特殊な弁で、傘の内側から空気が抜ける構造の「縁結」。参考:ホワイトローズ
最近の選挙の演説では、候補者の顔が見えるようにと、雨のときはビニール傘が使われるようになりました。選挙でよく使われるこの傘は、透明度が高くて丈夫な高級なビニール傘で、その名も「カテール」。この「カテール」を作っているのは、ホワイトローズ株式会社です。創業は江戸時代。当時は徳川幕府御用達の由緒ある傘問屋で、戦後、世界ではじめてビニール傘を作ったという会社です。
両陛下とビニール傘との出会いは、2010年5月、全国植樹祭でした。折りしも雨が降ったので、関係者が両陛下のお顔が見えるようにと、高級ビニール傘「カテール」を差し出しました。美智子さまは以前から、お顔がよく見え、見通しのきくビニール傘に興味をお持ちだったのですが、この出会いをきっかけに、ホワイトローズに話が持ち込まれました。そして開発されたのが「縁結(えんゆう)」というビニール傘です。
「縁結」の一番の特徴は、骨が折れにくいことです。骨はグラスファイバー樹脂なので、しなやかで折れにくく、風の力を吸収します。また、ビニール部分には「逆止弁穴開き加工」(特許)がほどこされています。これは、傘の内側から強風が吹き込んでも、その特殊な弁から外側に風が抜けていくので、傘が“ひっくり返ったり”、骨が折れたりしづらい構造になっています。
2010年の秋、園遊会で美智子さまは「縁結」をお使いになりました。皇室クラスの方が透明な傘でご公務にあたられるのはとても珍しいことだったので、この「縁結」は一躍注目を集めるようになりました。
今では一般向けにも販売されるようになり、価格は8000円(税別)。生地は、濡れてもベトつかない素材。色はゴールド、シルバー、ピンク、ネイビーの4色です。