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インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:田中一人(2015/06/10)
kilk recordsの主宰者でもある森大地率いる6人組バンド、Aureoleが2年9か月ぶりのニューアルバム『Spinal Reflex』を発表する。2007年の結成以来、「精神に溶け込む音楽」を志向し、内向的な世界観を持ち味としてきたが、新作ではビートを主体とした肉体的な音楽性へと変化し、外向きの表現となっていることにまず驚かされる。果たして、ここには森のどんな想いが込められているのだろうか? レーベル経営者としての批評的な観察眼と、いちミュージシャンとしての常に一歩先を行かんとする開拓者精神。その両方を併せ持った森の言葉からは、バンドに対する確かな熱量が感じ取れるはずだ。
Aureole(おーりおーる)
2007年結成。森大地(Vo,Gt,Prog)、岡崎竜太(B)、中村敬治(Gt)、中澤卓巳(Dr)、saiko(Syn,Flute)、佐藤香(Vibs,Glocken)の6人組バンド。ポストロック、エレクトロ、クラシカル、ミニマル、プログレ、サイケ、民族音楽、ダブステップなどを通過した奥深いサウンドと「歌モノ」としての側面、この二つの要素が違和感なく融合したサウンドが特徴。2009年にNature Blissよりデビューアルバム『Nostaldom』をリリース。青木裕(downy,unkie)をゲストに迎えたこの作品は、各方面から多くの支持を得た。2010年にはVoの森大地が主宰するレーベル、kilk recordsより2ndアルバム『Imaginary Truth』を発表。2012年には3rdアルバム『Reincanation』をリリース。2014年11月には2 年ぶりとなるフリーの配信限定シングル『Ghostly Me/TheHouseOfWafers』をリリース。一晩で1000以上のダウンロード数を獲得する。2015年3月、ライブアレンジでリテイクしたベストアルバム『Awake』をタワーレコード渋谷店限定でリリース。タワーレコード渋谷店をジャックした、前代未聞のハッシュタグを活用したO2O施策「Hashtag Awake」が大きな反響を呼び、発売からわずか1週間で200枚の売り上げを記録。タワーレコード渋谷店のウィークリーインディーズチャートの2位にランクインした。同年6月には4thアルバム『Spinal Reflex』をリリース。7月には代官山UNITでのワンマンライブも決定している。
Aureole Official Website
「精神に溶け込む音楽」の背景にある、音楽が聴けなくなった経験
「見せかけだけのバンドが多過ぎるように思うんです。僕らはそういうバンドにはなりたくない」。Aureoleの中心人物、森大地はそう語気を強めて語った。kilk recordsを主宰し、国内外の先鋭的なアーティストを輩出している他、埼玉でライブハウス「ヒソミネ」を運営するなど、近年は経営者としての側面も目立つ森だが、彼はあくまでいちミュージシャンであることを自身の活動の核とし、Aureoleというバンドのことを何よりも大切に考えている。
Aureoleの結成は2007年。中学生の頃にギターを手にし、高校生のときに初めてオリジナルの楽曲でライブを行うと、そこからメンバーや音楽性を何度か変え、やがてたどり着いたのがAureoleであった。森はかなり貪欲で雑食的な音楽リスナーでもあり、国内外のオルタナティブロック、シューゲイザー、プログレ、ポストロック、フォーク、エレクトロニカ、現代音楽などを聴き漁り、Aureoleを始める直前はインストのエレクトロニカをやっていたが、長く聴いてきた歌モノへの愛情から、歌を中心としたスタイルを選択。「実験精神を崩さないまま、歌モノとして成立する音楽をやりたいと思った」という考えに基づき、2009年にデビューアルバム『Nostaldum』を発表している。当時掲げていたのは「内向的な、精神に溶け込む音楽」というテーマであった。
森:学生の頃から、時間が空くと家でヘッドフォンをして、部屋を薄暗くして音楽を聴くような根暗な一面があって(笑)。そうやって聴く音楽の感動って尋常じゃないんですよね。そんな経験からだんだんと精神的な音楽が好きになっていったのかなと思います。あとはAureoleを始める何年か前に、一緒にバンドをやっていた親友が亡くなったり、悲しいことが立て続けに起きた時期があって……そのとき、世の中の音楽の7~8割が聴けなくなっちゃったんですよ。ものによっては音楽から恐怖や悲しみしか感じなかったり、逆に楽観的過ぎて聴くに堪えなかったり。でも、SPARKLEHORSE(アメリカのオルタナティブロックバンド)とかTHE ALBUM LEAF(アメリカ出身、ポストロック / エレクトロニカ系マルチインストゥルメンタリストであるジミー・ラヴェルによるソロプロジェクト)の1stアルバムとか、聴ける音楽がいくつかだけあって、そういう音楽から生きる気力をもらったんです。
―そのときの経験から、初期のAureoleの方向性が定まったと。
森:そうですね、なにかしら影響はあると思います。その親友が亡くなったとき、ご遺族に「お葬式が始まる前のBGMを選んでほしい」って言われて選曲させてもらったんです。そいつの遺影とお花を前に、僕が選んだ曲がかかっていて、すごく悲しかったんですけど、めちゃくちゃ美しい光景にも見えたんですよね。ロックって「軽音楽」とも言うし、軽いものの方が売れてるのかもしれない。でも、僕はあの光景のように心に訴えかけてくる内向的な音楽をやりたいと当時は思ったんです。そういう音楽を日本でやってる人ももちろんいたけど、自分たちはそれとはまた違う、新しいものを作りたいと思いました。
1stアルバム発表後にメンバーチェンジがあり、ボーカル&ギター、ギター、ベース、ドラム、ビブラフォン、フルート&キーボードという現在のラインナップが揃うと、2010年にkilk recordsから2ndアルバム『Imaginary Truth』を発表。さらに2012年には3rdアルバム『Reincarnation』を発表し、「TORTOISE(アメリカ・シカゴ出身のポストロックバンド)とかとは違って、もっと攻撃的に使えるんじゃないかと思った」というビブラフォンをフィーチャーした作風を確立。ポップな曲調も相まってさらにバンドの知名度を高めたが、「内向的」であること自体はこのときも変わっていなかった。
森:1stと2ndに関しては、いわゆるポストロックとも違うし、歌モノのロックとも違ったので、結局どのジャンルにも当てはまることができず、一部のニッチなものが好きな人にしか聴いてもらえなかった気がして。それがちょっとコンプレックスになってたんです。でも、前作『Reincarnation』では開き直って、ポストロックとかエレクトロニカとかのこだわりは意識せず、自分が聴いてきたポップソングを素直にやってみたんですよね。ただ、この頃ベースの岡崎くんが死にかけたこともあったし(レコーディング直後、くも膜下出血で倒れた)、やっぱり精神的な、内向的な音楽であることには変わりなかった。そこが新作とは大きく違うところですね。
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