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ご家庭で簡単に光るキノコが育てられる時代が到来しました!
知人からヤコウタケという暗闇でうっすら光るキノコの栽培キットがあることを教えていただいた。
光るキノコというと、ずいぶん前にデイリーポータルZの林ウェブマスターが、はるばる八丈島まで観察にいったあのキノコ(こちらの記事参照)のことか!あれって家で育つのか! 数量限定だというその栽培セットを、さっそく取り寄せて育ててみることにした。 5月11日、ヤコウタケ栽培キットが届いたヤコウタケの栽培キットなんていうマニアックかつロマンティックな商品を開発したのは、薬用や食用のキノコの研究をしている岩出菌学研究所とその販売会社のシエン。
メールでキットの販売に至る経緯をうかがったところ、ヤコウタケは薬用でも食用でもないのだが、研究目的として人工栽培に挑戦し、試行錯誤を重ねて2013年の春に成功すると、この美しい光を多くの人に届けなければと栽培キット化に向けて動き出し、今年の春に初めて販売にこぎつけたそうだ。 栽培キットは2500円也。キノコだと思うと高いが、浪漫とか小宇宙(コスモ)だと思えば安いと思う。
ついつい栽培キットを販売したくなるほどの輝きか。写真では伝わらない美しさがあるのだろう。うん、とても楽しみだ。
栽培キットをセッティングしよう栽培キットには2種類の土が入っていた。大きい方が種菌で、小さい方が腐葉土。ふた付きのプラスチック容器とスポイト、そして説明書と記録用紙もついている。
だいぶ前に『きのこ部』という活動で、シイタケやナメコを育てたことがあり、その時はオガクズの塊みたいなやつで育てたが、今回は土っぽいものがベースである。 左が種菌、右が腐葉土。もうこのセッティングをしている時点で楽しい。
付属の説明書によると、温暖多湿を好むヤコウタケの栽培条件は、温度が20〜28℃、そして湿度は70〜100%。ただしビショビショではいけないらしい。
この時期の埼玉あたりの気候だと、温度はちょうど良さそうだが、湿度がだいたい50〜65%くらいなので若干ジメジメ不足。そこで活躍するのが、種菌の上に腐葉土を乗せ、そこにスポイトで水を垂らして、湿度を保持するというシステムだ。 歌手が喉の乾燥を防ぐために、部屋の中に濡れタオルをたくさんぶら下げるのと同じ仕組みなのだろう。 加湿器としての腐葉土を種菌の上に設置完了。
ところでこの種菌や腐葉土の匂いを嗅いでいると、なんだかカブトムシやクワガタの飼育準備でもしているような気分になる。
この容器の中で、気が付いたらキノコじゃなくて幼虫が発生しそうな雰囲気であるぞ。実は腐葉土の中に虫のタマゴが入っていたりして。 は!!もしやその幼虫に生える冬虫夏草のキノコこそが、ヤコウタケの正体なのでは! なんていう妄想を楽しみつつ、スポイトで腐葉土に水をあげたり、霧吹きで表面を湿らせて、幼菌の発生をおとなしく待つ。 張り切って温湿度計を買ってきたのだが、デジタルのが既にあった。家にある温度計って、けっこうな確率で湿度計が付いているよ!
5月25日、幼菌の発生を確認ヤコウタケを育てる容器はルービックキューブくらいの大きさで(若い人には伝わらないかもしれませんが)、その中には湿度計が入らないため、容器内の湿度はわからない。
乾燥とビショビショの間という、広いようで狭い湿度をキープするというお世話を続けていると、5月25日に小さな白い粒が腐葉土を囲うように発生した。 開封からちょうど2週間経った日の出来事である。 白い粒が点在しているのがわかるかな。
ヤコウタケ栽培の天敵であるカビだったらどうしようと思ったのだが、目を近づけて観察してみると、それは間違いなくちっこいキノコだった。
幼菌の発生に成功したのだ! まだ油断は禁物。ここからの温度と湿度の管理が大切らしい。
そういえばこのキノコって食べられるのだろうか。食べられるのであれば、せっかくだから食べてみたい。
食べてみて毒だったら死ぬので、販売元に問い合わせてみよう。 5月28日、幼菌が米粒大に育つここから先の展開は早かった。
幼菌が確認されてから3日目には、米粒大にまで大きくなり、怪しくヌメヌメとたたずんでいる。 家の中にヤコウタケが生えてくるってすごくないですか?
この幼菌、この時点でも光るのかなと思って暗いところで観察してみたが、白いけれど光っているという感じではない。
もしかしたら、すでにうっすらと光っているかもしれないが、その輝きはまだ人々の目に届かないレベルなのだ。 なんて結成したばかりのバンドのように、今後の展開を頭の中で煽ったりするわけですよ。 大胆なほどの濡れっぷり。
横から見ると、傘の中央部分がぷっくりとしてアダムスキー型。
このヤコウタケが食べられるのかという件について、毒性の有無は調べていないが、食べない方がいいいですよという返信をいただいた。まあそうですよね。
ちょっとネットで検索してみても、毒はないけど水っぽいとか、食えなくはないけどカビくさいとか、食用には適していないという話ばかりだった。 とかいって、実は食べたらうまいんじゃないかなと、まだ疑っていたりする。
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