17日午後8時、ソウルの繁華街・明洞は閑散としていた。わずか半月前まで仕事帰りの会社員や中国人をはじめとする外国人観光客でごった返していた通りは、屋台の店員の姿ばかりが目立った。屋台で串に刺した練り天を売るハン・ジュヒョンさん(29)は「今ごろは書き入れ時で普段なら1日に20万-30万ウォン(約2万2000-3万3000円)は稼ぐが、きょうの稼ぎはたった2万ウォン(約2200円)だった」と言って肩を落とした。この日午後1時半ごろ、明洞に近い新世界デパート本店1階の売り場では客よりも従業員の方が多かった。ある化粧品ショップの店員は「午前10時半からこれまでに来た客は2人しかいなかった」と話した。
韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が拡大しているが、それを上回るスピードで人々の間に恐怖心が広がり、消費が急速に冷え込んでいる。デパートや大型スーパー、飲食店、居酒屋など、あらゆる業態の店で客足が途絶えた。外国人観光客が一気に減り、明洞や江南のショップや免税店はもちろん、在来市場さえも売り上げが急減した。遊園地、映画館、博物館などは入場客が5-8割ほど減少した。
このままでは「微弱ながらも回復傾向を続けていた」(李柱烈〈イ・ジュヨル〉韓国銀行総裁)韓国経済が、再び先行きの見えない不況の沼にはまり込んでしまうとの懸念が広がっている。専門家らは、政府と地方自治体、医療機関が力を合わせて遠からずMERSの流行を終息させることができたとしても、消費心理がこれほど過度に萎縮してしまっていては景気回復への道のりは一層険しくなるとの見方を示している。
ただでさえ、国内外の研究機関は輸出低迷などで韓国の今年の国内総生産(GDP)成長率が2%台に鈍化すると警鐘を鳴らしている。そこへ襲い掛かった「MERS不況」による消費の萎縮は、数字にもはっきりと表れている。