いろんな決め台詞ありますね。
「キャシャーンがやらねば誰がやる」とか「お前はもう死んでいる」とか。
わたしが通っていた塾の先生の決め台詞が
「目ぇ噛んで死ねぇ!!」
です。
怖い先生でした
なんせ怖い先生でした。
例えば椅子に座っている姿勢が悪いと「姿勢悪いヤツは成績も悪い。背筋伸ばせ!!」と竹刀で背中をビシッと。
遅刻でもしようものなら竹刀で頭をビシッと。
う~ん怖い。
間違えると言われます
一番ビビるのは
「おい、おばけ、次の文を読んで訳せ」なんて言われ「This is a pen. あれはペンです。」なんて言おうもんなら「Thisは『これ』、Thatは『あれ』、Itは『それ』やろ!!!!
目ぇ噛んで死ねぇ!!」
と。
出ました「目ぇ噛んで死ねぇ!!」。今ならこんなこと言って竹刀でシバイてたら塾生は辞めていくし、モンペの皆さんが乗り込んできて大問題になるとこです。
(まぁ、塾ってことで来るのも辞めるのも自由なんで、怒鳴り込んではこないかな。)
でも我々塾生はこの
「目ぇ噛んで死ねぇ!!」
を恐れながら、他の人が言われると心の中で「おお、出た~」て喜んでました。
東大 VS 京大の代理戦争
実はわたしが育った地域には2大塾勢力がありました。
1つは東大出身の人が開いていた「Y塾(仮名)」。それとわたしの通っていた京大出身の先生の「H塾」。
この2つの塾が仲悪い・・・いや先生同士が。
毎回定期テスト前になると聞かれるのです。
「おばけ、お前Y塾のメンバーでライバルは誰や」と。
「強いて言えば〇〇ですかねぇ」と答えると「よし、じゃぁそいつには英数国社理の5教科の合計得点絶対勝てよ」と。
で隣に座っているやつに「お前は誰や?」と全員にライバルを訊いて「絶対に勝て」と。
「Y塾に負けたやつは許さん!!絶対Y塾だけには負けるな!!」とハッパかけるのです。
勝つとコーラ、負けるとヤクルト
試験が終わってすべての結果が出た日は全員に対して「Y塾に勝ったもんは?」と聞くのです。
勝った人には「よし、コーラ500mlOK。」と「コーラ」と書いた紙くれます。
負けた人には「なんじゃそりゃ。目ぇ噛んで死ねぇ!!ヤクルトじゃ」と。
うん、1回負けただけで「目ぇ噛んで死ねぇ!!」と言われるのです。
でも「ヤクルト」と書いた紙くれます。
で、次に塾に行くとちゃんと人数分の「コーラ」と「ヤクルト」が用意されているのです。
何度かこれをやっていると、ズルするやつが出て、わざとライバルにちょっと勉強できない人あげたり、ライバルの得点を過少申告したりするヤツが出てきたのですが、先生はそんなことお構いなしに、毎回「ライバルは誰や?」と続けてました。
まぁ、そもそもライバルの得点も本人に『何点?』って聞いてるだけなんで、どこまで本当かわかりませんし、人によっては『関係ないやろ』と教えてもくれない人もいたので、もともと先生もちょっとでもわたしたちのモチベーションが上がればくらいの気持ちだったのかも知れませんけどね。
高校生になった時に
小学6年生から中学3年の夏まで通っていたのですが、一緒に塾に通っていたとある女の子に「おばけ君、なんでか嫌い」と言われてなんとなく塾に行く気なくなったので、親には「自分の力で頑張ってみる」と言って辞めました。
高校2年の冬に近所の噂で「H塾の先生亡くなったんやて。なんか急に病気でね。」と聞きました。
その時、何故か「目ぇ噛んで死ねぇ!!」というあの独特のだみ声を思い出してちょっと懐かしく、さみしい気持ちになったのを覚えてます。
多分天国でも塾開いて生徒に
「目ぇ噛んで死ねぇ!!」
とか言って
「もう、死んでるわ!!」
なんて言われてるんでしょうかね。
