆者はこれまでガクトが経験したような「テーブルを移動させられるような差別」はないが、こういうお店はゼロではないと思う。フランスの空港付近で、マジョリティーである白人のお客さんが入りやすそうな店づくりのために有色人種は入り口から見えにくい場所に座らせるというお店も(筆者は出会ったことはないが)、あるのかもしれない。

いずれにせよ、もしこれが本当に差別であるなら、フランスで最も国際的な場所であるはずの「空港」の近くでこのようなことが起こったというのは、フランスの恥ずべき一面である。

 

さいごに

GACKTの今回の出来事は、このニュースだけを聞いてすぐに「人種差別」と結びつけるのは、あまりに浅慮である。GACKTという彼の個性や語学レベル、フランスと移民の関係性、見た目、コミュニケーションの仕方の違いなど、様々な点を考慮に入れないと、実際のところ、店側にどういう意図があったのかはわからない。結局は文化の違いや、コミュニケーションの問題だとも言えるし、本当に非があるのはGACKTの方なのかもしれない。

店側にどういう意図があったにせよ、海外に行って嫌な目にあったらすぐに「人種差別」と結びつけるのはいかがなものかと思う。相手を攻めるだけではなく、自分に比がないのか、相手の国を本当に理解しているかと疑う謙虚さが、他人の地に足を踏み入れる人間として必要なのではないだろうか。


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コメント | 1件

  1. SACCI

    日本のコモンセンスもフランスのそれも、アメリカのそれも、どれも優先されるようなことじゃないけど、
    アメリカでの共通理解では、解説の5項目すべて「差別」だよね。

    1.中国人に間違えられた
      → 中国人なら扱いを変えていい、のは差別
    2.感じの悪い客だった
      → 感じの悪いアジア系なら扱いを変えていい、のは差別
    3.フランス語が下手
      → フランス語の下手なアジア系なら扱いを変えていい、のは差別
    4.奇抜な見た目
      → 奇抜な見た目のアジア系なら扱いを変えていい、のは差別
    5.そういう店だった
      → そもそも差別系の店と仰ってますね。

    トイレの横の「弱者の席」に類するお話は、どういじっても差別以外の話にデコレートでできないので、「差別って単純なものじゃないよ」という、差別を否定しない、差別の中での解説、そういった解説ならよかったのに。

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