朴大統領は4泊5日となっていた当初の日程を、2泊3日に短縮するという選択肢についてもギリギリまで検討したようだ。その場合はワシントンでオバマ大統領と首脳会談だけを行って帰国することになる。今回の朴大統領の訪米は、時期的には日本の安倍首相と中国の習近平国家主席の訪米のちょうど間に挟まれる形となっていた。安倍首相は4月の訪米の際、米日同盟をあらためて強固なものとし、習主席も9月にオバマ大統領と会談し、新たな米中関係の構築に向けて意見を交換する見通しだ。このように周辺国が東アジアの枠組み再編に向け積極的に動き出している中、韓米両国の首脳が頭を付き合わせて同盟の未来について話し合うことは、朴大統領にとってはそれだけでも他のどのような外交日程よりも重要だ。ところが朴大統領はわずか2泊3日という短い日程さえも選択せず延期に踏み切った。これまで朴大統領がMERSへの対応で示した言動から考えると、何としても国内に踏みとどまって政府の陣頭指揮を執らねばならないという声に説得力はない。
もちろん朴大統領の訪米延期が今後の韓米同盟に大きなマイナスをもたらすとは考えにくい。韓米同盟は今回のようなことで揺らぐほど脆弱(ぜいじゃく)なものではないからだ。問題は朴大統領が国民感情に過剰に配慮し、重要な外交日程に簡単に手を加えるという前例を残したことにある。晴天のへきれきのように発生したMERS問題の影響で国民はショックを受けているため、そのような国民の立場や思いに配慮することは確かに重要だ。しかしそれ以上に重要なことは、政府が大統領を中心に国家次元の懸案にしっかりと対処しているという強い信頼感を国民に与えることだ。そのような点から考えると、朴大統領は一国の指導者として確かな判断力を持ち得ているのか、あらためて振り返る必要があるのではないか。