■独歩的な技術力で勝負
最初から規模の大きい海外市場への進出を狙う企業もある。ケースなどスマートフォンアクセサリーを専門に扱うシュピゲン・コリアは、売上高の6割を米国で稼いでいる。09年に会社を設立したキム・デヨン代表取締役は、初期の段階からハイエンドのスマートフォン需要が高い北米などの海外市場を中心に営業網を広げた。米国にグローバルデザインセンターを設立し、2300店の実店舗を構えるとともにアマゾンなどの通販サイトに出店した。
かわいらしいキャラクターグッズで知られるオーロラワールドは、「ユーフー&フレンズ」のぬいぐるみやアニメが欧米の子どもたちに人気だ。創業者のノ・ヒヨル会長は1992年から世界市場の4割を占める米国市場の開拓に乗り出した。本社従業員の3割以上がデザイン研究開発に従事しており、米国など9カ国にデザイン開発センターを設立した。これが奏功し、現在は売り上げの大半を海外で稼いでおり、特に全体の半分以上を米国で得ている。
変わったアイデア商品で市場を掌握する企業もある。韓国の電子黒板最大手、AHA情報通信は男女別学の意識が強いサウジアラビアをはじめとする中東諸国に進出し、シェア90%で圧倒的1位を誇っている。創業者のク・ギド代表取締役は02年、教卓の中にパソコンとスピーカー、マイク、板書用モニターを取り付け、教卓で板書すれば自動でスクリーンに映し出される「電子教卓」を開発した。販売先を探した末、07年に中東に目を向けた。中東諸国は男女別学の傾向が強いが、この製品を使えば別々の教室にいる男子学生と女子学生に授業内容を伝えられるため、大学で人気を集めているという。
崇実大・中小企業大学院のチョ・ビョンソン教授は「海外市場で成功するには細分化された需要層を正確に見極め、それに適した戦略を取ることで市場の信頼を得る必要がある」と助言している。