これを読んで言いたいことができた。
ウルトラざっくりというと「息子が発達障害で、社会人になりきれず壁に行き詰まって困ってる」という話。
ただ、問題は発達障害に対してちゃんとした知識がなく、息子の異様な部分を全部発達障害に対して押し付けようとしてる…というところ。
僕も過去に発達障害の記事や精神科通院の書いてきたが、ここまで知識がない人には発達障害・通院への大変さよりも偏見を解く所から説明せねばならないと危機感を感じた。
そこで、日本一有名な発達障害者であるミスタープロ野球「長嶋茂雄」を例に説明することにしようと考えた。
発達障害について議論するフォロワーや僕も含めた周囲の見解が一致しただけではなく、医者の中でも長島氏を発達障害と主張する人がいる。
少しでも、発達障害に対する世間の印象が長島さんのお影でマイルドになればなぁ…と思う次第だ。
長嶋が大成したのはサードだったからである!
長嶋というと、いい伝説も多い人だが、普通ならわざとでもやらないようなトンチンカンな伝説が多い人でも有名である。その一例を見てみよう。
- 試合前「靴下がない!」と大騒ぎ、周りの選手も大騒ぎ、「ごめん、あった」片方の足に二枚履いていた。
- 試合後「車の鍵がない」と大騒ぎ、周りの選手も大騒ぎ、「ごめん。今日は、電車で来たんだ」
- 記者「長嶋さんのダイナミックさはどこからきているんですか?」長嶋「英語だから、アメリカですね」
- オーストラリアで野球教室。「赤井君、上手いねえ」、「赤井君ナイスバッティング」、「赤井君がんばれよ」
「しかしこのチームは赤井君ばっかりだねえ」→赤井電機がスポンサーだった。
それこそ、長嶋茂雄のドジや間違いだけで1時間の番組が作れるほどの「伝説」がある。
これらのドジをエピソードとして説明してる番組を見てみると…どうも長島氏がドジをやらかす時には「1つのことに集中するあまり他のことが頭から吹っ飛んで、気がついたら自分のその前にした行動を覚えてない」ことが多い。(発達障害の人の経験談を聞く限りでは1つのことに没頭しすぎて回りが見えなくなるタイプと、全部のことを考えようとして何もできなくなるタイプがいるらしいが長島氏は前者の代表例のような人)
発達障害で大成した人は学者やアスリートや芸能人など「一芸に秀でた人」が多く、「自分に向いてることであれば、高い集中力で没頭できる」のが強みだ。ましてや、長嶋さんほどになると不可能を可能にするほどの没頭する。
…だけど、複数のことをこなしたり、1つの動作に集中できない環境・仕事が苦手なのが発達障害の弱点であり、長嶋さんほど重度だと子どものようなミスをやらかす。
だから、長嶋さんはドジすら伝説になった。
周りが見えないほどの集中力があったからこそ「ドジ」「困った人」でもあったが、「アスリートとしては」すごい強みだった。
あまりにも無心に打席に立つから相手投手からは「顔色が読めない」と困惑され、捕手からも「(野球と関係ない話をして集中力を乱す)ささやき戦術が通じない」との証言が残っている。
でも、そんな長島氏が野球で大成できたのは「1つのことに集中できなかったから」ではなく、「1つのことにしか集中しなくていい守備位置に長島を配置したから」ではなかろうか?
本来、野球は1つのことに集中する人に向いてるスポーツじゃない!
多くの守備位置は連携プレーが必要になり、打撃も走塁も監督の指示を見て動くサインプレーが基本になる。だから、普通は強打者の時にホームスチールややらかしたり、サイン無しで暴走したりはしないし、したらそれだけで説教もの!
でも、長嶋という選手はスターとしてサインを無視した暴走ができること、強打者として打つことを中心に求められたこと、連携プレーの少ないサードという守備位置を選んだことで野球を「1つのことにだけ集中してプレイできるスポーツ」としてこなすことに成功した。
よく、長島の守備について「サードなのにショートの位置も投手の位置も守るほど守備範囲が広い」と聞く。
「そんなに動けるならショートか外野でもやればいいじゃない!」
と僕も発達障害についてよく知らない時、長島氏のエピソードに感じてた。
実際、高校時代までは長嶋の主な守備位置はショートだったが…ショートではエラーが多かったそうだ。サードではエラーをしないことに記録を持ち、それでいて守備範囲も広い名手。でも、ショートではそれが生かせなかったという。
野球と発達障害の知識両方があれば、「ショートはランナーや相手の攻撃を意識したプレイが多く、打球だけに集中する長嶋クラスの発達障害には力が発揮しにくい」と気づく。…発達障害は使い道次第で天才にも化けるが、見誤ると駄目になる。
一方、サードは飛んでくるボールが最も鋭いものの「ボールだけに集中できる」ため、「反射神経も脚力もあるが、周りの他人を見て連携するプレイが苦手」という長嶋にはうってつけだ!
