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Jリーグを視察するハリルホジッチ監督と霜田氏(右)。指揮官の厳しい目はこれからも光り続けることだろう。
photograph by AFLO
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球際の強さも、人間性も見逃さない!
ハリルホジッチのJリーグ視察論。

松本宣昭 = 文

text by Yoshiaki Matsumoto

photograph by AFLO

 スタジアムのメインスタンド上部、ガラス越しにボスニア人指揮官の鋭い視線が、じろり。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が視察に訪れたJリーグ戦のテレビ中継を見ていると、頻繁に画面に映し出される光景だ。6月のイラク戦、シンガポール戦に向けたメンバー発表会見の場で、ハリルホジッチ監督はこう語っている。

「私が日本に着いてから、J1、J2、J3を含めて116試合を観に行きました。ナビスコカップは28試合ですね。ACLは24試合。ヨーロッパで行なわれた試合は3試合。これらは、ライブで観に行ったものです」

 時間さえあれば、可能なかぎりスタジアムへ足を運ぶ。自分が率いるチームの選手は、自分の目で確かめるのがハリル流だ。では、ガラスで仕切られたあの部屋の中で、ハリルホジッチ監督はどんなところに注目しながらJリーグを観ているのだろうか。試合中、どんな会話が交わされているのか。

ハリルホジッチを見つけ出した張本人、霜田正浩氏。

 それを読み解くうえで、最適な人物がいる。日本サッカー協会技術委員長・霜田正浩氏。ハビエル・アギーレ前監督の解任直後から新監督を選ぶために世界中を奔走し、ハリルホジッチ監督を見つけ出した張本人である。Jリーグ視察の際は、ハリルホジッチ監督と行動を共にすることが多く、3月のチュニジア戦とウズベキスタン戦では、U-22代表監督を兼任する手倉森誠コーチと早川直樹コンディショニングコーチが不在だったため、ベンチにも入った。

 Number879号でのインタビューで、霜田氏はJリーグ視察中のハリルホジッチ監督の様子を、こう明かしている。

「ヴァイッドは、Jリーグの視察中も球際に関して厳しい見方をしています。選手本人はボールに対して体を寄せているつもりでも、上から見ると、『全然寄せていない』と。代表合宿では選手たちに『1m20cm寄せているのと、1m寄せるのとでは、同じ約1mでも決定的に違う。たった20cmだけど、そこを追求しなさい』と伝えています。

 彼は攻撃でも守備でも、常に前へ出て行く、より相手のゴールに向かっていく姿勢を求めます。だから、相手がドリブルで仕掛けてきたときに、ずるずると下がってしまうのは許さない。インターセプトできなくてもいいから、ちょっとでも寄せる。常に前向きにサッカーをやることが、彼の哲学なのだと思います」

【次ページ】 相手の1m以内まで体を寄せられる能力が必要!

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