バカと天才は紙一重というが、紙一重を分けるのはなんだろう?自らの才能への気づきか、周りのおおらかな目か、それとも長嶋のような明るさか…。
監督として大成しきれなかった理由
もちろん、優勝も日本一も経験し、長く監督を経験したため、勝利の数も多いから「全くダメ」というわけでもない。
でも、勝率は巨人で長く監督務めた人の中では良くない方に入る。
その原因がとても発達障害らしくて面白かったからこの話をしたい。
原因について議論する際、大きく分けて2つの言い分が出てくる。
1、長嶋ファンに多い意見として「V9を実現した選手が衰えて粒が揃ってない時期に引き受けたからダメだったんだ」という人材不足論。
2、アンチ長島に多い意見として「あんな擬音とジェスチャーで指導されても誰もわからないよ!」という指導者失格論。
どちらも部分的には正しいが、どちらにも反論がある。
1は「長嶋がいる時期の巨人軍は補強が多かったんだから、選手自体を揃えることはできたし、実際補強で優勝したシーズンもある」ということ。
2は「中畑清を筆頭とする伊東キャンプのメンバー・そして松井秀喜など長嶋茂雄が育てたと言われる人がいるから、育てる力はあったのでは?」と。
だいたい、1と2のどちらも否定できる言い分として
「長嶋茂雄が去った直後に、監督経験が浅い後任者である藤田・原両監督が日本一になっているため、作り上げたチームは決して悪くない」
というもの。
そう!試合中に長嶋氏は新人監督にも劣る失敗をしてる。
それは「サインを忘れる・采配を間違える(名前が覚えられない/自分の使った選手を忘れてしまう)ことで味方を混乱させた」ことにある。
テレビで試合を見ながら次の展開を未来予知の如く的中させていく落合博満(息子がそれをツイッターで実況)を超える「試合当日に王貞治の記念ホームランを打つ日だと言いはって、それを見せるために息子を球場に連れてくる(しかも的中!)」というエピソードを持つ長嶋さんだ。
勝負強すぎて、日本シリーズや天覧試合など重要な試合での日本記録を多く持ってるあの長嶋さんだ!
多分、サインや人の名前を覚えていたら、指示や人選は合ってたのかもしれない。だけど悲しいかな、常人にとって当たり前のことが長嶋にとって一番難しい・向いてないことだった。
ちなみに、「ホームランを見せるために息子を連れてきた話」には続きがある。
なんと、「自分が王のホームランに興奮しすぎて、息子を球場に連れてきたことを忘れて置き去りにした」のだ!
…そんな長嶋さんは、家庭のことは120%女房に任せたから野球に専念できたと語っているし、野球でも「1選手」である以上に「長嶋茂雄」として動けるために長嶋に見合ったポジションや指示(ノーサイン)が与えられたから活躍できた。
「助け合いが大事」とか「明るくしてれば誰かが助けてくれる」なんて甘いことをいう気はないし、人に「そういうやつ見かけたら助けてやれよ」とか絶対に言わない。少なくとも僕は言いたくない。
かく言う私も助けてほしい時はあるが、助けられた分長嶋茂雄みたいに活躍できないから簡単に助けてなんか言えない。
だから、「発達障害でも、ズボラな人間でも生きていける立場を勝ち取れ!」「助けてもらえるぐらい結果を出せる人間になれ!」と自分も含めた発達障害の連中に言いたい。
別に、なんでもこなせるイクメンになれなくても、管理能力があるサラリーマンにならなくても結婚も仕事も回せる!
現に長嶋さんはどちらでもないし、できもしないイクメンや管理能力を求めてたら、きっと大スターにはなれなかっただろう。
いや、普通どころかただただドジで調子のいいおじさんにしかなれなかったかもしれない。それで生きていけるなら別にいいよ。特技を伸ばすより、欠点を治すこと・できもしないことを求められることが一番つらい発達障害者風情を生かしてくれる仕事や居場所があるならそれでいいよ。(ないんだけどさ)
でも、「自分が持ってる弱点や小さい頃からがんばっても治らなかったモノを何かしらの努力、そこからできた自信や明るさ、周りの助けで埋め合わせるほうが早い奴もいる」ということを長嶋茂雄さんから感じ取ってもらえたら、もっと明るく生きていける人もいるのではないだろうか?また、もう長嶋になれないほど人生を浪費しちゃったとしても少しがんばってみようと感じられるのではないだろうか?
考え方や思考、立ちふるまいとして僕は発達障害者としての長嶋さんは尊敬している。ああなりたいとは思わないが「ああすればいいのか」とは思った。
これ、一部見たけどいい番組だった。長嶋さんがリハビリに熱を燃やすあまり半ば不可能を可能にするようなことをしてるのを見て「この人ほど集中力があって、それを実現するためのフォロー体制があればなんだってできるな」と感じさせられた。
人を管理したり、体制が整わないなか戦うことは苦手かもしれないけど、自己実現という意味では長嶋さんの集中力に勝る素質はないのかもしれない…。
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